情報迷宮≪実験≫都市アルゴリア -THE NEW WORLD MAKER-

あめの みかな

文字の大きさ
57 / 109

#55.5 裏造化譚(うらぞうかたん)と天の門閉じの記(あまのとじのき)

しおりを挟む
「裏造化譚(うらぞうかたん)」

第1章 黄泉の起源 ― 世界の影に生まれた神界

最初に存在したのは「虚(うつろ)」──
アメノミナカヌシが光の粒を放った瞬間、その“影”が生まれた。
光の背に生まれたその影は「ヨミノミナカヌシ」と呼ばれた。
彼は光の創造を見て“終わりをもって完成とする”ことを悟る。
こうして、

光の三柱:アメノミナカヌシ・タカミムスヒ・カミムスヒ(造化三神)

影の三柱:ヨミノミナカヌシ・クライムスヒ・シズムスヒ(裏造化三神)
が、互いに存在を映し合いながら世界を形づくった。


第2章 裏造化三神と黄泉の建国

ヨミノミナカヌシは、虚無の底から「夢の海(ネムル・アビス)」を創り、
そこから各地の“忘れられた神々”を呼び寄せた。

エレシュキガル(メソポタミア)――死の門を司る

ヘル(北欧)――死者の半分を黄泉へ導く

ハデス(ギリシア)――冥府を秩序正しく保つ王

アヌビス(エジプト)――魂の重さを量る守護神

イツァムナー(マヤ)――死と再生の書記

テスカトリポカ(アステカ)――鏡に世界の裏側を映す神

彼らはすべて、「自らの世界で居場所を失った神」たちだった。
黄泉は、“神々の亡命地”として完成する。


第3章 ヨミテラスの降臨

その中心に立つのが ヨミテラス。
アマテラスが光で世界を照らすなら、ヨミテラスは“影を照らす”存在。
彼は死した魂の痛みを吸い上げ、
それを神の力に変える「暗き太陽」となった。

イザナミの死の際、ヨミテラスはその魂の断片に呼応し、黄泉へ迎え入れる。
やがて、イザナミは“黄泉の女王”として再誕する。
彼女が見せた哀しみがイザナギを引き寄せ、ヨミテラスはその嫉妬を利用して“見るなの禁忌”を仕掛けた。
禁忌が破られた瞬間、光と闇の世界の分離が完成する。


第4章 侵略と転倒 ― 葦原中国の反乱

葦原中国に降臨した高天原の神々が見たのは、すでに人間を支配していた“黄泉の神の血を引く者”たち。
彼らは“ヒルコ族”と呼ばれ、人と神の間をつなぐ巫(かんなぎ)の血を持っていた。
ヒルコ、アハシマ、カグツチ、アマツミカボシが彼らの守護神であり、
葦原を「中つ国」と名づけたのも実は黄泉の神々だった。

ヨミテラスの軍勢が高天原を侵略し、“星の神々”との戦争(アマツ戦争)が勃発。
結果、高天原は滅び、天照大神は“鏡”の中に封じられた──
それが、後に皇統の神器として伝わる八咫鏡。


第5章 現代へ ― 黄泉路の再開

現代の「黄泉路(よみじ)神社」は、黄泉の神々がこの世に戻るための“逆参道”。
参拝者が足を踏み入れると、影と光の記憶が交差し、アマテラスの残光とヨミテラスの暗光が再び交わろうとしている。



『天の門閉じの記(あまのとじのき)』

第1章 高天原の残照

その昔、奈良の大仏が造られしころ、大地は飢えと疫(やまい)に覆われ、民は声もなく倒れ伏した。
帝は日々、病に苦しむ民のうめきを聞き、心を裂かれる思いで天を仰いだ。

「我、国の主にして民の親なり。
なれど我に力なく、いかにしてこの苦しみを鎮めん──」

夜ごと夢に立つ光の道に導かれ、
帝は神々の座すという高天原へと渡った。

だが、その天は空(から)なり。

帝が見たのは、かつて神々が栄えた宮殿の廃墟であった。
黄金の柱は朽ち、鏡はひび割れ、玉座にあったはずのアマテラスの御影は、光だけを残して消えていた。

天の者たちはもういない。
かつての神々は、光と影の戦いに敗れ、多くは地へ堕ち、あるいは黄泉に囚われたという。

帝はひとり、高天原の残照の中で涙した。


第2章 天の門閉じ

帝は葦原中国(あしはらのなかつくに)に戻り、まだ天と地を結ぶ“天の門”を見上げて語った。

「神なき天を仰ぎて何を祈らん。ならばこの国は人の力により救わねばならぬ」

帝は門を封じるよう命じ、天の道を断ち切った。
その封印を守るために建てられたのが、のちに「東大寺」と呼ばれる大伽藍である。


第3章 神仏融合の夜明け

神々の力を失ったこの国に、帝は新たなる光を求めた。
それが、遠き西より伝わりし「仏(ほとけ)」の教えである。

神と仏──異なる光をひとつに結ぶため、帝は神祇を仏の守護とし、仏を神の容(かたち)に宿らせた。
こうして「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」が始まる。

人の祈りは天を離れ、地に根を下ろした。
このとき、封じられた“天の門”の裏で、黄泉の国の神々が静かに囁いた。

「光が門を閉ざすならば、影が門を開こう──」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

漆黒の闇から

一宮 沙耶
ホラー
邪悪な霊が引き起こす事件の数々 若い頃から霊が見え、精神を病んでいた私が事件を解決していく ただ、自分も黄泉の世界に巻き込まれてしまう

10年ぶりに現れた正ヒロインが強すぎて、10年来のダメ系幼馴染型ヒロインが敗北しそうな件について。

神崎あら
青春
 10年ぶりに再会した彼女はまさに正ヒロインと呼ぶにふさわしい容姿、性格、人望を手にしていた。  それに対して10年間一緒にいた幼馴染は、堕落し酒に溺れ、泰平の世話なしには生きられないペットのような生き物になっている。  そんな対照的な2人のヒロインが戦う(一方的にダメ幼馴染が社会的にボコられる)物語が今始まる!!

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

『お母ちゃん(霊)といっしょ EP0~北海道編 すべてはここから始まった!お母ちゃんの過去を探れ~』

M‐赤井翼
ホラー
「お母ちゃん(霊)といっしょ」シリーズの実質「第1話」です。 読者様の希望により、いつもの「現代小説」カテゴリーでなく、「ホラー・ミステリー」カテゴリーからのエントリーとなりました。 広義の意味で「ホラー」とは「極端に非現実だけど誇張された状況の不条理さに焦点を当てたジャンル」とありますので、お母ちゃんの「かずみ」は浮遊霊キャラクターですので優しく見守ってやってください! お時間のある方はこの続きの「エピソード1」から「エピソード3」まで公開しますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです! この作品にいただいた「エール」の投稿インセンティブは「こども食堂」運営の応援に使わせていただきますので、よろしかったらご協力ください! では、お母ちゃん(霊】の「かずみ」と娘の「さとみ」、そしてお父ちゃんの「直」と今回のゲストさん達の応援をよろひこー! (⋈◍>◡<◍)。✧💖

処理中です...