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その夜は、話しているうちに眠ってしまったらしい。朝になり目を覚ますと、僕は彼のベッドの中にいて、左側の空間がぽっかりと空いていた。寝間着のままリビングの扉を開けると、朝の光とともに食欲を誘う香りに包まれる。
「おはようございます、村上さん」
「おはようございます……」
もう出かけていると思っていたので、何となく虚を突かれたような心地がする。
「ごはん、もうできますけど。一緒に食べます?」
「……食べる」
目を擦りながら答えると、くすっと笑う声。
「まだ眠そうですね」
「うん……少し」
慣れないことをしたせいだろうか。身体よりも、精神面の疲労がきつい気がする。
「今日、お休みですか?」
「ああ、うん」
勤務先の塾の休みは基本的に土日なので、今日は十一時にパジャマでいても許される。
「ああ、そっか。大学も休みですよね」
「そうです」
食事をテーブルに用意しながら、彼は言う。トースト、ベーコン、サラダ、目玉焼き。
「すみません、何か簡単なものばっかで」
「え? ううん」
凝視し過ぎたのだろう。彼が申し訳なさそうに笑う。
「そんなことないよ。目玉焼き、トーストに乗せてもいい?」
「いいですけど。ラピュタみたいですね」
「うん。たまにやると楽しいよね」
「村上さんって……結構こどもみたいなとこありますよね」
もう三十になるのにこどもみたいではだめだろうと思ったが、口には出さない。
「村上さん、休みは何してるんですか?」
「んー……? 溜まってた家事を消化したり、本読んだり、映画見たり、買い物行ったり。かな」
「今日は?」
「決めてないですね。少し買い物して、後は家でのんびり?」
思えば今週は、料理のみならず家事全般を佐藤君が代行してくれていたおかげで、週末にまとめて洗濯したり掃除したりする必要がない。不謹慎な理由から、一瞬結婚への憧れが募る。
「あの、家事、やってくれてありがとう。本当に助かりました」
「ああ、だってそれくらいやらないと割に合わないじゃないですか。村上さん、食費も家賃も要らないって言うし」
結局僕が得ているものの方が大きい気がするが、これも口には出さない。
「佐藤君は、今日何するの?」
「俺は……明日は物件を見に行く予定ですけど。今日は、特に何もないです」
「ふうん……」
ごはんを食べながらの会話は、ひどくまったりしている。そのまったりな状態で、僕は彼に尋ねた。
「じゃあ、ちょっと一緒に買い物でも行く?」
「え?」
「無理にとは、言わないけど」
「行きます」
爽やかな返事を受け、遅めの朝食の後、僕は彼と買い物に出かけることになった。
「おはようございます、村上さん」
「おはようございます……」
もう出かけていると思っていたので、何となく虚を突かれたような心地がする。
「ごはん、もうできますけど。一緒に食べます?」
「……食べる」
目を擦りながら答えると、くすっと笑う声。
「まだ眠そうですね」
「うん……少し」
慣れないことをしたせいだろうか。身体よりも、精神面の疲労がきつい気がする。
「今日、お休みですか?」
「ああ、うん」
勤務先の塾の休みは基本的に土日なので、今日は十一時にパジャマでいても許される。
「ああ、そっか。大学も休みですよね」
「そうです」
食事をテーブルに用意しながら、彼は言う。トースト、ベーコン、サラダ、目玉焼き。
「すみません、何か簡単なものばっかで」
「え? ううん」
凝視し過ぎたのだろう。彼が申し訳なさそうに笑う。
「そんなことないよ。目玉焼き、トーストに乗せてもいい?」
「いいですけど。ラピュタみたいですね」
「うん。たまにやると楽しいよね」
「村上さんって……結構こどもみたいなとこありますよね」
もう三十になるのにこどもみたいではだめだろうと思ったが、口には出さない。
「村上さん、休みは何してるんですか?」
「んー……? 溜まってた家事を消化したり、本読んだり、映画見たり、買い物行ったり。かな」
「今日は?」
「決めてないですね。少し買い物して、後は家でのんびり?」
思えば今週は、料理のみならず家事全般を佐藤君が代行してくれていたおかげで、週末にまとめて洗濯したり掃除したりする必要がない。不謹慎な理由から、一瞬結婚への憧れが募る。
「あの、家事、やってくれてありがとう。本当に助かりました」
「ああ、だってそれくらいやらないと割に合わないじゃないですか。村上さん、食費も家賃も要らないって言うし」
結局僕が得ているものの方が大きい気がするが、これも口には出さない。
「佐藤君は、今日何するの?」
「俺は……明日は物件を見に行く予定ですけど。今日は、特に何もないです」
「ふうん……」
ごはんを食べながらの会話は、ひどくまったりしている。そのまったりな状態で、僕は彼に尋ねた。
「じゃあ、ちょっと一緒に買い物でも行く?」
「え?」
「無理にとは、言わないけど」
「行きます」
爽やかな返事を受け、遅めの朝食の後、僕は彼と買い物に出かけることになった。
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