「もしイセ。」~もしも、えっちなことをしてる途中で異世界転移しちゃったら。【異世界転移奇譚 NAYUTA 1,2】~

あめの みかな

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【第五部 異世界転移奇譚 NAYUTA 2 - アトランダム -(RENJI 5)】もしもしっくすないんしてる途中で異世界転移しちゃったら。

第95話

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翌朝、テラを巨大な筒状の物体が貫いた。

その全長は二万キロ以上あり、直径12000キロを有する球状の惑星テラの中心部を貫いた。

宇宙誕生からの150億年の森羅万象を記録するアカシックレコードそのものが実体を持ち、余剰次元の彼方から次元を超え天の川銀河に現れ、光の速さを上回る速度から、さらに加速をしながら太陽系に現れ、そのままテラを貫いたのだ。

そのようなものに貫かれれば、テラは本来なら粉々にくだけ散るはずであった。
リバーステラで何十億年の前に起きたという、火星と同じ規模の惑星が衝突し月が生まれたジャイアント・インパクトを、はるかに上回るものだったからだ。

アカシック・インパクトとでも言うべきそのあり得ない事態は、アカシックレコードそのものがテラを貫きながらテラと一体化することによって、騎士が演武を見せる際にレイピアを刺した大きな球体ような形(ピノアは、つまようじを刺したたこ焼き、と表現した)となった。


「昨日、ちゃんと皆で話をしなければいけなかったわね……」

あまりに突然の事態にステラは頭を悩ませていた。
いや、突然ではなかった。
ちゃんとレンジの妹のリサをこの世界に転移させた棗という男が、ステラと彼に伝えるよう伝言を頼んでいた。


『アカシックレコードがまもなくテラに来る。
必要な情報をすべて収集し終わり、150億年かけて蓄積されたありとあらゆる情報が君たちの敵になる』


だが、たったそれだけの言葉を皆に告げたところで、誰がこんな事態を想定できただろう。

そのリサは、昨晩レンジと共にサクラの部屋で眠り、朝になるとふたりは行方不明になっていた。

レンジはリサを本当に彼女かどうか疑っていたが、やはりイミテーションであり、彼女がレンジを連れ去ったのだろうか。
いや、サクラを見分けることができたように、リサは間違いなく本物だった。
魂が同じだった。

皆が円卓の間で頭を抱えるなか、

「お母さん……ごめんなさい……」

サクラが唐突にステラに謝罪の言葉を口にした。

「わたしが自分でこの身体を魔人の身体にできたのは、リサさんがそうやって魔人になるのを見たからなの……
わたしが考えたわけじゃないの……」

凝縮し、結晶化する寸前の状態にしたエーテルをいくつも作り、それを自らの身体に取り込むことによってサクラは魔人になったと、昨晩いっしょに寝た彼女は言っていた。

「わたしもお母さんやピノアちゃんみたいになりたかったから、それをまねしてみたの……
リサさんは、魔人になった自分の目に映る情報が、それまでと違うことには気づいてた……髪の毛を見て調べてたりしたから……
でも、お母さんたちには一目で自分が魔人になったことがわかることまでは考えてなかったみたいだった……
だからわたしは、わたしに皆の目を引き付けようと思った……

リサさんは、たぶんずっとこの世界に来たかったんだと思う……
ただお父さんに会いたかっただけじゃないんだ……
この世界でやりたいことがあった……

きっとピノアちゃんやサトシおじいちゃんから聞いた話から、身体を魔人にする方法を考えてたんだと思う……
ブライおじいちゃんは人工的に作り出された魔人だったけど、リサさんは赤ちゃんじゃなくても取り込むエーテルの量を増やせば、大人も自分の意思で魔人になれるんじゃないかって……
そう考えていたんだと思う……」

それを実践し、成功した、ということだった。

「秋月文書にそういえば書いてあったなー」

ピノアが言った。

「秋月文書?」

「リサが大人になる前、ちょうどあの身体のころ、10年以上前に書いてたノートだよ。
わたしやサトシから聞いた話をまとめて、そこからいろんなことを想像して、思い付いたことを書いてた。
実際にこの世界に来たこともない、思春期の女の子が書いた夢物語みたいなものだと思ってたけど……」

「ピノアちゃん、もしかして、それに魔人の身体に流れる血は液体金属だって書いてなかった?」

ピノアは、なんで知ってるの? という顔をした。

「わたしの目の前で、リサさんはこうしてた」

サクラは親指を噛み、血をにじませた。

「たぶん、わたしにも同じことができると思う」

ブラッディ・ライドレス、とサクラが呟くと、その血は一瞬で形状を変化させ、レンジの魔装具のような強化外骨格を作り出した。

その場にいた全員が驚かされた。

「……ただの夢物語じゃなかったんだね。
リサは、わたしから聞いた話から、わたしたちも気づいてなかった魔人の身体の可能性に気づいてたんだ。
確か、魔人の血は、脳が発する微弱な電気信号によって、自由に形状を変えられる液体金属だって書いてあった。
頭の中にちゃんと作りたいもののビジョンがあれば、武器を作ったり、レンジの魔装具みたいに強化外骨格を作り出すことも可能だって」

厄介だな~中二病~~、とピノアはため息をついていた。
だが、秋月文書を一部だけだが読んでいたナユタはリサの目的がわかってしまった。

「リサさんは、レンジさんと自分だけの国を作るって、そのノートに書いてたよね。
だから、レンジさんを連れ去ったんじゃないかな……」

「あいつ……ミカナと同じくらいブラコンだったからね……
たぶん、レンジは無事。レンジを一人占めしたいだけ。
ムスブのときはわたしだったけど、今度はレンジになっただけ。
だから、居場所さえわかれば、すぐにぶんなぐってでも目を覚まさせられる。

それよりも、今この世界に起きてることの方がやばい。
アカシックレコードが敵になるってのが本当なら、レンジがいないのはかなりやばいね。
リサにそれを、レンジやステラに伝えるように言ったのは、棗ってやつなんだよね。
しかも、わたしとナユタをすぐに向かわせるって言ってたんでしょ?」

「その棗って人は何者なの?」


ナユタの担任の日本史教師。
偽史に貶められた真実の歴史を探求する者。
戯使遣いと呼ばれる存在であり、ナユタやピノアが見た卑弥呼や和多流だけでなく、おそらくは様々な歴史上の人物の力を召喚し、力を借りることができる。

そして、自我を持ったアカシックレコードが産み出した、レコーダーという存在のひとり。

わかっていることはそれだけだった。

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