天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜

岩 大志

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ここって…関ヶ原!??

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「殿!しっかりなされよ!」



左近と言っていた男は、津久見の身体を起こしながら言った。



津久見はよろけながらも、自分の為に用意されているであろう椅子に腰かけた。







「殿。時は来ましたぞ。殿の号令でこの大戦始まりまする。」



髭もじゃ左近は言う。







津久見は椅子に座りながら、落ち着きを取り戻すために、深呼吸を始めた。



(夢だ。こんなはっきり自分の意識のある夢もあるんだな)



と、徐々に落ち着きを取り戻しながら、そう思った。



(こういう時はあれだな。ほっぺたを…)



と、自分のほっぺを強くつまんだ。






「痛っ!!!」



津久見は大声で叫んだ。



「殿?」



左近が訝しげに言う。






(あれ?痛いぞ?リアルな夢…みたいな?)







「大丈夫でござるか?さあ、その扇子で号令を!」



と、左近は椅子の横にある小机の扇子を指しながら言う。







(ん~。全然分からないけど。この髭おじさんの言う通りにしておくか。)



と、小机の上にある扇子を手に取った。



細かい柄の部分まで細工のされた立派な扇子であった。






(かっこいいな~。夢の中だし、いっちょやってみるか)



津久見は扇子を広げると、そこにも「大一大万大吉」と書かれている。






(あ~俺、石田三成なのね。ははは)



と思うとちょっと気分が良くなってきた。







「人間五十年~下天のうちに~」



と高ぶる高揚感の中、織田信長が本能寺の変の際に舞ったと言われる「敦盛」を舞ってみる。







「殿!!!」



と左近は怒気を込め迫って来た。







「ごめんなさい!」



津久見は咄嗟に謝った。







と、その時であった。



「パーン!!パーン!!」


遠くでけたたましい銃声が聞こえた。



「ひっ!」



と初めて聞く銃声に津久見は驚き、椅子の裏に隠れた。

左近は状況を見に陣の前方に出た。



「ぬぬぬ。」



と小声で言った。


すると馬の足音が猛スピードで近づいてくるのが、津久見にも分かった。

「申し上げまする!」



やって来た男は馬から降りると、津久見のいる陣幕に入ってきて、片膝をつきながら


「敵軍。井伊、松平隊!自軍宇喜多様へ発砲!のち、開戦されました!」



口早にそう言うと、陣幕を走って出ていった。

「始まったか。先手を取られましたぞ。」



と外の様子を見てきた左近が陣幕に入って来た。


津久見は口をポカンと開けながら聞いている。

「家康め…。」



と左近が呟く。



(井伊が宇喜多に発砲?戦が始まる?この髭のおじさんは左近っていうのね)



津久見は、一つずつ状況を確認していく。



(で、今~左近ちゃんは家康って言ってたから…)

(…………。)



「って、今俺関ヶ原にいるの~~~?!」



と叫ぶと、また白目をむいて後ろに倒れてしまった。







第二話完
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