化粧通貨

rara33

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2、新通貨制度における『美円』(ビエン)とは?

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 ここでは新通貨制度の計算方法について、簡単に説明しておきたい。


【計算の基本式】

・購入金額(旧日本円) ÷ 美円 = 最終支払い金額(小数点第1位切り上げ)


 旧日本円(2020年代が最盛期)を最終支払い金額(2XXX年現在の円)に変換する上で、分母に該当する基準通貨を、「美円(ビエン)」という。

 この「美円」の数値は、最終支払い金額がマイナスや0(ゼロ)になったりしないよう、必ず「1~5」の範囲で決められる。

 そしてその数値は、購入者の顔のメイクの良し悪しによって範囲内を変動する。たとえば、顔の肌の状態やポイントメイクの上手さ、顔の黄金比などの複数のチェック項目の評価に応じて、「美円」の数値も高くなる仕組みだ。

 つまり、メイクの仕上がりが良いほど「美円=分母」の値が大きくなり、割り出される「最終支払い金額=解」の値は低くなるのだ。

 最大値の5美円と判定された場合、元々の購入金額の「5分の1」の金額で決済できるなんて、まさに「外見が物を言う時代」になったものね。

 だから「美円」制度導入以降、家や結婚式等で高い買い物をするときは、老若男女問わず、がっつりフルメイクでお会計にのぞむ人たちが急増したというワケ。


「女は化粧で化けるって言うけどさ、お金の価値だってメイクで化ける時代になったんだね~」

 誰ともなしにSNSでつぶやき始めたことがきっかけで、いつのまにかこの「美円」のことは、通称「化粧通貨(けしょうつうか)」と呼ばれるようになった。

 数世代前に世界に広まったウイルス病によって、厳しい状況の続いていた日本経済は、この「美円」のおかげで驚異の右肩上がりを見せていくことになる。

(第3章へ)
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