ディスカウントショップで兄がわたしを18禁コーナーに連れていこうとしています。完全版

あめの みかな

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第二部「おにーちゃんとえっちしたい!」

「おにーちゃん、男の娘になる。⑥」

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 はじめてのお化粧は、必ず何かしらやらかしてしまうものでございまして……

 どんな女の子も、

「よ~し、ばっちり! 新しいわたしでびゅー!!」

 と、早速おかーさんやおとーさん、おにーちゃんやおねーちゃん、おとうとやいもうとに、見違えるほどかわいくなった自分を見せにいくものなのです。

 しかし、どんな女の子もそのときはまだ気づいていないのです。

 自分が、ムーンプリズムパワーではなく、ダークマターパワーによって、モンスターを産み出してしまったことに……

 わたしは、中学二年のときに、雑誌の付録についてたメイク道具一式で、あたらしいわたしでびゅー! をしたときのことを一生忘れない……

 わたしが産み出したダークマターモンスターを見て、笑いすぎて前歯の差し歯がぴゅーっと飛んでいっちゃったおにーちゃんのことを……

 あと、ゲームセンターの仮面ライダーのカードゲームで、必殺技を出すときにカードをいっぱいこすらないといけないんだけど、本気で全力でこすりすぎて、そのときも前歯の差し歯が機械の裏に飛んでいっちゃったおにーちゃんのことを……

 わたしは、一生忘れない……


 おにーちゃんにお化粧の仕方をちゃんと教えてあげるつもりだったわたしでしたが、中学二年のときに受けた屈辱と、二度も手伝わされた差し歯探しという苦い思い出を思い出し、とりあえずなにも教えず好きなようにやらせてみることにしたのです。

 使いなれないメイク道具を持って、あーでもない、こーでもない、と言いながら、いつの間にかセリアで買っていたらしい「めっちゃファンシーでゆめかわふわふわな鏡」と、にらめっこするおにーちゃん(すでに女装済み)。

 わたしは、テーブルをはさんだ反対側から、娘の初化粧を見守るおかーさんのような気持ちになり、いろいろと口を出したくなるのを我慢しながら、ムーンプリズムパワーではなくダークマターパワーによるモンスターの人体錬成を温かく見守っていました。

 ですが……

 ……あれ? あれあれ?

 この人、モンスターにならないぞ……?


 やっべー!

 化粧を少し覚えただけで、うちのおにーちゃん、普通にかわいくなってるんですけど!!

 ファンデーションにチークに、リップにグロスだけだよね?

 慣れたら数分で終わっちゃうような簡単な化粧だけで何その完成度!? 何なの!?

 しゃべらなかったら、普通に姉妹に見えるくらいになってるんですけど!!

 すでに、わたしのツイッターのタイムラインにたまに流れてくる、化粧慣れやコスプレ慣れ、自撮り慣れしてない女の子の写真より何倍もかわいくなってるんですけどーー!?

 ウィッグのパッツン前髪で隠してる凛々しすぎる眉毛を女の子っぽくしたり、まつげを増量したら、この人どうなっちゃうの!?

 はじめてのお化粧で、モンスターになると思ってたのにならんし!!


 お化粧を終えたおにーちゃんは、

「……どうかな? 少しはかわいくなれたかな?」

 わたしを上目遣いで見上げて、そう訊いてきました。

 なにその、わたしみたいなあざといしぐさ……
 言っとくけど、そういうの男ウケはいいかもしれないけど、女の子に一番嫌われるやつだからね? ソース? ソースはわたしだよ!
 幼馴染みの佳代ちゃん以外友達いませんが何か?

 きっと、もうわかってるんだよね? わたしに訊かなくても。
 自分がかわいいってこと。

 だから、わたしの返事は、

 「むかつく!!!」

 同じ四文字(テトラグラマトン)でも、かわいい、じゃなくて、むかつく。
 ただ、それだけ。

 案の定、おにーちゃんは別にわたしにほめられたわけでもないのに、うれそうに、でもどこかはずかしそうに、はにかんで……

 だからね? そういうの男ウケは(以下略)



「よかったよ。みかなのときみたいにならなくて」


「殺すぞ」


 自分がかわいいことに気づいてるだけじゃなく、わたしの5年前の恥ずかしい思い出までディスってきたので、わたしは思わず目を見開きドスのきいた声でそう言ったのでした。


 ていうか、この人、さっきわたしの夢に出てきた人だ……
 わたしといっぱいえっちなことをした、紺色の半袖のセーラー服の……


 もしかして、あれ、正夢なのかな……

 おにーちゃんの男の娘改造計画の2日目は、そんな風にわたしに一抹の不安を覚えさせて終わったのでありました。


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