16 / 108
第二章:伝説の姫君と舞踏会
第15話 披露式典へ向けて(2)
しおりを挟む
わたしはいつもの通り、キースにダンスを教わっていた。
もう全部のダンスを教えてもらったので、今は復習がてら練習している。
ここまできたら、カディスに無理に練習相手になってもらうこともないんじゃないかなあ。あまり時間取らせるのも悪いし。
「イルーシャ、随分上達したね。これなら、どこに出てもすぐ通用するよ」
「本当? 嬉しいな」
キースの言葉にわたしは素直に喜んだ。そう言ってもらうと、頑張った甲斐があるってものだ。
「そういえば、イルーシャ、カディスに練習相手になってもらってるんだって?」
「あ、聞いたの? 執務で忙しいだろうから一応断ったんだけど、どうしてもって言うから」
「カディスはかなり遅くまで執務してるみたいだね。体調崩さないといいけど」
「……ええっ、本当? だったらすぐ練習やめさせないと、カディス倒れちゃうよ」
「カディスは鍛えてるから、そうそう倒れないとは思うけど、そろそろ休ませた方がいいかもね」
「うん、今日、わたしカディスに休むように言ってみるよ」
「僕も言ってみるよ。君には強がって練習を強行するかもしれないし」
「うん、そうしてくれると助かる」
お茶を飲みながら二人でカディスを待っていると、やがてその本人がやってきた。
「なぜキースがここにいるんだ」
キースの顔を見て、カディスが露骨に嫌そうな顔をする。
「だって、カディス、遅くまで執務で無理してない? カディスの気持ちはすごくありがたいけど、もうダンスもなんとかなりそうだから無理して相手してくれなくてもいいよ」
「無理などしていない」
「だけどね、カディス。これ以上は執務に影響するよ。君に倒れられたら元も子もないよ」
「俺はそんなに柔じゃない。キース、俺の邪魔をするな」
「……わかったよ、じゃあ、僕は見ているだけにするよ」
キースがそう言ったら、カディスは思い切り顔をしかめた。
「イルーシャとの時間を邪魔するんじゃない。どこかへ行っていろ」
カディスの冷たい言葉に、キースは肩をすくめるとその場から姿を消した。
「ちょっと、キースはカディスを心配してくれてるのに、そんな言い方ないじゃない」
「イルーシャ、俺といる間は他の男のことを話すのはやめろ。今は俺のことだけ考えていろ」
カディスはわたしの頬をそっと撫でる。
「そんなの、無茶だよ。カディス、どうかしてるよ」
わたしの友達はカディスだけじゃない。カディスのことだけ考えろなんて無理に決まってるじゃない。
「無茶を言ってるのは自分でも分かっている。おまえが俺が想うほど、俺を好いてないこともな」
カディスが自嘲的に笑った。
「……カディス……」
わたしはどうしていいか分からなくて、カディスの顔を見返す。
「カディス、わたし、好きとかそういう気持ちよく分からない。……でも、カディスはわたしにとって大切な友達だと思ってるよ」
「……友達か。俺はそんなものになりたいわけじゃない。イルーシャ、俺はおまえを俺だけのものにしたいんだ」
カディスの瞳の中に狂おしいものをみた気がして、わたしはびくりと震えた。
「……イルーシャ」
カディスがわたしの手を引く。
わたしは慌てて周りを見回すけど、こんな時に限って誰もいない。
──どうしよう、どうしよう。
誰かに助けてほしいのに、どうしたらいいの?
「イルーシャ、愛している」
強い力で抱きしめられて、わたしは身動きもできない。
「カディス……ごめん、わたしあなたの気持ちに応えられないよ」
そう言ったら、カディスは苦しそうに笑った。
「……分かっている」
カディスの気持ちに応えられないのが心苦しい。でもこればかりはどうにもならない。
「どうして、こんなにおまえに惹かれるのだろうな。口は悪いし、やることは突飛だし」
「……ちょっと……」
本人を前にして、それは酷いんじゃない? わたしは頬をひきつらせた。
「だが、それがおまえの魅力でもある。おまえは考え方も面白いし、時々すごく可愛いしな」
「……カディス……」
カディスはわたしを買いかぶり過ぎだよ。わたし、そんなに想われるほどできた人間じゃない。
「どうしたら、おまえの気持ちをおれに向かせることができるのだろうな」
カディスの顔が近づいてきて、わたしの頬にキスをした。
「カ、カディス、離して……」
「駄目だ」
カディスがわたしの頤に手をかけると、今度は瞼にキスを落とす。
「や、やだ、カディス、やめてよ……っ」
わたしは泣きそうになりながら、訴えた。怖くて震えが止まらない。
「……俺が怖いのか?」
怖いよ。だから、離してよ。
「だ、ダンスの練習するんでしょう? こんなことしてる場合じゃないんだから……っ」
言葉を無理矢理絞り出して言うと、カディスがちょっと笑った。
「……そういえば、そう、だったな……」
口調がすごく怪しいと思ったら、カディスの膝が折れると、わたしの方へ倒れてきた。
「ええっ、ちょっと……っ」
カディスの下敷きになったわたしは焦って彼の下から脱出しようと試みたけれど、わたしをがっちり抱えていて無理だった。
「ちょ、どうしちゃったの、カディス!?」
よく見ると、カディスは寝息を立てている。
普通、この状況で寝るか!?
わたしは両手が利くなら、カディスをものすごく殴りたかった。
「重いーっ、ちょっと誰か助けてえ……っ!」
わたしの叫びを聞きつけた近衛騎士とブラッドが駆けつけてくれて、カディスを退けてくれた。
「陛下、床の上はちょっとどうかと思いますよ」
この状況で、なに言ってるんだ、ブラッド。
カディスはこの騒ぎにも関わらず眠ったままだ。
「ああ、やっぱりこうなったんだ」
キースが移動魔法で現れて、呆れたように言った。
「ブラッドレイ、ちょっと、それ貸して」
キースはブラッドから報告書の束を受け取ると、それでカディスの頭をはたいた。
紙の束とは思えない音がしたけど、どういうことなんだろう。
だけど、それでカディスが意識を取り戻して身を起こした。
「ああ……、俺はどうしたんだ? とてもいい夢を見ていたような気がするが」
カディスは顔を覆って首を横に振る。
「……それはいい夢だろうね。イルーシャを下敷きにしていたんだから」
唇の端をひくつかせながらキースが嫌味を言った。
下敷きどころか、キスされたりしたんだけど、それは言わない方がいいよね……。
わたしは真っ赤になった頬を隠した。
「とにかく、カディスは休養が必要だから今すぐ休むこと。イルーシャの練習には僕が付き合うから」
「……なんだと」
カディスに皆まで言わせず、キースは手のひらをカディスに向ける。
カディスはそのまま倒れると、その場から消えた。
「え……、あれ?」
「寝室に送ったんだよ。しばらく目覚めないと思うよ」
「あ、そうなんだ。なら、安心だね。カディスにはしっかり休養とってもらわなきゃ」
「まあ、その後に、山のような報告書が待ってると思うけどね」
……うわあ、大変そうだなあ。
やっぱりダンスの練習、無理にでも断ればよかった。
キースはブラッドに報告書を返すと、近衛騎士さんとブラッドにねぎらいの言葉をかけた。
彼らが部屋を去ると、わたしはキースと二人きりになる。
「……それで、舞踏の練習はできたのかい?」
「それが、できてないんだよね……」
ダンスの練習するはずが口説かれて、キスされて……。
あれこれ思い出してかあぁっと赤くなっていると、キースがわたしの手を取った。
「……ふうん。察するに、カディスに口説かれたってところかな?」
「え、えっと……」
「イルーシャは、本当に分かりやすいね。ちょっと妬けるな」
キースがわたしの手を引いて抱きしめると、わたしの唇にキスを落とした。
「ちょっと、キース酷い。わたし、そこまでされてないよ!」
「ああ、ごめん、ごめん。ちょっと嫉妬にかられて、つい」
「つい、じゃないよ、キースの馬鹿ーっ!」
……もう、この二人、どうにかしてほしい。
とりあえず、今日のダンスの練習は中止となったのは言うまでもない。
もう全部のダンスを教えてもらったので、今は復習がてら練習している。
ここまできたら、カディスに無理に練習相手になってもらうこともないんじゃないかなあ。あまり時間取らせるのも悪いし。
「イルーシャ、随分上達したね。これなら、どこに出てもすぐ通用するよ」
「本当? 嬉しいな」
キースの言葉にわたしは素直に喜んだ。そう言ってもらうと、頑張った甲斐があるってものだ。
「そういえば、イルーシャ、カディスに練習相手になってもらってるんだって?」
「あ、聞いたの? 執務で忙しいだろうから一応断ったんだけど、どうしてもって言うから」
「カディスはかなり遅くまで執務してるみたいだね。体調崩さないといいけど」
「……ええっ、本当? だったらすぐ練習やめさせないと、カディス倒れちゃうよ」
「カディスは鍛えてるから、そうそう倒れないとは思うけど、そろそろ休ませた方がいいかもね」
「うん、今日、わたしカディスに休むように言ってみるよ」
「僕も言ってみるよ。君には強がって練習を強行するかもしれないし」
「うん、そうしてくれると助かる」
お茶を飲みながら二人でカディスを待っていると、やがてその本人がやってきた。
「なぜキースがここにいるんだ」
キースの顔を見て、カディスが露骨に嫌そうな顔をする。
「だって、カディス、遅くまで執務で無理してない? カディスの気持ちはすごくありがたいけど、もうダンスもなんとかなりそうだから無理して相手してくれなくてもいいよ」
「無理などしていない」
「だけどね、カディス。これ以上は執務に影響するよ。君に倒れられたら元も子もないよ」
「俺はそんなに柔じゃない。キース、俺の邪魔をするな」
「……わかったよ、じゃあ、僕は見ているだけにするよ」
キースがそう言ったら、カディスは思い切り顔をしかめた。
「イルーシャとの時間を邪魔するんじゃない。どこかへ行っていろ」
カディスの冷たい言葉に、キースは肩をすくめるとその場から姿を消した。
「ちょっと、キースはカディスを心配してくれてるのに、そんな言い方ないじゃない」
「イルーシャ、俺といる間は他の男のことを話すのはやめろ。今は俺のことだけ考えていろ」
カディスはわたしの頬をそっと撫でる。
「そんなの、無茶だよ。カディス、どうかしてるよ」
わたしの友達はカディスだけじゃない。カディスのことだけ考えろなんて無理に決まってるじゃない。
「無茶を言ってるのは自分でも分かっている。おまえが俺が想うほど、俺を好いてないこともな」
カディスが自嘲的に笑った。
「……カディス……」
わたしはどうしていいか分からなくて、カディスの顔を見返す。
「カディス、わたし、好きとかそういう気持ちよく分からない。……でも、カディスはわたしにとって大切な友達だと思ってるよ」
「……友達か。俺はそんなものになりたいわけじゃない。イルーシャ、俺はおまえを俺だけのものにしたいんだ」
カディスの瞳の中に狂おしいものをみた気がして、わたしはびくりと震えた。
「……イルーシャ」
カディスがわたしの手を引く。
わたしは慌てて周りを見回すけど、こんな時に限って誰もいない。
──どうしよう、どうしよう。
誰かに助けてほしいのに、どうしたらいいの?
「イルーシャ、愛している」
強い力で抱きしめられて、わたしは身動きもできない。
「カディス……ごめん、わたしあなたの気持ちに応えられないよ」
そう言ったら、カディスは苦しそうに笑った。
「……分かっている」
カディスの気持ちに応えられないのが心苦しい。でもこればかりはどうにもならない。
「どうして、こんなにおまえに惹かれるのだろうな。口は悪いし、やることは突飛だし」
「……ちょっと……」
本人を前にして、それは酷いんじゃない? わたしは頬をひきつらせた。
「だが、それがおまえの魅力でもある。おまえは考え方も面白いし、時々すごく可愛いしな」
「……カディス……」
カディスはわたしを買いかぶり過ぎだよ。わたし、そんなに想われるほどできた人間じゃない。
「どうしたら、おまえの気持ちをおれに向かせることができるのだろうな」
カディスの顔が近づいてきて、わたしの頬にキスをした。
「カ、カディス、離して……」
「駄目だ」
カディスがわたしの頤に手をかけると、今度は瞼にキスを落とす。
「や、やだ、カディス、やめてよ……っ」
わたしは泣きそうになりながら、訴えた。怖くて震えが止まらない。
「……俺が怖いのか?」
怖いよ。だから、離してよ。
「だ、ダンスの練習するんでしょう? こんなことしてる場合じゃないんだから……っ」
言葉を無理矢理絞り出して言うと、カディスがちょっと笑った。
「……そういえば、そう、だったな……」
口調がすごく怪しいと思ったら、カディスの膝が折れると、わたしの方へ倒れてきた。
「ええっ、ちょっと……っ」
カディスの下敷きになったわたしは焦って彼の下から脱出しようと試みたけれど、わたしをがっちり抱えていて無理だった。
「ちょ、どうしちゃったの、カディス!?」
よく見ると、カディスは寝息を立てている。
普通、この状況で寝るか!?
わたしは両手が利くなら、カディスをものすごく殴りたかった。
「重いーっ、ちょっと誰か助けてえ……っ!」
わたしの叫びを聞きつけた近衛騎士とブラッドが駆けつけてくれて、カディスを退けてくれた。
「陛下、床の上はちょっとどうかと思いますよ」
この状況で、なに言ってるんだ、ブラッド。
カディスはこの騒ぎにも関わらず眠ったままだ。
「ああ、やっぱりこうなったんだ」
キースが移動魔法で現れて、呆れたように言った。
「ブラッドレイ、ちょっと、それ貸して」
キースはブラッドから報告書の束を受け取ると、それでカディスの頭をはたいた。
紙の束とは思えない音がしたけど、どういうことなんだろう。
だけど、それでカディスが意識を取り戻して身を起こした。
「ああ……、俺はどうしたんだ? とてもいい夢を見ていたような気がするが」
カディスは顔を覆って首を横に振る。
「……それはいい夢だろうね。イルーシャを下敷きにしていたんだから」
唇の端をひくつかせながらキースが嫌味を言った。
下敷きどころか、キスされたりしたんだけど、それは言わない方がいいよね……。
わたしは真っ赤になった頬を隠した。
「とにかく、カディスは休養が必要だから今すぐ休むこと。イルーシャの練習には僕が付き合うから」
「……なんだと」
カディスに皆まで言わせず、キースは手のひらをカディスに向ける。
カディスはそのまま倒れると、その場から消えた。
「え……、あれ?」
「寝室に送ったんだよ。しばらく目覚めないと思うよ」
「あ、そうなんだ。なら、安心だね。カディスにはしっかり休養とってもらわなきゃ」
「まあ、その後に、山のような報告書が待ってると思うけどね」
……うわあ、大変そうだなあ。
やっぱりダンスの練習、無理にでも断ればよかった。
キースはブラッドに報告書を返すと、近衛騎士さんとブラッドにねぎらいの言葉をかけた。
彼らが部屋を去ると、わたしはキースと二人きりになる。
「……それで、舞踏の練習はできたのかい?」
「それが、できてないんだよね……」
ダンスの練習するはずが口説かれて、キスされて……。
あれこれ思い出してかあぁっと赤くなっていると、キースがわたしの手を取った。
「……ふうん。察するに、カディスに口説かれたってところかな?」
「え、えっと……」
「イルーシャは、本当に分かりやすいね。ちょっと妬けるな」
キースがわたしの手を引いて抱きしめると、わたしの唇にキスを落とした。
「ちょっと、キース酷い。わたし、そこまでされてないよ!」
「ああ、ごめん、ごめん。ちょっと嫉妬にかられて、つい」
「つい、じゃないよ、キースの馬鹿ーっ!」
……もう、この二人、どうにかしてほしい。
とりあえず、今日のダンスの練習は中止となったのは言うまでもない。
20
あなたにおすすめの小説
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
皇帝とおばちゃん姫の恋物語
ひとみん
恋愛
二階堂有里は52歳の主婦。ある日事故に巻き込まれ死んじゃったけど、女神様に拾われある人のお世話係を頼まれ第二の人生を送る事に。
そこは異世界で、年若いアルフォンス皇帝陛下が治めるユリアナ帝国へと降り立つ。
てっきり子供のお世話だと思っていたら、なんとその皇帝陛下のお世話をすることに。
まぁ、異世界での息子と思えば・・・と生活し始めるけれど、周りはただのお世話係とは見てくれない。
女神様に若返らせてもらったけれど、これといって何の能力もない中身はただのおばちゃんの、ほんわか恋愛物語です。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる