23 / 53
1.5章 番外編
17.5話 特別な人
しおりを挟む
「寝ちゃったわね……」
でもそれは仕方の無いこと、冬夜はさっきまで銃に撃たれて瀕死状態だったのだ、それを応急処置を済ました程度で元通りなるわけが無い。
普通は貧血による眩暈や傷口の痛みにより立てないのだ。けど冬夜は立ち上がった、他でも無い私の為に……。
「どうして……なんだろう」
どうしてここまで私を見捨て無いでいてくれるのだろう。
どうして私が本当にピンチになった時に助けてくれるのだろう。
「傷の手当てをしたから?ただそれだけで?」
冬夜はその事に関して感謝をしていた。私の方が何倍も与えて貰っているのに、たった一回手当てをしただけで真剣な表情で感謝をしていた。
それに……私がやるべきだったことを冬夜は代わりにしてくれた。
「私は拳銃という武器を持っていたのに……まるで無力だった」
あの時下で冬夜から預かった拳銃。それは今私の後ろポケットに入っていた。あくまでゾンビが来た時のための護身用として渡されていたけど、私は全く撃てる気がしなかった。
あのまま冬夜の助けが入らなかったら私はあの男に……なす術もなく犯されていただろう。きっと女性としての尊厳は打ち砕かれ、生きる気力を無くしていた。自分から自殺を選ぶ選択をしていたと今でも思う。
(あの男が何もして来ないと無警戒で居たのが悪かった……私は男性に対して苦手意識があったのにも関わらず……)
きっと男性への警戒心が薄れてしまったのは冬夜の影響が大きかったと思う。冬夜といると男性と居るとは思えないくらいに安心できた。
真剣に私の事を考えてくれていて、何も利益を生み出さない私を受け入れてくれた。
そしてそんな優しい冬夜に人殺し紛いのことをさせてしまった。
ロッカーで聞いてたあの呻き声と男の悲鳴。その現場を見ることはできなかったが、何となく想像はできる。
あの化物がいる部屋のドアを開けたのはそのせいだ。あの体ではまともに力が出せないと判断して、化物を解放した。
男を止める為ではなく殺すために……。
果たして冬夜はその選択を後悔していないのだろうか。人が目の前で死ぬのは堪えられないと言っていた冬夜は、自分の決断によって人が死んだのを何も感じないだろうか?
苦しかったはずだ。冬夜だったら自分が殺したと思い込んでしまうかもしれないと思った。
悪いのは私なのに……拳銃を持たされていたのにまともに扱えず、男に抵抗することもできず冬夜に一番辛い決断をさせてしまった私が悪いに決まっている。
「ごめんね……冬夜」
私は胸の中で眠っている冬夜をギュッと強く抱きしめる。
(あっ……心臓の鼓動が私の体に伝わってくる。それに……冬夜の体……温かい)
私すごいドキドキしてる……。冬夜と体をくっつけている時は特に。
「さ、さすがにこれ以上抱きついてるとまずいわよね?」
寝たら中々起きない冬夜だが、いつ起きるか分からないためこれ以上抱きついてるのはまずい気がした。
(それにずっと抱きついてたくなっちゃう……)
私は冬夜から名残惜しそうに冬夜から体を離し、寝やすいように膝に冬夜の頭を乗せて寝かせる。
いわゆる膝枕というやつだ。
「冬夜起きたら喜んでくれるかしら……?」
男性はこういう事すると喜ぶと聞いた事があるのだけれど……少し不安。脚の細さも私の良いところではあるけど、寝る分には固くて寝心地が良く無いかもしれない。
私は不安になりつつ冬夜の寝顔を上から覗く。冬夜の顔は心無しかとても気持ち良さそうだった。
「私の膝枕のおかげ……では無いか。さすがにそれは自惚れすぎよね……」
私はそう言いながら冬夜の頭を撫でる。毛流れを整えるように優しく丁寧に撫でていると……
「んん~」
「ふふっ、これは気持ち良さそう」
頭を撫でていると寝ている顔の表情がが少し柔らかくなった気がした。私はその表情で冬夜にとって頭を撫でられるのは気持ちが良い行為なのだと思った。
「こうみると……意外と可愛いかも?」
普段の気丈な姿からは見られない可愛い寝顔。私はその普段の姿からのギャップに病みつきになりそうであった。
「ずっと撫でてようかしら……」
さすがにそれは怒られるかも?けど寝ている間だけなら撫でても……
「奏ぇ……」
「!?」
(え、起きてる!?嘘……もしかして全部聞かれてた?)
「奏ぇ……むにゃむにゃ……」
「寝言か……」
聞かれなくて良かったと思い安堵した。
(でも……夢の中でも私の事を考えてくれているって思うとちょっと嬉しいかも)
「奏は……俺が最後まで責任持って、送り……届けないと」
「冬夜……」
冬夜は自分の感情を私に中々打ち明けてくれない。それは知り合ってから日が浅いというのもあるが、単純に信頼されていないからだと思っていた。
そして寝言を通して初めて知る。冬夜が私に対して思っていた事を。
「責任って何よ……冬夜が責任感じるほど私って弱い存在なの?」
私を化物から助けてしまったから……助けてしまったから中途半端で無責任に投げ出す事を冬夜は良しとしなかったなのだろう。
(冬夜が責任を感じる必要なんて無いのに……)
でもそこが冬夜の良いところでもあるし……むしろ好きなところだ。自分の発言に責任を持っていて芯がある人間。途中で投げ出す事を許さないブレない心。
そんな冬夜を私は……
「ねぇ……私についてきて欲しいって言ったら冬夜はどうする……?」
返答は無い。寝ているから当然だ。しかし答えは私の中で分かっていた。
冬夜は……
でもそれは仕方の無いこと、冬夜はさっきまで銃に撃たれて瀕死状態だったのだ、それを応急処置を済ました程度で元通りなるわけが無い。
普通は貧血による眩暈や傷口の痛みにより立てないのだ。けど冬夜は立ち上がった、他でも無い私の為に……。
「どうして……なんだろう」
どうしてここまで私を見捨て無いでいてくれるのだろう。
どうして私が本当にピンチになった時に助けてくれるのだろう。
「傷の手当てをしたから?ただそれだけで?」
冬夜はその事に関して感謝をしていた。私の方が何倍も与えて貰っているのに、たった一回手当てをしただけで真剣な表情で感謝をしていた。
それに……私がやるべきだったことを冬夜は代わりにしてくれた。
「私は拳銃という武器を持っていたのに……まるで無力だった」
あの時下で冬夜から預かった拳銃。それは今私の後ろポケットに入っていた。あくまでゾンビが来た時のための護身用として渡されていたけど、私は全く撃てる気がしなかった。
あのまま冬夜の助けが入らなかったら私はあの男に……なす術もなく犯されていただろう。きっと女性としての尊厳は打ち砕かれ、生きる気力を無くしていた。自分から自殺を選ぶ選択をしていたと今でも思う。
(あの男が何もして来ないと無警戒で居たのが悪かった……私は男性に対して苦手意識があったのにも関わらず……)
きっと男性への警戒心が薄れてしまったのは冬夜の影響が大きかったと思う。冬夜といると男性と居るとは思えないくらいに安心できた。
真剣に私の事を考えてくれていて、何も利益を生み出さない私を受け入れてくれた。
そしてそんな優しい冬夜に人殺し紛いのことをさせてしまった。
ロッカーで聞いてたあの呻き声と男の悲鳴。その現場を見ることはできなかったが、何となく想像はできる。
あの化物がいる部屋のドアを開けたのはそのせいだ。あの体ではまともに力が出せないと判断して、化物を解放した。
男を止める為ではなく殺すために……。
果たして冬夜はその選択を後悔していないのだろうか。人が目の前で死ぬのは堪えられないと言っていた冬夜は、自分の決断によって人が死んだのを何も感じないだろうか?
苦しかったはずだ。冬夜だったら自分が殺したと思い込んでしまうかもしれないと思った。
悪いのは私なのに……拳銃を持たされていたのにまともに扱えず、男に抵抗することもできず冬夜に一番辛い決断をさせてしまった私が悪いに決まっている。
「ごめんね……冬夜」
私は胸の中で眠っている冬夜をギュッと強く抱きしめる。
(あっ……心臓の鼓動が私の体に伝わってくる。それに……冬夜の体……温かい)
私すごいドキドキしてる……。冬夜と体をくっつけている時は特に。
「さ、さすがにこれ以上抱きついてるとまずいわよね?」
寝たら中々起きない冬夜だが、いつ起きるか分からないためこれ以上抱きついてるのはまずい気がした。
(それにずっと抱きついてたくなっちゃう……)
私は冬夜から名残惜しそうに冬夜から体を離し、寝やすいように膝に冬夜の頭を乗せて寝かせる。
いわゆる膝枕というやつだ。
「冬夜起きたら喜んでくれるかしら……?」
男性はこういう事すると喜ぶと聞いた事があるのだけれど……少し不安。脚の細さも私の良いところではあるけど、寝る分には固くて寝心地が良く無いかもしれない。
私は不安になりつつ冬夜の寝顔を上から覗く。冬夜の顔は心無しかとても気持ち良さそうだった。
「私の膝枕のおかげ……では無いか。さすがにそれは自惚れすぎよね……」
私はそう言いながら冬夜の頭を撫でる。毛流れを整えるように優しく丁寧に撫でていると……
「んん~」
「ふふっ、これは気持ち良さそう」
頭を撫でていると寝ている顔の表情がが少し柔らかくなった気がした。私はその表情で冬夜にとって頭を撫でられるのは気持ちが良い行為なのだと思った。
「こうみると……意外と可愛いかも?」
普段の気丈な姿からは見られない可愛い寝顔。私はその普段の姿からのギャップに病みつきになりそうであった。
「ずっと撫でてようかしら……」
さすがにそれは怒られるかも?けど寝ている間だけなら撫でても……
「奏ぇ……」
「!?」
(え、起きてる!?嘘……もしかして全部聞かれてた?)
「奏ぇ……むにゃむにゃ……」
「寝言か……」
聞かれなくて良かったと思い安堵した。
(でも……夢の中でも私の事を考えてくれているって思うとちょっと嬉しいかも)
「奏は……俺が最後まで責任持って、送り……届けないと」
「冬夜……」
冬夜は自分の感情を私に中々打ち明けてくれない。それは知り合ってから日が浅いというのもあるが、単純に信頼されていないからだと思っていた。
そして寝言を通して初めて知る。冬夜が私に対して思っていた事を。
「責任って何よ……冬夜が責任感じるほど私って弱い存在なの?」
私を化物から助けてしまったから……助けてしまったから中途半端で無責任に投げ出す事を冬夜は良しとしなかったなのだろう。
(冬夜が責任を感じる必要なんて無いのに……)
でもそこが冬夜の良いところでもあるし……むしろ好きなところだ。自分の発言に責任を持っていて芯がある人間。途中で投げ出す事を許さないブレない心。
そんな冬夜を私は……
「ねぇ……私についてきて欲しいって言ったら冬夜はどうする……?」
返答は無い。寝ているから当然だ。しかし答えは私の中で分かっていた。
冬夜は……
11
あなたにおすすめの小説
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる