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第2話「ぷぷるん☆ワープでごあいさつ!」後編
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「フッ、この素晴らしさが貴様にはまだわからんか。まぁ良い。いずれ貴様にもわかる日が来るだろうからな」
「とりあえず、制服着よっか? あと歯も磨こ? 寝癖もひどいから、歯磨きの間にわたしが直してあげる。それから、次にわたしのこと『貴様』って呼んだらおばさんに告げ口するから」
「はい……ごめんなさい……」
レイタが中二病になってから早一年、マヒルは完璧に彼を正気に戻す方法を心得ていた。
レイタは制服を着るとトボトボと部屋を出て、階段を降りていった。その後ろをマヒルがついてきた。
「レイちゃん、ちゃんと髪乾かしてから寝てる? 絶対濡れたまま寝てるでしょ? 普通こんなにひどい寝癖にはならないよ?」
「今夜からちゃんとします……」
洗面所で歯を磨きながらマヒルに寝癖を直してもらうと、8時近くになっていた。朝のショートホームルームまでにはまだ30分以上ある。遅刻することはないだろうが、ふたりは慌てて玄関を出た。
レイタは中学生時代からの愛車である赤いママチャリにまたがると、先に出たマヒルの後ろについていった。
「ねー、そのドクロの眼帯、やめよ? それで自転車に乗るの、危ないよ?」
「フハハ! 大丈夫だ、娘よ! 眼帯をしていても、俺の左目はちゃんと見えている! 見えているのは現在(いま)ではなく、未来だがな!!」
「おばさんに告げ口するよ?」
「や、やめて……ごめん……」
そんな会話を交わしながら、二人は毎日のように自転車で登校してきた。
小学生のときは同じ通学団だった。自転車通学になったのは中学校からで、3年間毎日のように一緒に登校した。
行き先が隣町にある少しだけ遠い高校に変わっただけで、これからの3年間もきっと変わらないだろう。
変わらないでいい。このままがいい。レイタは、マヒルとの今の関係が心地よかった。
15分ほど自転車を走らせると、ふたりは高校のそばまで来ていた。
レイタはふと空を見上げ、
「ん? なんだ……?」
自転車を止めると、その場に立ち止まった。
「どうしたの? レイちゃん」
マヒルも自転車を止めてレイタを振り返る。
「空が……」
「空?」
「なんか、ちょっと変じゃないか?」
空の彼方から、流れ星のような光がスーッと、いや、ありえない速さで落ちてきていた。しかも、こっちに向かってきていた。
「え? わっ、流れ星!? いや、なんか近くない!? 近すぎない!? レイちゃん! 逃げなきゃっ!!」
逃げる時間なんてなかった。
それは一瞬の出来事だったからだ。
レイタにできたのは、咄嗟にマヒルの前に立ち壁になることくらいだった。
ドォン!!!
轟音と閃光。眩しさに目を閉じ、自転車ごと吹き飛ばされてしまいそうな風圧になんとか耐える。
1分か2分か、あるいは3分かが過ぎると、周囲の空気が異様に静かになった。
先に目を開いたのはマヒルだった。
「レイちゃん……学校が……」
彼女は呆然とした顔で言った。
目を開いたレイタもまた我が目を疑った。
眼帯は爆風によってどこかに飛ばされてしまっていたから、目はよく見えた。
そこにあったはずの街が、つい先日入学したばかりの高校が、見事なまでに吹き飛んで、大きなクレーターになっていた。
「な、なにこれ……俺ら、爆心地近くだったのに……無傷……?」
「まさか、レイちゃんの眼帯や包帯の中身って本当にすごい力があったとか……」
「あるわけないじゃん……」
元の口調に戻ったレイタの頭上から、再び「あの歌声」が聞こえた。
「ぷっぷっぷ~☆ ぷぷるんワ~プで~ごあいさつぅ~♪ おーちーちゃったのだ~~!」
次の瞬間、空からぺたんと何かが落ちてきた。ぺたん、というよりかは、ぺちゃん。まるで蛙が潰れたような音。そう表現するのが一番正確な、それは……
「痛いのだ……大気圏突入時に攻撃を受けたから、入射角が大きく変わってしまったのだ……危うく燃え尽きるとこだったのだ……」
人間だった。
まるで空からではなく宇宙からやってきたような。
ゆっくりと起き上がったその姿は、
「きれいな子……」
銀髪のツインテール、青い瞳、白い肌、中学生くらいの背丈と平たい胸。
マヒルの言う通りありえないくらい可愛い女の子だった。
だが、彼女よりも驚いていたのはレイタだった。
「夢に出てきた女の子にそっくりだ……それにあの声、あの変な歌の……」
その言葉通り、目の前の女の子の外見は夢の中で空から落ちてきた少女にそっくりだった。その声も、彼の頭の中だけで脳内再生されていた歌声と。
夢の中ではナイスキャッチできていたが、やはり現実はラノベやアニメとは違うらしい。
その女の子は魔法少女みたいな衣装を着ており、その上に(?)手足が長く大きくなる代わりに顔や体が剥き出しになるタイプの強化外骨格やパワードスーツとでもいうべきものを身に付けていた。
全身からキラキラしたオーラのようなものを放ってもいた。
魔法少女のような服や彼女自身は無事だったが、強化外骨格の方にはかなりダメージがあるようだった。
「夢に出てきた女の子にそっくり……なのだ?」
レイタがぽかんと口を開けていると、その子はニコニコと近づいてきて、こう言った。
「こんにちはなのだ! わたし、未来星人ぷぷるん! わたしの歌、君にちゃんと届いてたのだ?」
「お前が……俺の頭ん中に歌を流し込んだ犯人か……!」
「うん! ぷぷるん☆電波なのだ~!」
「ご挨拶にしては被害がデカすぎるだろ!!」
未来星人ぷぷるんと名乗ったその少女は「ん~?」と言いながら辺りを見回した。
レイタやマヒル、彼女自身こそ無事だったが、
「ほ、ほんとなのだ!?」
彼女はようやく自分がしでかしたことに気づいたようだった。
「落下速度が即死レベルの速さだったから、ぷぷるんは減速するためにちょっとビームを撃っただけなのだ!? どうしてなのだ??」
とんでもない事態に、彼女は目を丸くしていた。
「加減しろ! 馬鹿!! 学校どころか街ひとつ吹き飛んでんじゃねーか!!!」
小さな町だが、数千人は住んでいたはずだ。登校時間だったから、学校にも何百人も生徒がいただろう。その人たちは……
レイタは考えるのが怖くなってしまった。
「レ、レイちゃん……この子、たぶん地球人じゃないよね……?」
マヒルはレイタの制服の袖をぎゅっと握った。その手だけじゃなく、体まで震えていた。レイタもまた震える手で彼女の手を優しく包み込むように握った。
「ぷぷるんは宇宙人なのだー! そして、君が……在経レイタ(ありふ れいた)、なのだ?」
「お、おう。まぁ、そうだけど……」
ぷぷるんはポワワ~ンと笑いながら、レイタに抱きついてきた。
「よかった……間に合ったのだ……これで、未来星は滅びずにすむのだ……」
元気そうに見えたがだいぶ弱っていたのか、それとも安心したからなのか、彼女はレイタの胸に顔を埋めたまま気を失ってしまった。
「おい、いきなり壮大な話になってきたぞ……!?」
こうして、街が一つ消し飛び、学校がなくなり、謎の宇宙人美少女に一目惚れされ――
「レイちゃん……どうするの? この子……」
「連れて帰るしかないだろうな……」
在経レイタの、地球と宇宙の命運をかけたラブコメバトルな日々が、まるで超新星爆発でも起きたかのように始まった。
「とりあえず、制服着よっか? あと歯も磨こ? 寝癖もひどいから、歯磨きの間にわたしが直してあげる。それから、次にわたしのこと『貴様』って呼んだらおばさんに告げ口するから」
「はい……ごめんなさい……」
レイタが中二病になってから早一年、マヒルは完璧に彼を正気に戻す方法を心得ていた。
レイタは制服を着るとトボトボと部屋を出て、階段を降りていった。その後ろをマヒルがついてきた。
「レイちゃん、ちゃんと髪乾かしてから寝てる? 絶対濡れたまま寝てるでしょ? 普通こんなにひどい寝癖にはならないよ?」
「今夜からちゃんとします……」
洗面所で歯を磨きながらマヒルに寝癖を直してもらうと、8時近くになっていた。朝のショートホームルームまでにはまだ30分以上ある。遅刻することはないだろうが、ふたりは慌てて玄関を出た。
レイタは中学生時代からの愛車である赤いママチャリにまたがると、先に出たマヒルの後ろについていった。
「ねー、そのドクロの眼帯、やめよ? それで自転車に乗るの、危ないよ?」
「フハハ! 大丈夫だ、娘よ! 眼帯をしていても、俺の左目はちゃんと見えている! 見えているのは現在(いま)ではなく、未来だがな!!」
「おばさんに告げ口するよ?」
「や、やめて……ごめん……」
そんな会話を交わしながら、二人は毎日のように自転車で登校してきた。
小学生のときは同じ通学団だった。自転車通学になったのは中学校からで、3年間毎日のように一緒に登校した。
行き先が隣町にある少しだけ遠い高校に変わっただけで、これからの3年間もきっと変わらないだろう。
変わらないでいい。このままがいい。レイタは、マヒルとの今の関係が心地よかった。
15分ほど自転車を走らせると、ふたりは高校のそばまで来ていた。
レイタはふと空を見上げ、
「ん? なんだ……?」
自転車を止めると、その場に立ち止まった。
「どうしたの? レイちゃん」
マヒルも自転車を止めてレイタを振り返る。
「空が……」
「空?」
「なんか、ちょっと変じゃないか?」
空の彼方から、流れ星のような光がスーッと、いや、ありえない速さで落ちてきていた。しかも、こっちに向かってきていた。
「え? わっ、流れ星!? いや、なんか近くない!? 近すぎない!? レイちゃん! 逃げなきゃっ!!」
逃げる時間なんてなかった。
それは一瞬の出来事だったからだ。
レイタにできたのは、咄嗟にマヒルの前に立ち壁になることくらいだった。
ドォン!!!
轟音と閃光。眩しさに目を閉じ、自転車ごと吹き飛ばされてしまいそうな風圧になんとか耐える。
1分か2分か、あるいは3分かが過ぎると、周囲の空気が異様に静かになった。
先に目を開いたのはマヒルだった。
「レイちゃん……学校が……」
彼女は呆然とした顔で言った。
目を開いたレイタもまた我が目を疑った。
眼帯は爆風によってどこかに飛ばされてしまっていたから、目はよく見えた。
そこにあったはずの街が、つい先日入学したばかりの高校が、見事なまでに吹き飛んで、大きなクレーターになっていた。
「な、なにこれ……俺ら、爆心地近くだったのに……無傷……?」
「まさか、レイちゃんの眼帯や包帯の中身って本当にすごい力があったとか……」
「あるわけないじゃん……」
元の口調に戻ったレイタの頭上から、再び「あの歌声」が聞こえた。
「ぷっぷっぷ~☆ ぷぷるんワ~プで~ごあいさつぅ~♪ おーちーちゃったのだ~~!」
次の瞬間、空からぺたんと何かが落ちてきた。ぺたん、というよりかは、ぺちゃん。まるで蛙が潰れたような音。そう表現するのが一番正確な、それは……
「痛いのだ……大気圏突入時に攻撃を受けたから、入射角が大きく変わってしまったのだ……危うく燃え尽きるとこだったのだ……」
人間だった。
まるで空からではなく宇宙からやってきたような。
ゆっくりと起き上がったその姿は、
「きれいな子……」
銀髪のツインテール、青い瞳、白い肌、中学生くらいの背丈と平たい胸。
マヒルの言う通りありえないくらい可愛い女の子だった。
だが、彼女よりも驚いていたのはレイタだった。
「夢に出てきた女の子にそっくりだ……それにあの声、あの変な歌の……」
その言葉通り、目の前の女の子の外見は夢の中で空から落ちてきた少女にそっくりだった。その声も、彼の頭の中だけで脳内再生されていた歌声と。
夢の中ではナイスキャッチできていたが、やはり現実はラノベやアニメとは違うらしい。
その女の子は魔法少女みたいな衣装を着ており、その上に(?)手足が長く大きくなる代わりに顔や体が剥き出しになるタイプの強化外骨格やパワードスーツとでもいうべきものを身に付けていた。
全身からキラキラしたオーラのようなものを放ってもいた。
魔法少女のような服や彼女自身は無事だったが、強化外骨格の方にはかなりダメージがあるようだった。
「夢に出てきた女の子にそっくり……なのだ?」
レイタがぽかんと口を開けていると、その子はニコニコと近づいてきて、こう言った。
「こんにちはなのだ! わたし、未来星人ぷぷるん! わたしの歌、君にちゃんと届いてたのだ?」
「お前が……俺の頭ん中に歌を流し込んだ犯人か……!」
「うん! ぷぷるん☆電波なのだ~!」
「ご挨拶にしては被害がデカすぎるだろ!!」
未来星人ぷぷるんと名乗ったその少女は「ん~?」と言いながら辺りを見回した。
レイタやマヒル、彼女自身こそ無事だったが、
「ほ、ほんとなのだ!?」
彼女はようやく自分がしでかしたことに気づいたようだった。
「落下速度が即死レベルの速さだったから、ぷぷるんは減速するためにちょっとビームを撃っただけなのだ!? どうしてなのだ??」
とんでもない事態に、彼女は目を丸くしていた。
「加減しろ! 馬鹿!! 学校どころか街ひとつ吹き飛んでんじゃねーか!!!」
小さな町だが、数千人は住んでいたはずだ。登校時間だったから、学校にも何百人も生徒がいただろう。その人たちは……
レイタは考えるのが怖くなってしまった。
「レ、レイちゃん……この子、たぶん地球人じゃないよね……?」
マヒルはレイタの制服の袖をぎゅっと握った。その手だけじゃなく、体まで震えていた。レイタもまた震える手で彼女の手を優しく包み込むように握った。
「ぷぷるんは宇宙人なのだー! そして、君が……在経レイタ(ありふ れいた)、なのだ?」
「お、おう。まぁ、そうだけど……」
ぷぷるんはポワワ~ンと笑いながら、レイタに抱きついてきた。
「よかった……間に合ったのだ……これで、未来星は滅びずにすむのだ……」
元気そうに見えたがだいぶ弱っていたのか、それとも安心したからなのか、彼女はレイタの胸に顔を埋めたまま気を失ってしまった。
「おい、いきなり壮大な話になってきたぞ……!?」
こうして、街が一つ消し飛び、学校がなくなり、謎の宇宙人美少女に一目惚れされ――
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