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第1話「ぷぷるん☆ワープでごあいさつ!」前編
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♪ミライの星からワープだよ☆
時空(とき)をかけぬけ ぷぷぷーん!
キラリ 髪のアンテナが
ちょっと不安定?でもいいじゃん!
ふりそそぐ光線(ビーム)も
商店街のネコも
ぜんぶ初体験で ハートがバクハツ!
ちゃっかり どっかり 地球生活!
朝も夜もテンションMAX
おにぎりの意味がまだ謎だけど
「それでもイケる!」ぷぷるん談☆
ドジってラッキー 転んでラブリー
地球のルール 宇宙語で解読中~
未来のキセキ、ここにあるよ
ぷぷるん☆ワープでごあいさつ!
ふしぎ道具でお手伝い♪
でも大体トラブル製造機★
「これはお掃除ロボです!」
→校庭にクレーター Why!?
それでも笑ってくれる
ヒトってやっぱすごい!
やさしさの翻訳機、
起動しなくても感じるんだ
じわっと ほわっと この気持ち
重力より引力強め
宿題はまだ苦手だけど
「地球がスキ!」ぷぷるん印☆
スキャンでピース テレパシーKISS
なんでか泣けちゃう空の色
未来にないもの ここにあるの
ぷぷるん☆今日もよろしくね!
星が違っても キモチはきっと届くから
今このときを ぜんぶ宝物にしよう!
ぷぷるん☆ワープでごあいさつ!
エンディングまでノンストップっぷ!
そんな、とても正気の沙汰とは思えない歌が突然頭の中で流れ、在経レイタ(ありふ れいた)は飛び起きた。
四月の、やけにあったかい朝だった。
つい先ほどまで、彼は自室のベッドで眠っていた。
夢を見ていたような気がする。
銀髪のツインテールで、青い瞳と色白の肌を持つ、見た目はひとつかふたつ年下の中学生くらいの女の子だった。性格は天真爛漫で純粋無垢。
そんな女の子が空から降ってくる夢だ。
美少女というやつは、決まって空から降ってくるものらしい。アニメだけじゃなく夢の中でも。
そして、主人公であるレイタは必ずその美少女のキャッチに成功する。
伝統的なボーイミーツガールの物語。
しばらく彼はベッドの上で天井を見つめていた。
窓の外では小鳥のさえずりが聞こえており、心地よい朝のはずだったが、
「ぷっぷっぷ~☆ ぷぷるんワ~プで~ごあいさつぅ~♪」
頭の中では、依然としてそのおかしな歌が流れ続けていた。
「何だ……これ……春アニメのアニソンか?」
キョロキョロと部屋を見渡したが、部屋の中には自分以外は誰もいない。
それもそのはずで、彼の家に今住んでいるのは彼ひとりだった。
その歌はスマホから流れているわけでも、テレビが勝手に点いたわけでもないようだった。
「あれ……? これ、『脳内で再生』されてる……マジか……」
レイタが頭を抱えていると、玄関のチャイムが鳴った。
一階からは玄関のドアがガチャガチャと開けられる音もした。
「レイちゃーん! 起きてるー?」
聞き慣れた声が聞こえてきた。
新改マヒル(しんかい まひる)。レイタの幼なじみの少女の声だった。
とある事情から、彼女は彼の両親から合鍵を渡されていた。
彼の家に今住んでいるのは彼ひとりだったとか、とある事情からと言っても、実は大した理由ではなかった。
父親の仕事の都合で、この春から両親が海外赴任することになり、高校一年生にして一人暮らしすることになっただけだ。
普通の高校生男子にとっては大きすぎるくらいの問題だろうが、ラノベじゃよくある設定だったし、レイタには甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる幼なじみの女の子までいた。ラノベのように。
だから、彼にとっても大した問題ではなかった。
マヒルはけっして恋人というわけではなかった。
中学生の頃から何度も「付き合ってるの?」と聞かれたり、「付き合ってるらしい」という噂が流れたりもしていたが、付き合ってはいないと思う。
子どもの頃からずっと一緒にいるから、姉か妹か従姉妹のような存在だった。
今日はやけに迎えに来るのが早いなと思った。だが、スマホの画面を見るといつも通りの時間だった。
レイタは慌てて制服に着替えることにした。
左目に自作のドクロのマークが入った眼帯をし、誰に見せるわけでもないが、右腕に包帯をぐるぐる巻いていると、マヒルが部屋に入ってきて大きなため息をついた。
彼女はいつも通りの三つ編みで、赤いフレームの眼鏡をかけていた。地味だけどかわいい女の子だとは思う。
レイタは制服のズボンを履いているだけで上半身は裸だったが、はんらはマヒルには見慣れられていたし、彼も見慣れられていたから、お互いに特に赤面するようなことはなかった。
ふたりの関係を「熟年夫婦みたい」とたとえる者が中学生の頃にいたが、思春期でこの関係は確かにそういう関係に似ているかもしれなかった。
立場が逆だったなら、レイタは目のやり場に困ってしまうだろうけれど。マヒルは中2の冬くらいから急に胸が大きくなり、制服を着ていてもその豊満な胸がわかるくらいだったから。
「もー、起きてるならちゃんと返事してくれたらいいのに」
「悪い、マヒル。ちょっと手伝ってくんない? 設定を間違えた。利き腕に包帯巻くのムズい……」
「設定って……えっと、『アリフ』っていう悪魔を右腕に封印してるってやつ?」
マヒルの言う通り、レイタは右腕に自分の苗字と同じ悪魔を封印していた。
彼女はめんどくさそうにしながらも、包帯を丁寧に巻いてくれた。
レイタの「在経(ありふ)」という珍しい苗字は、古文の慣用句から取られたものらしい。
ーーことさわがしき心地して在り経(ありふ)ふる中に。
(『蜻蛉日記(かげろうにっき』中巻より)
ずっとある状態で経過する、ありわたる、生き長らえるという意味だという。
レイタがそれを知ったのは、中学3年になったばかり、中二病を発症したばかりの頃のことだったから、ちょうど一年前になる。
以来彼はその身に、「不老不死の悪魔」であり、「ありわたる者」である『アリフ』を宿し、封印ことにしたのだ。
ちなみに、右腕に封印されているのはアリフの体だけであり、眼帯の下の左目にその魂が封印されている。そういう設定だった。
マヒルが部屋に入ってきた頃からだろうか、脳内再生されていた歌はいつの間にか聞こえなくなっていた。初めて聞く上に、頭がおかしくなりそうになる歌だった。そんな歌が延々と彼の頭の中でリピートされ続けていた。
あれは一体なんだったのだろうか。
マヒルに話すと、
「歌? なんのこと?」
どうやら彼女には何も聞こえていなかったらしい。
「もしかして、どこかで頭でも打った? 学校はお休みして病院で検査してもらう?」
思い切り心配されてしまった。
「きっと、こんなの着けてるからだよ?」
左目に着けていた眼帯を引っ張られ、彼女が手を話すとバチン! と目に直撃し、レイタは悶絶した。
「あっ、ごめんね? レイちゃん……」
「いや……大丈夫……そんなに痛くない……」
「でも、泣いてるよね?」
「な……泣いてないし……」
レイタは、姿見に映る自分の姿を確認した。
「フフッ、どうやら俺の脳はとうとう宇宙人からのメッセージを受け取るようになっちまったらしいな……」
華奢だがほどよく筋肉がついた彼の体は美しく、包帯が巻かれることによって完成する。
「フハハハ、完璧だ! シャツや学ランを上に着るのがもったいないくらいだ! そう思わないか? マヒルとやら」
自称完璧なその姿は、レイタを中二病口調にし「完全体」へと変えるスイッチのようなものだった。
「そうかなぁ。わたしは普段のレイちゃんの方がいいと思うけど」
説明するまでもないだろうが、彼は特に心身を病んでいるわけではない。いずれ黒歴史になるであろう思春期ゆえの迷走である。
時空(とき)をかけぬけ ぷぷぷーん!
キラリ 髪のアンテナが
ちょっと不安定?でもいいじゃん!
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商店街のネコも
ぜんぶ初体験で ハートがバクハツ!
ちゃっかり どっかり 地球生活!
朝も夜もテンションMAX
おにぎりの意味がまだ謎だけど
「それでもイケる!」ぷぷるん談☆
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地球のルール 宇宙語で解読中~
未来のキセキ、ここにあるよ
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ふしぎ道具でお手伝い♪
でも大体トラブル製造機★
「これはお掃除ロボです!」
→校庭にクレーター Why!?
それでも笑ってくれる
ヒトってやっぱすごい!
やさしさの翻訳機、
起動しなくても感じるんだ
じわっと ほわっと この気持ち
重力より引力強め
宿題はまだ苦手だけど
「地球がスキ!」ぷぷるん印☆
スキャンでピース テレパシーKISS
なんでか泣けちゃう空の色
未来にないもの ここにあるの
ぷぷるん☆今日もよろしくね!
星が違っても キモチはきっと届くから
今このときを ぜんぶ宝物にしよう!
ぷぷるん☆ワープでごあいさつ!
エンディングまでノンストップっぷ!
そんな、とても正気の沙汰とは思えない歌が突然頭の中で流れ、在経レイタ(ありふ れいた)は飛び起きた。
四月の、やけにあったかい朝だった。
つい先ほどまで、彼は自室のベッドで眠っていた。
夢を見ていたような気がする。
銀髪のツインテールで、青い瞳と色白の肌を持つ、見た目はひとつかふたつ年下の中学生くらいの女の子だった。性格は天真爛漫で純粋無垢。
そんな女の子が空から降ってくる夢だ。
美少女というやつは、決まって空から降ってくるものらしい。アニメだけじゃなく夢の中でも。
そして、主人公であるレイタは必ずその美少女のキャッチに成功する。
伝統的なボーイミーツガールの物語。
しばらく彼はベッドの上で天井を見つめていた。
窓の外では小鳥のさえずりが聞こえており、心地よい朝のはずだったが、
「ぷっぷっぷ~☆ ぷぷるんワ~プで~ごあいさつぅ~♪」
頭の中では、依然としてそのおかしな歌が流れ続けていた。
「何だ……これ……春アニメのアニソンか?」
キョロキョロと部屋を見渡したが、部屋の中には自分以外は誰もいない。
それもそのはずで、彼の家に今住んでいるのは彼ひとりだった。
その歌はスマホから流れているわけでも、テレビが勝手に点いたわけでもないようだった。
「あれ……? これ、『脳内で再生』されてる……マジか……」
レイタが頭を抱えていると、玄関のチャイムが鳴った。
一階からは玄関のドアがガチャガチャと開けられる音もした。
「レイちゃーん! 起きてるー?」
聞き慣れた声が聞こえてきた。
新改マヒル(しんかい まひる)。レイタの幼なじみの少女の声だった。
とある事情から、彼女は彼の両親から合鍵を渡されていた。
彼の家に今住んでいるのは彼ひとりだったとか、とある事情からと言っても、実は大した理由ではなかった。
父親の仕事の都合で、この春から両親が海外赴任することになり、高校一年生にして一人暮らしすることになっただけだ。
普通の高校生男子にとっては大きすぎるくらいの問題だろうが、ラノベじゃよくある設定だったし、レイタには甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる幼なじみの女の子までいた。ラノベのように。
だから、彼にとっても大した問題ではなかった。
マヒルはけっして恋人というわけではなかった。
中学生の頃から何度も「付き合ってるの?」と聞かれたり、「付き合ってるらしい」という噂が流れたりもしていたが、付き合ってはいないと思う。
子どもの頃からずっと一緒にいるから、姉か妹か従姉妹のような存在だった。
今日はやけに迎えに来るのが早いなと思った。だが、スマホの画面を見るといつも通りの時間だった。
レイタは慌てて制服に着替えることにした。
左目に自作のドクロのマークが入った眼帯をし、誰に見せるわけでもないが、右腕に包帯をぐるぐる巻いていると、マヒルが部屋に入ってきて大きなため息をついた。
彼女はいつも通りの三つ編みで、赤いフレームの眼鏡をかけていた。地味だけどかわいい女の子だとは思う。
レイタは制服のズボンを履いているだけで上半身は裸だったが、はんらはマヒルには見慣れられていたし、彼も見慣れられていたから、お互いに特に赤面するようなことはなかった。
ふたりの関係を「熟年夫婦みたい」とたとえる者が中学生の頃にいたが、思春期でこの関係は確かにそういう関係に似ているかもしれなかった。
立場が逆だったなら、レイタは目のやり場に困ってしまうだろうけれど。マヒルは中2の冬くらいから急に胸が大きくなり、制服を着ていてもその豊満な胸がわかるくらいだったから。
「もー、起きてるならちゃんと返事してくれたらいいのに」
「悪い、マヒル。ちょっと手伝ってくんない? 設定を間違えた。利き腕に包帯巻くのムズい……」
「設定って……えっと、『アリフ』っていう悪魔を右腕に封印してるってやつ?」
マヒルの言う通り、レイタは右腕に自分の苗字と同じ悪魔を封印していた。
彼女はめんどくさそうにしながらも、包帯を丁寧に巻いてくれた。
レイタの「在経(ありふ)」という珍しい苗字は、古文の慣用句から取られたものらしい。
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(『蜻蛉日記(かげろうにっき』中巻より)
ずっとある状態で経過する、ありわたる、生き長らえるという意味だという。
レイタがそれを知ったのは、中学3年になったばかり、中二病を発症したばかりの頃のことだったから、ちょうど一年前になる。
以来彼はその身に、「不老不死の悪魔」であり、「ありわたる者」である『アリフ』を宿し、封印ことにしたのだ。
ちなみに、右腕に封印されているのはアリフの体だけであり、眼帯の下の左目にその魂が封印されている。そういう設定だった。
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あれは一体なんだったのだろうか。
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「きっと、こんなの着けてるからだよ?」
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「な……泣いてないし……」
レイタは、姿見に映る自分の姿を確認した。
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華奢だがほどよく筋肉がついた彼の体は美しく、包帯が巻かれることによって完成する。
「フハハハ、完璧だ! シャツや学ランを上に着るのがもったいないくらいだ! そう思わないか? マヒルとやら」
自称完璧なその姿は、レイタを中二病口調にし「完全体」へと変えるスイッチのようなものだった。
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