8 / 10
NO.8
しおりを挟む
それからというもの、俺はメリーの元へ通い続けて水属性・光属性の魔法を特訓した。彼女は水属性魔法は苦手なようだが光属性魔法は得意らしく、いつも懇切丁寧に手ほどきしてくれた。
ある時、メリーはこんな質問を投げかけてきた。
「ねえ、リックは悪魔の子に復讐したら何がしたいの?」
――最初に断りを入れておくが、これから話すのは俺の将来についてである。
最初は些細な一言かと思った。単純な興味。それだったら俺はやんわりと答えをはぐらかしたかった。将来の夢については前々から考えていた夢があるけれど、それでも。
静まり返った部屋のシャンデリアの光が俺を突き刺す。それはまるで、夢を語った後の痛みを予告しているかのようだ。
夢を言ったら笑われそうな気がするから言いたくない、それが本音だ。
俺はメリーの方をチラリと見ようとして、しかし彼女を見た時点で動きが止まった。彼女は無表情だった……紫色の瞳にだけは明確な意思を灯して。
メリーは俺の夢を笑わないで聞いてくれるだろうか。メリーなら受け止めてくれるだろうか。
念押ししようかとも考えた。でも今までの彼女を思い起こすと、笑われることはない気がした。今の瞳がその証左のようだった。
俺は一度だけ深呼吸をしてから話し始めた。
「もうこれ以上俺の村みたいな被害が出ないように、悪魔を退治する存在――エクソシストになりたい」
言い切ってから間髪入れずに続ける。
「契約しなくても悪魔に取り憑かれて魂を喰われてしまう人もいるって聞いた。そういう人を無くしたいんだ」
俺はゆっくりと真剣に言葉を噛み締めて言った。空気が氷のように固まった気がした。その中でメリーの口が開いていくのがよく見える。
「素敵な夢を持ってるのね、リック」
彼女の口から紡がれたのは笑いではなかった。
「エクソシストになりたいだなんて思ってるなんて思わなかった。真剣なのね。応援するわ。その夢」
メリーは俺の夢を真面目なものだと認めてくれたのだ。
……俺は両親を亡くしてからというものの、親戚の家に預けられたがそこでは気を使ってうまく笑えなかった。家の人に迷惑かけたくない、という気持ちが胸に溜まって夢もろくに語れなかった。エクソシストになるのは簡単ではないからだ。
友達にも話したら笑われる気がした。
だけど、メリーは違った。
なぜか話せたんだ。
時計塔に暮らす謎の少女メリー。
それは前は気が付きたくなかった感情。
でも今は俺の一部となった感情。
メリーは俺にとって癒やしでもあり、大切な人になっていた。
『好き』……そんな気持ちも日に日に優しくつもっていく。
俺はずっと彼女と一緒に過ごしたいと考えるようになっていた。
ある時、メリーはこんな質問を投げかけてきた。
「ねえ、リックは悪魔の子に復讐したら何がしたいの?」
――最初に断りを入れておくが、これから話すのは俺の将来についてである。
最初は些細な一言かと思った。単純な興味。それだったら俺はやんわりと答えをはぐらかしたかった。将来の夢については前々から考えていた夢があるけれど、それでも。
静まり返った部屋のシャンデリアの光が俺を突き刺す。それはまるで、夢を語った後の痛みを予告しているかのようだ。
夢を言ったら笑われそうな気がするから言いたくない、それが本音だ。
俺はメリーの方をチラリと見ようとして、しかし彼女を見た時点で動きが止まった。彼女は無表情だった……紫色の瞳にだけは明確な意思を灯して。
メリーは俺の夢を笑わないで聞いてくれるだろうか。メリーなら受け止めてくれるだろうか。
念押ししようかとも考えた。でも今までの彼女を思い起こすと、笑われることはない気がした。今の瞳がその証左のようだった。
俺は一度だけ深呼吸をしてから話し始めた。
「もうこれ以上俺の村みたいな被害が出ないように、悪魔を退治する存在――エクソシストになりたい」
言い切ってから間髪入れずに続ける。
「契約しなくても悪魔に取り憑かれて魂を喰われてしまう人もいるって聞いた。そういう人を無くしたいんだ」
俺はゆっくりと真剣に言葉を噛み締めて言った。空気が氷のように固まった気がした。その中でメリーの口が開いていくのがよく見える。
「素敵な夢を持ってるのね、リック」
彼女の口から紡がれたのは笑いではなかった。
「エクソシストになりたいだなんて思ってるなんて思わなかった。真剣なのね。応援するわ。その夢」
メリーは俺の夢を真面目なものだと認めてくれたのだ。
……俺は両親を亡くしてからというものの、親戚の家に預けられたがそこでは気を使ってうまく笑えなかった。家の人に迷惑かけたくない、という気持ちが胸に溜まって夢もろくに語れなかった。エクソシストになるのは簡単ではないからだ。
友達にも話したら笑われる気がした。
だけど、メリーは違った。
なぜか話せたんだ。
時計塔に暮らす謎の少女メリー。
それは前は気が付きたくなかった感情。
でも今は俺の一部となった感情。
メリーは俺にとって癒やしでもあり、大切な人になっていた。
『好き』……そんな気持ちも日に日に優しくつもっていく。
俺はずっと彼女と一緒に過ごしたいと考えるようになっていた。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。
四季
恋愛
お前は要らない、ですか。
そうですか、分かりました。
では私は去りますね。
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる