今日から、うちの高校の制服がスク水&ニーハイになりました。 ~スク水を着てればウィルスには感染しません!~ 私立スク水女学園高等部

あめの みかな

文字の大きさ
52 / 58

私立スク水女学園高等部 #52

しおりを挟む


「審判の日が来ちゃうからだよ。この世界にとって一番有害な存在は人間だもん。そういう組織だけじゃなくて人類全体が滅びないと、この世界にとってはきっとプラスにはならないから」

 ユズナちゃんならまだしも、イミテーションにそんな細かい調整ができるとは思えないからね、とナノカは言った。

「まただよ……絶対その世代じゃないよね? まだ新作が作られてるみたいだけど……わたしですら世代じゃないよ……?」

「絶対ゼロにしてね。プラスの世界では人類は淘汰されちゃうから。プラスの世界はダメだからね。今マイナスの中にあるこの世界をゼロにしてくれるだけでいいから」

「鶴房ナノカさん、あなた、誰に話しかけてるの?」

「この世界の新しい、本物の神様かな。現人神だけど。わたしの好きな人。ずっと死んだふりをしてるけど聞いてるんだよね? ユズナちゃん」

 ユズナが生きていることを、矢動丸マリエは全く気づいていなかったようだったけれど、ナノカにはとっくに気づかれていたらしい。
 殺すつもりで撃ってきたように見えていたけれど、彼女はユズナならきっとどうにかできると信じていたのだろう。

 ここにいるナノカは、ユズナが丸4年時間を巻き戻した彼女ではないようだった。
 ユズナと何度もキスや他にもいろいろなことをしたナノカだった。

 どういうカラクリかはわからないけれど、ユズナのギフトが効かないように対策をしていたのかもしれない。
 だから、成長期のはずの身長がほとんど変わっていなかったのだ。
 あるいは、体の成長は4年前にすでに止まっていて、記憶は確かに巻き戻っていたが、彼女は人格や記憶のバックアップのようなものを事前にデータとして保存していたのかもしれない。一度巻き戻させた後、バックアップを脳にインストールしたのかもしれなかった。

「さっきから、足がビクンビクンってイッちゃったときみたいになってるよ? バレバレだから。わたしの声だけでイッちゃう体になっちゃった?」

「笑いを堪えてただけだし。ちゃんともうゼロにしたよ」

 ユズナはゆっくりと体を起こし、壁にもたれかかって座った。

「この世界から、パナギアウィルスっていうマイナスだけ、ちゃんとゼロにしておいたよ」

 この世界にはもう、女の子だけが発症し、赤ちゃんを産めない体にするようなおかしなウィルスは存在しない。

「世界情勢とか正直よくわからないし、変な色に髪を染めてるポリコレゴリ押しの活動家の人たちとか、自分は子どもを産んでもいないのに男が未来に遺せるのは排泄物だけとか思ってるような勘違いフェミニストさんとか、同性として恥ずかしいからいい加減どうにかしなきゃだし、オリンピックのときみたいに絶対赤字になる万博を止めなきゃとかいろいろあるけど、そういう他のマイナス部分は、先生たちみたいな大人がなんとかして」

 わたしにはパナギアウィルスをどうにかするだけで精一杯だから、ユズナはそう言うと、ふぅと一息ついた。

 ユズナのまわりにはエミリに形を変えられた女の子たちが何人も倒れていた。
 リオたちを含め、彼女たちを治してあげられないことが、ただただ申し訳なかった。

「ありがとう。仕事が早いね、ユズナちゃん」

「生きてたの? 樽美ユズナさん……良かった……」

「良かった、じゃないから。先生がナノカちゃんに渡した拳銃のせいで、わたし本当に死ぬところだったんだから。わたしのイミテーションなんて大量生産しなくても、わたしひとりでパナギアウィルスくらいどうにでもできるし、実際できたし」

 それにしても、矢動丸マリエはヤマイダレの人間ではなくなっているのに、どうしてユズナの命を狙う必要があったのだろう。

 ヤマイダレに雇われていたであろうエミリが、ユズナを殺そうとしたり、ヒメナさんやリオがされたようにギフトを封じようとするのならわかる。
 けれど、彼女はナノカとユズナにだけは手を出さなかった。
 リオのギフトを封印したのはマリエだと、さっきナノカは言っていた。

 エミリは殺しやギフトの封印の依頼を受けたわけじゃなかった?

 だとしたら、ユズナたちは大きな思い違いをしていたことになる。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...