​マイクロビキニアーマーの美少女勇者 対 アナルバイブ男爵 ―アジル・イマ戦記 勇者ラピスラズリの性受験英雄譚 学歴の頂、露出の果てに―

あめの みかな

文字の大きさ
10 / 30

​第十話:『決戦! アナルバイブ男爵』

しおりを挟む
​ 扉の向こう側は、外の喧騒が嘘のように静まり返った、巨大な「円形ドーム」だった。
 中央に鎮座するのは、漆黒のベルベットが張られた巨大な椅子。そこに座る男こそ、この学歴地獄の支配者――アナルバイブ男爵。
 彼はシルクハットを被り、顔の半分を奇怪な振動装置が付いた仮面で覆っている。その手には、世界を意のままに書き換える『万魔の願書(パンデミック・エントリシート)』が握られていた。

​「……よく来たな、ラピスラズリ。……いや、捨てられたバグの娘よ」

​「アナルバイブ男爵……! あんたの悪行も、この『王授剣(おじゅけん)』で終わりにしてみせるわ!」
​ 私が剣を突き出すと、男爵は低く笑った。
 私の装備は、もはや「黄金のラメが数粒、肌の凹凸に静電気で張り付いているだけ」という究極概念武装:ゼロ・ナノビキニ。
 羞恥心はもはや物理的な質量を持ち、私の背後には「顔を真っ赤にして叫ぶ巨大な乙女の幻影」が、今にも天を衝かんばかりの熱量で立ち上っていた。

​「威勢がいいな。だが、君のその防御力(恥じらい)は、あくまで『今』この瞬間への反応に過ぎない。……ならば、これに耐えられるかな?」

​ 男爵が指を鳴らした。
 瞬間、周囲の壁に無数のスクリーンが出現し、そこに「私の未来」が映し出された。

​「――『将来への不安(フューチャー・トラウマ)』!!」

​ 映し出されたのは、戦いが終わった後の、惨めな私の姿。
 『マイクロビキニで戦った元勇者』というレッテルを貼られ、再就職もできず、近所の子供たちに「あ、あの露出狂のお姉ちゃんだ!」と指を差され、独り寂しく、宿屋の片隅で老いていく私の未来……。

​「あ、……あああ……っ!!」

​「どうだ、ラピスラズリ。君が今、この瞬間の露出を誇れば誇るほど、君の『未来』は暗転する。……履歴書に書けるか? 『特技:マイクロビキニでの世界救済』とな! ククク……!」

​ 精神(メンタル)が、音を立てて削られていく。
 羞恥心は「今この時」の爆発力にはなるが、「将来の不安」というじわじわと魂を真綿で締めるような攻撃には、あまりにも脆い。
 私の肌から紫のオーラが消え、防御力が急落する。

​「……履歴書に……書けない……。……お見合いも……できない……。……私の人生、……真っ暗じゃないのよ……っ」

​ 膝が笑い、視界が滲む。
 男爵が『万魔の願書』から、黒い触手のようなエネルギーを放った。
 もはや防ぐ術はない。
 だが、その触手が私の肌に触れる直前、私は自分の手元を見た。
​ そこには、宿屋の娘だった頃からずっと、働き続けて硬くなった「自分の掌」があった。

​「……何よ。……何が将来よ……!」

​ 私は、ガタガタと震える足で、一歩前へ踏み出した。

​「履歴書に何を書けばいいか……そんなの、自分の指で一文字ずつ、これから決めるわよ! ……未来が真っ暗なら、今、私がこの場所で、……この『最高に恥ずかしい格好』で、太陽みたいに輝いてやるわ!!」

​ ドォォォォォン!!
​ 私の「ゼロ・ナノビキニ」が、七色のプリズム光線を放った。
 将来の不安? そんなの、今この瞬間の「恥ずかしくてたまらないけど、負けたくない!」という熱量の前では、ただのノイズに過ぎない。

​「あんたの決めた『正解のルート』なんて知らない! 私は! 恥をかき捨てて! 明日を自分で書き起こすのよぉぉぉぉ!!」

​ 私の羞恥心は、ついに個人的な感情を超え、世界そのものを書き換える「自由のバグ」へと昇華した。
 男爵の映し出した未来の映像が、私の放つ「無敵の今」に当てられて、次々とホワイトアウトしていく。

​「な……っ、未来への不安を……『今の恥ずかしさ』で塗り潰しただと!? 貴様、どれだけポジティブなバグなんだ!!」

​「――行くわよ、男爵!! 次が、あんたの不合格発表よ!!」

​ 私は、ラメの一粒一粒を弾丸のように発光させながら、男爵の懐へと飛び込んだ。
 羞恥心は、ついに「神の領域」へと達しようとしていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

魔王と呼ばれた勇者、或いは勇者と呼ばれた魔王 〜最強の魔剣で自由に生きる! 金も女も、国さえも思いのまま!! …でも何かが違うみたいです

ちありや
ファンタジー
クラスメートからのイジメが元で死んでしまった主人公は、その報われぬ魂を見かねた女神によって掬い上げられ異世界で転生する。 女神から授けられた不思議な剣を持つことで、彼はあらゆる敵に打ち勝ちあらゆる難問を解き明かし、あらゆる女性を虜にする力を手に入れる。 無敵の力を手に入れた男が次に望む物は果たして…? 不定期連載(7〜10日間隔で出していく予定)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...