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伯爵家の慶事
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一週間、ヴィクターは親戚に任せっぱなしだった領地へ赴き、諸々の仕事をこなす。
結婚をして半年。ここまで長い間妻アルベルタと離れ離れになるのは初めてだった。
逸る気持ちを抑えつつ、家路に就く。
都はしんしんと雪が降り、とても肌寒かった。
途中、花屋で花を買う。
隣国に行ったさいに、義兄ギルバートが言っていたのだ。女性は花を贈られると大変喜ぶと。
真っ赤な冬薔薇を購入した。
きっと、笑顔で受け取ってくれるだろう。そう思いながら、帰宅する。
「お帰りなさいませ、旦那様」
うやうやしく頭を下げるのは、執事となったラザレス。上着を脱いで、手渡した。
「アルベルタは?」
「奥様は居間にいらっしゃるかと」
「わかった」
この一週間、苦手な社交や取引など、必死に耐えつつやり遂げた。
アルベルタに報告して、褒めてもらおう。そんな下心を覗かせつつ、居間に向かう。
扉を叩き、中へと入る。
アルベルタは長椅子に腰かけていた。ヴィクターに気付くなり、立ち上がったが。
「――うっ!」
突然口元を押さえ、顔を伏せる。
「アルベルタ……?」
「ちょっと、すみません」
口元を抑えたアルベルタはヴィクターの脇を通り抜けて、洗面所へと走っていく。
自分の顔を見るなり、具合が悪くなった愛妻の姿に愕然とする。
何か間違った振る舞いをしたのだろうかと考えるが、何も浮かばなかった。
ばさりと花束を落とし、頭を抱えるヴィクター。
「お兄様、お帰りなさい。……まあ、どうかしたの?」
部屋の真ん中で頭を抱えるヴィクターの姿を見つけたイザドラが、心配そうに声を掛ける。
「ア、アルベルタが、私の顔を見るなり、その、具合が悪くなったようで」
「……え?」
「何やら、吐き気を我慢していたような、気がする」
「まあ!」
イザドラはその場で軽く跳び上がって驚く。
「お嬢さま、お茶をご用意いたしますか~?」
ひょっこりと顔を出したのは、イザドラ付の侍女であるアビゲイル。
「それどころではないわ。お医者様を呼んでちょうだい。今すぐに!」
「し、承知いたしました~~」
医者の手配が済めば、イザドラは兄の背中を優しく撫で、長椅子に座らせる。
「お兄様、アルベルタお義姉様は、きっと大丈夫よ」
ヴィクターの顔を見て、具合を悪くしたのではないと告げる。
「多分だけれど、いいことが発覚すると思うの」
「……」
「お兄様?」
「……」
「ダメね。お義姉様にしか治せないわ」
放心状態となったヴィクターは放置して、イザドラはアルベルタのもとに向かうことにした。
◇◇◇
診断後、ヴィクターは医者に呼び出される。
顔面蒼白状態で顔を出し、笑われてしまった。
「おやおや、診断が必要だったのは、ヴィクター坊ちゃんのようでしたな」
「うるさい! ……で、どうだったんだ?」
医者の明るい様子から、容体はそこまで悪いものではないとわかった。けれど、念のために確認をしておく。
「恐らく、二ヶ月くらいでしょう」
「――は?」
「詳しくは奥様にお聞きになってくださいな」
笑顔でそう答えると、医者は部屋から去って行く。
バタンと、扉を閉める音が妙に大きく感じた。
ヴィクターはフラフラとした足取りで、寝台の背に背中を預けて座っているアルベルタの手をぎゅっと握る。
「おい、アルベルタ。大丈夫――ではないな?」
医者は言った。恐らく、二ヶ月しかもたないだろうと。
アルベルタの表情は、翳っているように見えた。
奈落に突き落とされたような絶望感に襲われる。
「私は、この先どう生きればいい?」
「別に、今まで通り生きたらいいのでは?」
あっさりと、そう返されてショックを受けるヴィクター。
「お前のいない人生など、意味がない」
「それはそれは。ありがたいですが、重たいですね」
「どれだけ苦労をして、私はお前と結婚できたと思っているのだ」
「感謝をしております。生まれてくる子も、きっと幸せです」
「は?」
「はい?」
真顔で顔を見つめ合う二人。
「医者は、二ヶ月だと言ったが?」
「ああ~、なるほど」
ここで、双方の認識に違いがあると、アルベルタは言った。
「どういう意味だ?」
「余命二ヶ月じゃないですよ。妊娠二ヶ月です」
「に、にんしんって」
「子どもができたのですよ。ヴィクターさんはお父様になるのです」
アルベルタの言葉を聞いたヴィクターは脱力して、その場に膝を突く。
眦からどっと、涙が溢れてきた。
「不思議な気分ですね。なんだかふわふわしていて、信じられない気持ちなのですが」
アルベルタの話を前に、パチパチと目を瞬かせるヴィクター。
「そ、そんな……、私は、てっきり、お前の命が幾ばくもないと思って――」
「嬉しくないですか?」
「嬉しい。死ぬほど」
「よかった」
アルベルタはヴィクターを抱き、頭をそっと撫でる。
「ありがとうございます。私は幸せ者です」
「それは、私の台詞だ」
夫婦は抱き合い、幸せを噛み締めた。
◇◇◇
「――アルベルタ!!」
次に部屋へと飛び込んできたのは、コーデリアだった。
医者から話を聞いたと、興奮気味に話しかけてくる。
「あなた、本当に、本当に、おめでとう!」
今まで見せたこともないような満面の笑みで、アルベルタを抱きしめる。
「ああ、私がお婆さんになるなんて、信じられないわ。とても、嬉しい……」
頬に口付けをして、新しい家族を祝福するコーデリア。
アルベルタは呆然として、キスをされた頬を指先で触れる。
「ああ。こうしていられないわ。子ども部屋を用意しなきゃいけないわ。おむつや産着も必要ね。それから、ええっと、待って。女中頭に相談しなきゃ!」
コーデリアは百貨店に行って来ると、部屋を飛び出して行った。
残された夫婦は驚き、目を見開いている。
「驚きました。まさか、あんなに喜んでいただけるなんて」
「私も、あんな母を見たのは初めてだ」
頬にキスもされた。
こんなことなど、ありえないとアルベルタは話す。
「頬にキスなど、私には一度もしたことがないが」
「子どもの時ならあるでしょう?」
「いや、ない」
せっかくなので、たまにはねだってみればいいというアルベルタの助言に、ぶんぶんと勢いよく首を振るヴィクターであった。
続いて、イザドラもやって来た。
「お兄様、お義姉様おめでとうございます。とっても嬉しい」
兄と義姉を交互に抱擁し、にっこりと笑顔を見せる。
「イザドラさん、ありがとうございます」
「お姉さんになれる日を、楽しみにしているわ」
にこにこと微笑ましい雰囲気であったが、ヴィクターが余計な一言を口にする。
「イザドラ。お前はお姉さんじゃなくて、おばさんだろう」
「!?」
その一言はイザドラにとって衝撃的な一言だったらしく、凄まじい表情で睨まれるヴィクター。
「お、おばさん、って!」
「あ、いや、まあ、そうだな。しばらくは、お姉さんにしとこうか」
その一言で、イザドラに笑顔が戻る。
ほっと胸を撫で下ろすヴィクターであった。
◇◇◇
妊娠が発覚してから、コーデリアはアルベルタにべったりであった。
「アルベルタ、妊娠中はお酒、カフェインが含まれているコーヒー、紅茶は絶対にダメよ」
「はい、お義母様」
そう言って、コーデリアはノンカフェインの紅茶を用意してくれた。
「これ、百貨店で買ったの。妊娠中に飲んでも、問題ないのですって」
コーデリアが手ずから淹れる紅茶はルイボスティーと呼ばれる物。
異国から輸入され、さまざまな効能がある。
「まず、子宮を安定させる効果があるのですって」
ミネラルが豊富で、美肌効果があり、老化現象を除去する。
癖がなく、渋みもほとんどなくて、すっきりしていて飲みやすい紅茶であった。
「どう?」
「美味しいです」
「そう。私も飲んでみようかしら?」
「ええ、今まで以上にお綺麗になるかと」
「まあ、アルベルタったら、またそんなことを言って」
「本当のことを言ったまでですよ」
「まったくもう」
柔らかく微笑むコーデリアを見て、アルベルタは良かったと思う。
いろいろと張り詰めた人生を送っていた彼女であったが、今は心からの微笑みを浮かべていた。家族が増えたら、さらに笑顔を見せてくれるだろう。
アルベルタはそんな日を心待ちにしていた。
結婚をして半年。ここまで長い間妻アルベルタと離れ離れになるのは初めてだった。
逸る気持ちを抑えつつ、家路に就く。
都はしんしんと雪が降り、とても肌寒かった。
途中、花屋で花を買う。
隣国に行ったさいに、義兄ギルバートが言っていたのだ。女性は花を贈られると大変喜ぶと。
真っ赤な冬薔薇を購入した。
きっと、笑顔で受け取ってくれるだろう。そう思いながら、帰宅する。
「お帰りなさいませ、旦那様」
うやうやしく頭を下げるのは、執事となったラザレス。上着を脱いで、手渡した。
「アルベルタは?」
「奥様は居間にいらっしゃるかと」
「わかった」
この一週間、苦手な社交や取引など、必死に耐えつつやり遂げた。
アルベルタに報告して、褒めてもらおう。そんな下心を覗かせつつ、居間に向かう。
扉を叩き、中へと入る。
アルベルタは長椅子に腰かけていた。ヴィクターに気付くなり、立ち上がったが。
「――うっ!」
突然口元を押さえ、顔を伏せる。
「アルベルタ……?」
「ちょっと、すみません」
口元を抑えたアルベルタはヴィクターの脇を通り抜けて、洗面所へと走っていく。
自分の顔を見るなり、具合が悪くなった愛妻の姿に愕然とする。
何か間違った振る舞いをしたのだろうかと考えるが、何も浮かばなかった。
ばさりと花束を落とし、頭を抱えるヴィクター。
「お兄様、お帰りなさい。……まあ、どうかしたの?」
部屋の真ん中で頭を抱えるヴィクターの姿を見つけたイザドラが、心配そうに声を掛ける。
「ア、アルベルタが、私の顔を見るなり、その、具合が悪くなったようで」
「……え?」
「何やら、吐き気を我慢していたような、気がする」
「まあ!」
イザドラはその場で軽く跳び上がって驚く。
「お嬢さま、お茶をご用意いたしますか~?」
ひょっこりと顔を出したのは、イザドラ付の侍女であるアビゲイル。
「それどころではないわ。お医者様を呼んでちょうだい。今すぐに!」
「し、承知いたしました~~」
医者の手配が済めば、イザドラは兄の背中を優しく撫で、長椅子に座らせる。
「お兄様、アルベルタお義姉様は、きっと大丈夫よ」
ヴィクターの顔を見て、具合を悪くしたのではないと告げる。
「多分だけれど、いいことが発覚すると思うの」
「……」
「お兄様?」
「……」
「ダメね。お義姉様にしか治せないわ」
放心状態となったヴィクターは放置して、イザドラはアルベルタのもとに向かうことにした。
◇◇◇
診断後、ヴィクターは医者に呼び出される。
顔面蒼白状態で顔を出し、笑われてしまった。
「おやおや、診断が必要だったのは、ヴィクター坊ちゃんのようでしたな」
「うるさい! ……で、どうだったんだ?」
医者の明るい様子から、容体はそこまで悪いものではないとわかった。けれど、念のために確認をしておく。
「恐らく、二ヶ月くらいでしょう」
「――は?」
「詳しくは奥様にお聞きになってくださいな」
笑顔でそう答えると、医者は部屋から去って行く。
バタンと、扉を閉める音が妙に大きく感じた。
ヴィクターはフラフラとした足取りで、寝台の背に背中を預けて座っているアルベルタの手をぎゅっと握る。
「おい、アルベルタ。大丈夫――ではないな?」
医者は言った。恐らく、二ヶ月しかもたないだろうと。
アルベルタの表情は、翳っているように見えた。
奈落に突き落とされたような絶望感に襲われる。
「私は、この先どう生きればいい?」
「別に、今まで通り生きたらいいのでは?」
あっさりと、そう返されてショックを受けるヴィクター。
「お前のいない人生など、意味がない」
「それはそれは。ありがたいですが、重たいですね」
「どれだけ苦労をして、私はお前と結婚できたと思っているのだ」
「感謝をしております。生まれてくる子も、きっと幸せです」
「は?」
「はい?」
真顔で顔を見つめ合う二人。
「医者は、二ヶ月だと言ったが?」
「ああ~、なるほど」
ここで、双方の認識に違いがあると、アルベルタは言った。
「どういう意味だ?」
「余命二ヶ月じゃないですよ。妊娠二ヶ月です」
「に、にんしんって」
「子どもができたのですよ。ヴィクターさんはお父様になるのです」
アルベルタの言葉を聞いたヴィクターは脱力して、その場に膝を突く。
眦からどっと、涙が溢れてきた。
「不思議な気分ですね。なんだかふわふわしていて、信じられない気持ちなのですが」
アルベルタの話を前に、パチパチと目を瞬かせるヴィクター。
「そ、そんな……、私は、てっきり、お前の命が幾ばくもないと思って――」
「嬉しくないですか?」
「嬉しい。死ぬほど」
「よかった」
アルベルタはヴィクターを抱き、頭をそっと撫でる。
「ありがとうございます。私は幸せ者です」
「それは、私の台詞だ」
夫婦は抱き合い、幸せを噛み締めた。
◇◇◇
「――アルベルタ!!」
次に部屋へと飛び込んできたのは、コーデリアだった。
医者から話を聞いたと、興奮気味に話しかけてくる。
「あなた、本当に、本当に、おめでとう!」
今まで見せたこともないような満面の笑みで、アルベルタを抱きしめる。
「ああ、私がお婆さんになるなんて、信じられないわ。とても、嬉しい……」
頬に口付けをして、新しい家族を祝福するコーデリア。
アルベルタは呆然として、キスをされた頬を指先で触れる。
「ああ。こうしていられないわ。子ども部屋を用意しなきゃいけないわ。おむつや産着も必要ね。それから、ええっと、待って。女中頭に相談しなきゃ!」
コーデリアは百貨店に行って来ると、部屋を飛び出して行った。
残された夫婦は驚き、目を見開いている。
「驚きました。まさか、あんなに喜んでいただけるなんて」
「私も、あんな母を見たのは初めてだ」
頬にキスもされた。
こんなことなど、ありえないとアルベルタは話す。
「頬にキスなど、私には一度もしたことがないが」
「子どもの時ならあるでしょう?」
「いや、ない」
せっかくなので、たまにはねだってみればいいというアルベルタの助言に、ぶんぶんと勢いよく首を振るヴィクターであった。
続いて、イザドラもやって来た。
「お兄様、お義姉様おめでとうございます。とっても嬉しい」
兄と義姉を交互に抱擁し、にっこりと笑顔を見せる。
「イザドラさん、ありがとうございます」
「お姉さんになれる日を、楽しみにしているわ」
にこにこと微笑ましい雰囲気であったが、ヴィクターが余計な一言を口にする。
「イザドラ。お前はお姉さんじゃなくて、おばさんだろう」
「!?」
その一言はイザドラにとって衝撃的な一言だったらしく、凄まじい表情で睨まれるヴィクター。
「お、おばさん、って!」
「あ、いや、まあ、そうだな。しばらくは、お姉さんにしとこうか」
その一言で、イザドラに笑顔が戻る。
ほっと胸を撫で下ろすヴィクターであった。
◇◇◇
妊娠が発覚してから、コーデリアはアルベルタにべったりであった。
「アルベルタ、妊娠中はお酒、カフェインが含まれているコーヒー、紅茶は絶対にダメよ」
「はい、お義母様」
そう言って、コーデリアはノンカフェインの紅茶を用意してくれた。
「これ、百貨店で買ったの。妊娠中に飲んでも、問題ないのですって」
コーデリアが手ずから淹れる紅茶はルイボスティーと呼ばれる物。
異国から輸入され、さまざまな効能がある。
「まず、子宮を安定させる効果があるのですって」
ミネラルが豊富で、美肌効果があり、老化現象を除去する。
癖がなく、渋みもほとんどなくて、すっきりしていて飲みやすい紅茶であった。
「どう?」
「美味しいです」
「そう。私も飲んでみようかしら?」
「ええ、今まで以上にお綺麗になるかと」
「まあ、アルベルタったら、またそんなことを言って」
「本当のことを言ったまでですよ」
「まったくもう」
柔らかく微笑むコーデリアを見て、アルベルタは良かったと思う。
いろいろと張り詰めた人生を送っていた彼女であったが、今は心からの微笑みを浮かべていた。家族が増えたら、さらに笑顔を見せてくれるだろう。
アルベルタはそんな日を心待ちにしていた。
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