未来星人ぷぷるん VS 強襲! スク水星人 , 激神!! ブルマー星人 , 烈戦!!!女児服星人 , 未来星人絶滅計画!!!!

あめの みかな

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第44話「この星でいちばん可愛い悪夢」

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爆発が過ぎ去ったあとも、焦げた空気が肌にまとわりついて離れなかった。

レイタは、ただ黙っていた。
何かを思い出そうとするように、強く目を閉じたまま。

だが、そんな余韻も数秒で打ち砕かれる。

「ふ~ん……やっぱり、君は特別なんだね、レ・イ・タ・く・ん♪」

その声に、皆は一斉に構えた。

舞うように優雅に、血のような赤いドレスの裾を揺らしながら、女児服星人ジョフクが降り立った。

その手には、うさぎのぬいぐるみ。
その口元には、まるで遊園地で綿菓子を食べるかのような、無邪気な笑顔。

「ねぇ、どうして戦ってるの? 君たちってさ、ほんと滑稽だよ? 失くしたものに気づきもしないで、正義のヒーローごっこなんかして」

レイタは、蜃気楼の剣を手にする。
それは、本来武器など扱えないはずの彼が、一瞬で戦いの流れを理解し、その身に馴染ませた新たな“才能の具現”。
彼のそばに実物大のガ○ダムがあるのは、暗喩だろうか。それとも皮肉だろうか。

「お前……一体、何者なんだ?」

ジョフクの体に、100%チラやポプラ、セルンの体を繋ぎ合わせたような化け物。
レイタはその体を、100%チラが乗っ取っているのだと思っていた。

だが、

「お前は、ジョフクじゃない。チラでもない。ポプラやセルンでもないんだろ?」

今は違っていた。

「お~、さすがだね~。勘のいい子、わたしは好きだよ」

あの4人のことは正直よく知らない。
けれど、目の前にいる化け物とは違うということはわかった。
そして、おそらく、レイタたちの記憶を操作しているのは、この化け物だ。

「え~? そんなの、もう知ってるでしょ? 可愛くてぇ~、強くてぇ~、ものすごぉ~く優秀でぇ~」

少女は、口角をつり上げ、声のトーンを落とした。

「わたしは、お前たちの“思い出”を喰う、悪夢そのもの」

やはり、そうだった。

「マイクロビキニ星人のチ・クビ・マックロイだよぉ~~」

そんな星があることや、イカれた名前だとは思わなかったが。
せめて名前はニ・キビ・マックロイであってほしかった。

「マイクロビキニ星人は、下着とか裸よりエッチだからダメなんだってぇ~。何がダメなのかぁ~、チーにはわかんないんだけど~。脳だけ移植されちゃったの~。バランスボールの上で地球のジュニアアイドルみたいに跳び跳ねたかったのに~~ぴえんだよ~」

「こいつ、なんかむかつくのだ。やるのだ! やってやるなのだ!!」

「お~~、ぷぷるんちゃん、やる気だねぇ~~いいよ、いいよ~、わたしがみーんなまとめてお相手してあげる!」

戦いが始まった。

チ・クビ・マックロイは空間そのものを捻じ曲げる。
空にピンクの雲を咲かせ、地面をゼリーのように変え、建物が歌い出す。

これは戦場ではない。
夢の国――否、悪夢のテーマパーク。

「いらっしゃいませ? ううん、おかえりなさいませかな?」

レイタたちには、チ・クビ・マックロイが何を言っているのか、全くわからなかった。

「おかえりなさいませだよぉ~、忘れっぽいボクちゃんたち♪」

レイタの剣が閃く。
だが、チ・クビ・マックロイの体はまるで霧のようにすり抜ける。
彼の体が攻撃を受けたときのように。

「あーあ、今のでひとつ、技が奪われちゃった。面白い武器だね、それ!」

「なんのことだ?」

「君が作ったんじゃないの? それ。相手にダメージを与えるたびに、相手から技や魔法を奪い取る武器でしょ? ダンクちゃん、最後には何も技が出せなくなってたし」

「ダンク? 誰だ、それ」

「君がさっき倒した筋肉の塊みたいな子のことだよぉ~。圧倒的パワーで物理的に粉砕するゴリラ系女子。あの子が持ってた数少ない技を全部奪ってたでしょ?」

「知らないけど、お前がそういうんならそうなんだろなッ!」

「ん~、今、誰の技を奪われたのかなぁ~? あー! アナルバイブ星人のナルバちゃんのやつだ~! いらない技だから全然いいけど!」

「おい、二度とその星の名前は出すな。尻が痛くなる」

「ねぇ、覚えてる? もっと大事な人がいたこと。なのに、今その名前すら思い出せない。ねぇ、どうして?」

ぷぷるんが叫ぶ。

「だまれ! ミズキのことは、最初から――」

けれど、心のどこかが痛む。
ミズキ。その名前。どこかで聞いたことがある気がする。

チ・クビ・マックロイは高笑いする。

「いいねいいねぇ! もっと悩んで、苦しんで! そしたら、君たちの心、もっと壊せる!」

ウルがナイフを投げ、ルゥが爆炎を撒く。だが通用しない。

チ・クビ・マックロイの能力は、「記憶を改竄する」だけではなかった。
記憶を改ざんした相手の“心”の隙間に入り込む。

レイタの目が一瞬、光を宿した。
剣を逆手に構え、瞬時にチ・クビ・マックロイの懐に飛び込む。

「聞きたいことが山ほどある。でも――まずは、黙らせる!」

一撃。
ようやく、ドレスの袖を切り裂く。

「……あれれ? やるじゃん。今度は技を奪うだけじゃなくて、ちゃんとわたしの服を切れたね! さすが“零多”の力の持ち主だね! 」

彼女が知らないはずの能力の名を口にし、レイタの動きが止まる。

「なんで知ってる?」

「だってぇ、それが君の名前の由来でしょ? 零がたくさんつくような、無限の才能と可能性。パパが君にそう名付けた日から、君の運命は“決まってた”。君のパパはこうなることを知ってたんだよ?」

「やめろッ!!」

レイタが叫ぶと同時に、地面が爆発的に浮き上がる。
彼の“可能性”が、戦場となった万博会場そのものにまで影響を及ぼし始めていた。

ぷぷるん、ウル、ルゥが再び立ち上がる。

三人とも、心に棘が刺さったまま、それでも――

「レイタ、行こう! こいつがわたしたちの記憶に何をしたのか知らないけど、こいつはぶっ飛ばさなきゃ前に進めない!」

「……ああ」

四人は一斉に跳んだ。

刃と魔法と風と光――。
それぞれの力が交錯し、チ・クビ・マックロイを襲う。

一瞬の油断すら許されない、極限の戦い。
だが、彼女は笑っていた。

「本当に思い出したら、もっと辛いと思うよ? だって君たちは――」

チ・クビの言葉は、炎に飲まれて途切れた。
だがそのとき、彼女は“最後の攻撃”を放つ。

「教えてあげる。君たちが殺したのは――“ミズキ”。君たちの、家族だった子だよ」

――その瞬間、全員の動きが止まった。

その名を聞いたとき、何かが、胸の奥で、弾けた。

記憶の断片。
誰かの笑顔。
手を握った感触。
一緒に笑った、泣いた、叫んだ――そんな記憶。

でも、思い出せない。

「……嘘……なのだ……」

ぷぷるんが震える。

「……なにそれ……やだ、そんなの、嘘でしょ……」

「わたしたち、とんでもないことを……」

チ・クビは笑う。

「じゃ、思い出してみなよ。“君たちが殺した彼女”のことを」



次回――
記憶の復元。そして、ミズキの真実。
彼らはすべてを思い出す。そして――泣く。

(つづく)

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