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問い
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人は何のために生きていくのだろうか。
こんな問いはありふれていて、わざわざ口に出すほどでもないほどだけど、それでも人であればだれもが一度は考える問いではないだろうか。人生の岐路に立たされたとき、この問いはふっと頭をよぎり、いつの間にか染み付いて離れなくなる。答えなんてどこにもないとわかっていながら、答えを求めずにはいられない。人は不完全な存在だとどこかで聞いたような気がするけれど、こんなところにも不完全さが表れて、僕らを苛む。
僕がこの問いをはじめて自覚したのは、高校三年生の頃だった。それなりの進学校に行かせてもらっていたから、周りはほとんどが大学に進学する。だから、高校に入ったころは僕もやりたいことが見つかって、志望大学に行くために努力するんだと思っていた。でも現実はそう甘くはなかった。文系だったし、真面目だったこともあって中学のころから先生に向いてるよと言われることが多々あった。悪い気はしなかったから教育学部に進むことは決めたけれど、おざなりに決めた志望校は、担任との面談で一瞬にして見破られた。
「お前、この大学に行って何がやりたいの?」
正直、教育学部ならどこでもよかった。その大学は自分の学力よりも少し上で、楽して入るより少し上の方がいいと思ったからそこにしたのだ。でもそんなこと言えなくて黙っていたら、担任は言った。教員になりたいのかと。
その問いは、僕にとって救いの手だった。僕は教員になりたいんだ。子どもは好きだし、教育という世界にも関心はある。だから、教員になるんだ。そう言い聞かせて僕はその担任の問いに頷いた。
でも、迷いながら、自分をだまして見つけた夢は自分に努力する気力も、向上心も与えてはくれなかった。だから僕は思ったのだ。これから大学に行って自分と周りをだましながら、教員になったところで、僕は満足だろうか。ほかにやりたいことはあるのだろうか。なかったとして、僕はどうやって生きていけばいいのだろうか。そんな思いが頭をよぎり、僕は思った。人に一人一つの役割があればいいのに。そうやって思ってふと気づいたんだ。それなら、役割がない人間もいるのだろうか。ない人間とある人間の差って何だろう。
「人は何のために生きていくのだろうか。」
そうやって考えるうちに僕の受験は終わりを迎えた。結果なんてわかりきっている。
僕は進路を失った。
これが僕の最後の記憶である。
こんな問いはありふれていて、わざわざ口に出すほどでもないほどだけど、それでも人であればだれもが一度は考える問いではないだろうか。人生の岐路に立たされたとき、この問いはふっと頭をよぎり、いつの間にか染み付いて離れなくなる。答えなんてどこにもないとわかっていながら、答えを求めずにはいられない。人は不完全な存在だとどこかで聞いたような気がするけれど、こんなところにも不完全さが表れて、僕らを苛む。
僕がこの問いをはじめて自覚したのは、高校三年生の頃だった。それなりの進学校に行かせてもらっていたから、周りはほとんどが大学に進学する。だから、高校に入ったころは僕もやりたいことが見つかって、志望大学に行くために努力するんだと思っていた。でも現実はそう甘くはなかった。文系だったし、真面目だったこともあって中学のころから先生に向いてるよと言われることが多々あった。悪い気はしなかったから教育学部に進むことは決めたけれど、おざなりに決めた志望校は、担任との面談で一瞬にして見破られた。
「お前、この大学に行って何がやりたいの?」
正直、教育学部ならどこでもよかった。その大学は自分の学力よりも少し上で、楽して入るより少し上の方がいいと思ったからそこにしたのだ。でもそんなこと言えなくて黙っていたら、担任は言った。教員になりたいのかと。
その問いは、僕にとって救いの手だった。僕は教員になりたいんだ。子どもは好きだし、教育という世界にも関心はある。だから、教員になるんだ。そう言い聞かせて僕はその担任の問いに頷いた。
でも、迷いながら、自分をだまして見つけた夢は自分に努力する気力も、向上心も与えてはくれなかった。だから僕は思ったのだ。これから大学に行って自分と周りをだましながら、教員になったところで、僕は満足だろうか。ほかにやりたいことはあるのだろうか。なかったとして、僕はどうやって生きていけばいいのだろうか。そんな思いが頭をよぎり、僕は思った。人に一人一つの役割があればいいのに。そうやって思ってふと気づいたんだ。それなら、役割がない人間もいるのだろうか。ない人間とある人間の差って何だろう。
「人は何のために生きていくのだろうか。」
そうやって考えるうちに僕の受験は終わりを迎えた。結果なんてわかりきっている。
僕は進路を失った。
これが僕の最後の記憶である。
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