「もしイセ。」~もしも、えっちなことをしてる途中で異世界転移しちゃったら。【異世界転移奇譚 NAYUTA 1,2】~

あめの みかな

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【第五部 異世界転移奇譚 NAYUTA 2 - アトランダム -(RENJI 5)】もしもしっくすないんしてる途中で異世界転移しちゃったら。

第118話

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 時を少しだけ遡らせてもらおう。

 テラは、リバーステラが作ったもうひとつの地球だ。
 それは以前からわかっていた。
 だが、リバーステラにとって異世界であるテラがどこに存在するのか知る者は、テラにもリバーステラにもいなかった。

 以前は、テラとリバーステラは、2000年ほど前に歴史が分岐し、魔法と科学という異なる文明の発展をしたパラレルワールドだと考えられていた。
 しかし、その後それは誤りだと判明した。
 そして、テラの魔法文明は、リバーステラにとって超古代文明であり、テラで大厄災が起きた先の未来がリバーステラなのではないかと考えられた。
 だが、それも誤りであり、前述したように、テラは、リバーステラが作ったもうひとつの地球だった。

 テラを作った組織「我々」には、もうひとつ地球は作れても、もうひとつ宇宙は作れない。
 だとすれば、マルチバースと呼ばれる、宇宙はひとつではなく複数存在するという説が事実であり、テラは元々あった別の宇宙に作られたのか? 疑問は尽きなかった。

 結論を言えば、リバーステラとテラは、同じ宇宙の、同じ天の川銀河の、同じ太陽系に、太陽から三番目の惑星として存在する、宇宙規模で見れば二つの世界は同じ場所、同じ時間に存在する異世界だった。
 その構造は、パソコンでイラストを描く際のレイヤーのようなものだ。アニメーションにも近い。
 完成されたイラストは同じ場所に存在しているが、背景やキャラクター、服などといったものがそれぞれ別々のイラストであるように、そして服の下にキャラクターが、キャラクターの下に背景があり、上位レイヤーと下位レイヤーが存在するように、リバーステラの下に、原初のテラからイレブンス・テラまでのすべてのテラがある。

 そして、ムスブはリバーステラの上にも、ビハインドテラとでも呼ぶべき上位世界があることを知った。

 アカシック・インパクトやレコーダー、デウスエクスマキナ、これらの存在をすべてを喰らう者が許したということは、すべてを喰らう者はその力を欲しているということだ。

 すべてを喰らう者の存在を許してはならない。いずれ消さなければ、必ず人に仇なす存在となる。

 だが、世界の理を変える力を失った雨野ムスブには、もはやすべてを喰らう者の存在を消滅させることはできない。
 たとえ力が残っていても、世界全体が力の干渉を受けない特異点となってしまったテラでは力は使えない。

 無力だった。


「そうとも言い切れぬよ」

 空を見上げる雨野ムスブの肩に手を起き、エビス・サブローは言った。
 ナユタが来ているなら、ピノアもいるだろう、自分の出番はない。そんな言葉を口にし、自らの不甲斐なさを感じていた彼に。
 結晶化したエーテルで作られた義手にも温もりや優しさが感じられた。

「雨野ナユタが戯使遣いとなったことで、お前も戯使遣いの力を手に入れた。
 不老不死の肉体を持たずとも、私利私欲のためではなく世界の理を変える力を使い果たすほどのことを成し遂げた今のお前ならば、裏神器を手にする資格がある」

「裏神器?」

「ナユタが手にしたのは陽の神器だ。
 女王の血脈が二つに分かたれたのはリバーステラの戯使遣いとテラの戯使遣いに神器を与えるため。
 今ここに、お前に陰の神器を託そう」


『白璧之返之勾玉(しらたまのかえしのまがたま)』

『連璧之隣之剣(れんぺきのとなりのつるぎ)』

『黄泉之鏡(よもつのかがみ)』


 ムスブの体を、翡翠色の強化外骨格が覆った。


「雨野ナユタは、アマテラスとスサノオ、ツクヨミの力を手にした。
 アマテラスとは、邪馬台国の女王卑弥呼、そして壱与。
 スサノオとは、卑弥呼の弟である和多流、そして多卦留。
 ツクヨミとは、卑弥呼と和多流の妹たちである月の審神者の三姉妹」

 サブローやアハシマはアンフィス・バエナ・イポトリルとその妻であるマグ・ダラの子であったが、アマテラスらは、アンフィスとその後妻であるベタ・ニアの子だという。
 そして、アマテラスらとは対極の存在をもベタ・ニアは生んだ。

「それが、オオマガツヒとヤソマガツヒ。
 お前は、災厄を司る神と一体化した」

「災厄……? まさかそれは……」

 大厄災の魔法と似て非なるものだということだった。

「レムレスやギガラニカには、私たちが向かう。賢者の石を使い、すぐにイレブンス・テラの聖者たちを集めてな。お前はすぐに雨野ナユタとピノア・カーバンクルの元に行け」

 とサブローは言った。もっとも、ギルガメッシュやエンキドゥは召喚魔法が使えなくなっているだろうが、と。

「わかった。そうさせてもらう」

 ムスブは空高く舞い上がり、

「まずは、すべてを喰らう者の存在だけを消しておくとするか」

 ヤソマガツヒの力によって、大厄災の魔法や世界の理を変える力のように、その存在を世界から消滅させた。


 では、遡った時を現在に戻そうと思う。


 ラ・ムー大陸に秋月リサが築いた城から発射された無数の大量破壊兵器に撃墜を許してしまった九頭龍は太平洋に沈んだ。

 ナユタはピノアを、ムスブはセーメーを抱きかかえて空に浮かび、巨大なキノコ雲を見上げていた。

 やがて、黒い雨が降り始めた。


「どうしよう……ゴールデン・バタフライ・エフェクトが使えない……
 すべてを喰らう者がどこにもいないの……」

 ピノアの言葉に、すべてを喰らう者の存在を消してしまったことをムスブは後悔した。


 その日、ジパングは太平洋に沈み、テラには再び、ダークマターという魔素が生まれてしまった。
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