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『マイクロビキニアーマーの女勇者 対 アナルバイブ男爵:Re-Birth』
最終話:『ピントの彼方へ ― さらば、愛しき露出勇者』
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新宿の街は、死に絶えたような静寂に包まれていた。
血の海の中で、私は荒い息をつきながら、ようやく立ち上がった。全身を赤く染めたお兄ちゃんが、崩れ落ちた瑤島光の残滓を見つめている。
「……終わったんだね、お兄ちゃん。これで、もう……」
私が安堵の笑みを浮かべ、お兄ちゃんの血塗られたコートに手を伸ばそうとした、その時だった。
お兄ちゃんが、ゆっくりと私を拒絶するように一歩下がった。その瞳には、今まで見たこともないような「決別」の光が宿っていた。
「瑠璃、前に俺はお前に言ったな。お前の居場所は、俺がピントを合わせ続けている限り、ここにあると」
「……ええ。だから、私……」
「……だが、現実を見ろ。いくらこいつらが異世界から転生した魔王であっても、俺たちがしたことは殺人だ」
お兄ちゃんの声は、冬の夜気よりも冷たく、私の胸を突き刺した。お兄ちゃんは返り血を拭うこともせず、震える手で懐から「虹色に発光する未知のトライアルレンズ」を取り出した。それを、血に濡れた検眼枠(テストフレーム)の最も外側のスロットへ差し込む。
「お前を犯罪者――連続殺人犯にするわけにはいかない。『星喰いの凶星(ステラ・ディヴォアラー)』になるのは、私ひとりでいい」
「……待って。何を言ってるの!? 一緒に帰ろうって言ったじゃない! お兄ちゃん!!」
私は駆け寄ろうとしたが、お兄ちゃんがレンズのダイヤルを回した瞬間、私の周囲に、この世のものとは思えないほど美しく、そして禍々しい光の檻が出現した。
「お前をこのテストフレームとトライアルレンズでもう一度異世界に飛ばし、そして、私や、この世界のすべての人々から勇者ラピスラズリの記憶を消す。……お前はあちらの世界で、誰にも指を差されることのない、真の勇者として生きるんだ」
「そんなの嫌よ!! お兄ちゃんがいない世界なんて、日常なんて、私には……っ!!」
「さらばだ、瑠璃。……お前の恥じらいは、最後まで……俺の瞳に焼き付いている」
「お兄ちゃん!! お兄ちゃあああああああ!!!」
私の叫びを置き去りにして、次元を切り裂く極光が爆発した。
私の身体が粒子となって消えていく間際、最後に視界に結像したのは、血まみれのタキシードを纏い、孤独な殺人鬼として警察のサイレンが迫る暗闇へ歩き出す、お兄ちゃんの背中だった。
――そして、私の意識は深い闇へと墜ちていった。
数分後。
崩落した新宿の路地裏。遠くから何台ものパトカーが包囲網を狭めてくる音が響く中、一人の刑事が、血の臭いを辿って袋小路へと踏み込んだ。
武御 雷(たけみ らい)。
彼は、目の前の光景に息を呑んだ。
そこには、逃げる素振りも見せず、ただ静かに壁に寄りかかり、血塗られた眼鏡――検眼枠を弄んでいる男がいた。
真っ白だったはずのタキシードは、見るも無惨にどす黒く塗り潰されている。
「……動くな。警察だ」
雷が拳銃を構え、声を震わせる。
男――天城星哉は、ゆっくりと顔を上げた。その表情には、目的を完遂した者だけが持つ、不気味なまでの静謐さが漂っていた。
「……ようやく、ピントが合ったようだな。刑事さん」
星哉は、降参を示すようにゆっくりと両手を上げた。その手からは、まだ新鮮な血が滴り落ち、アスファルトを叩いている。
「お前が……連続殺人犯、星喰いの凶星(ステラ・ディヴォアラー)だな?」
「……ああ。私が、君の探している男だ。……すべての罪は、この私にある」
冬の星々が見守る中、一人の勇者が世界から消え、一人の殺人鬼が、望み通りに闇へと堕ちた。
新宿の空に、空虚なサイレンの音がいつまでも鳴り響いていた。
血の海の中で、私は荒い息をつきながら、ようやく立ち上がった。全身を赤く染めたお兄ちゃんが、崩れ落ちた瑤島光の残滓を見つめている。
「……終わったんだね、お兄ちゃん。これで、もう……」
私が安堵の笑みを浮かべ、お兄ちゃんの血塗られたコートに手を伸ばそうとした、その時だった。
お兄ちゃんが、ゆっくりと私を拒絶するように一歩下がった。その瞳には、今まで見たこともないような「決別」の光が宿っていた。
「瑠璃、前に俺はお前に言ったな。お前の居場所は、俺がピントを合わせ続けている限り、ここにあると」
「……ええ。だから、私……」
「……だが、現実を見ろ。いくらこいつらが異世界から転生した魔王であっても、俺たちがしたことは殺人だ」
お兄ちゃんの声は、冬の夜気よりも冷たく、私の胸を突き刺した。お兄ちゃんは返り血を拭うこともせず、震える手で懐から「虹色に発光する未知のトライアルレンズ」を取り出した。それを、血に濡れた検眼枠(テストフレーム)の最も外側のスロットへ差し込む。
「お前を犯罪者――連続殺人犯にするわけにはいかない。『星喰いの凶星(ステラ・ディヴォアラー)』になるのは、私ひとりでいい」
「……待って。何を言ってるの!? 一緒に帰ろうって言ったじゃない! お兄ちゃん!!」
私は駆け寄ろうとしたが、お兄ちゃんがレンズのダイヤルを回した瞬間、私の周囲に、この世のものとは思えないほど美しく、そして禍々しい光の檻が出現した。
「お前をこのテストフレームとトライアルレンズでもう一度異世界に飛ばし、そして、私や、この世界のすべての人々から勇者ラピスラズリの記憶を消す。……お前はあちらの世界で、誰にも指を差されることのない、真の勇者として生きるんだ」
「そんなの嫌よ!! お兄ちゃんがいない世界なんて、日常なんて、私には……っ!!」
「さらばだ、瑠璃。……お前の恥じらいは、最後まで……俺の瞳に焼き付いている」
「お兄ちゃん!! お兄ちゃあああああああ!!!」
私の叫びを置き去りにして、次元を切り裂く極光が爆発した。
私の身体が粒子となって消えていく間際、最後に視界に結像したのは、血まみれのタキシードを纏い、孤独な殺人鬼として警察のサイレンが迫る暗闇へ歩き出す、お兄ちゃんの背中だった。
――そして、私の意識は深い闇へと墜ちていった。
数分後。
崩落した新宿の路地裏。遠くから何台ものパトカーが包囲網を狭めてくる音が響く中、一人の刑事が、血の臭いを辿って袋小路へと踏み込んだ。
武御 雷(たけみ らい)。
彼は、目の前の光景に息を呑んだ。
そこには、逃げる素振りも見せず、ただ静かに壁に寄りかかり、血塗られた眼鏡――検眼枠を弄んでいる男がいた。
真っ白だったはずのタキシードは、見るも無惨にどす黒く塗り潰されている。
「……動くな。警察だ」
雷が拳銃を構え、声を震わせる。
男――天城星哉は、ゆっくりと顔を上げた。その表情には、目的を完遂した者だけが持つ、不気味なまでの静謐さが漂っていた。
「……ようやく、ピントが合ったようだな。刑事さん」
星哉は、降参を示すようにゆっくりと両手を上げた。その手からは、まだ新鮮な血が滴り落ち、アスファルトを叩いている。
「お前が……連続殺人犯、星喰いの凶星(ステラ・ディヴォアラー)だな?」
「……ああ。私が、君の探している男だ。……すべての罪は、この私にある」
冬の星々が見守る中、一人の勇者が世界から消え、一人の殺人鬼が、望み通りに闇へと堕ちた。
新宿の空に、空虚なサイレンの音がいつまでも鳴り響いていた。
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