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記憶喪失ですが、夫に復讐いたします 6
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エレオノーラが目を覚ますと、見覚えのない天井が目に入った。
幾重にも重ねられた天蓋から下がる布は、豪華な金糸の刺繍がされており、寝台は大きくふかふかとしている。足元の布には、濃緑の生地に金と紫で紋章が刺繍されていた。
「たしか、この紋章って・・・」
記憶をたどるが、はっきりと思い出せない。
室内に目をやると、床はふかふかの敷物だし、家具もきれいに磨かれていて美しい曲線で作られたものでそろえられている。ただの客間にしては豪華すぎる。
扉の外でバタバタと走る足音がした。
バターン!と乱暴に扉が開けられ、一人の少女が走りこんできた。
と、同時に、後ろからは、侍女や護衛騎士のような人々がなだれ込んでくる。
「ねえ!あなた、目が覚めたって本当?!」
その少女は、12~3歳だろうか。美しい金の髪を編み込んで結い上げ、大きなリボンでまとめている。
濃いエメラルドの瞳は、好奇心できらきらしていた。
鼻筋もすっと通り、桜色の唇は品よく閉じられていた。
一目で美少女とわかる顔立ち。
そして、何より首元まで詰まったドレスではあるが、首元はパールでできたボタンで閉じられ、後ろはリボンで装飾されている。腰のベルトは金の糸で刺繍を入れており、袖口も同じパールでまとめられ、仕立ての良さがわかる。
「あの・・・?」
あなたは?と聞きたかったが、少女はおそらく自分より身分が上だろう。身分が上の者に名前を聞くのはご法度だ。そして、自分から名乗らなければならないというどの国にも共通の社交ルールがある。
名前を告げようとして、エレオノーラは、はた、と固まってしまった。
(私、名前なんだっけ???)
と、いうより、なぜここに?
馬車に跳ね飛ばされたような気がするけれど、なぜそうなったんだっけ・・・?
と、いうか、私、どこから来た?
考えれば考えるほどわからないことばかり。
「ねえ、大丈夫?」
先ほどの少女が気づかわし気な視線を送る。
「あ・・・、申し訳ありません。私、自分の名前がわからなくて。私、どうしたのでしょう?」
驚いた少女は声をあげた。使用人同士も顔を見合わせて、困った様子だ。
「まあ、大変!!あなた、それって記憶喪失じゃないこと?!」
少女はきらきらした目を見開いて続けた。
「わたくしは、アンナマリー。この国の第一王女よ。」
(お、王女?!)
どうりで豪華な衣装を身に着けて美しくしているわけだ。それに加え、堂々とした自信に満ち溢れている
王女は続けた。
「・・・あなたは、昨夜わたくしの乗った馬車とぶつかったのよ。夜更けで医師に見せることもできず、やむを得ず一緒に来てもらったの。
本当に申し訳なかったわ。」
一国の王女だというのに、彼女は深々と頭をさげた。
「いえ、大丈夫です。」
(と、いうことは、隣国にまで来てる、ということなのね。隣国・・・?私はどこにいたのかしら・・・)
エレオノーラは必死で記憶をたどるが、考えようとすると、頭が割れそうに痛くて、記憶をたどることも難しい。
苦しそうに呻くエレオノーラをみて、
「大丈夫よ、あなたの記憶が戻るまで、ここにいてちょうだい。あなたのことは、わたくしが面倒をいるわ、心配なさらないでね!」
王女はかわいらしく、にこっと微笑むと、その場を風のように去っていった。
(第一王女、アンナマリー様・・・この国ってそもそもどこの国なのかしら)
紋章に記憶があるものの、自分が住んでいた国ではないような気がする。
そう考えていると、寝台のそばから声を掛けられた。
「お嬢様、もしよろしければ湯あみのご準備が出来ましたのでどうぞ」
侍女だろうか。20代後半ぐらいの落ち着いた女性。侍女のお仕着せを身に着けているが、所作も美しく、上品な雰囲気だ。王家の侍女だから、身分は低くてもきっと貴族なのだろう。
「わたくしは、お嬢様付きになりました。侍女のハンナでございます。身の回りのお世話はわたくしがいたしますので、何かお困りのことがございましたらお申し付けくださいね。」
そういうと、ハンナは優し気に微笑んだ。
「あの、ここは何という国なのでしょう。なんとなく、私はこの国の者ではないような気がしているのですが…。」
「まあ、そうなのですね。ここはリュトヴィッツ王国です。アンナマリー様は昨夜、隣国のローゼンダール王国へお忍びでいらしてたので、もしかしたらローゼンダール王国の方かもしれませんね。」
どちらも、あまり馴染みがない。ただ、リュトヴィッツ王室の紋章だけ、なぜか記憶にあるのだ。
(どこで見たのだったかしら…。)
記憶をたどっても、どうしても途中でわからなくなってしまう。
わからないということがこんなにも歯がゆいなんて。
しかし、それを除けば王宮の暮らしは、とても快適だった。
王女が後ろ盾にいるということもあり、王宮で出会う人々はほとんどが皆好意的なのだ。
朝起きて、庭を散歩し、騎士団の鍛錬を横目に、王家の森で散策。
そのあとは、ゆったりとブランチをとり、王宮侍女特別エステで磨き上げられる。アンナマリーの時間があくまで読書をし、午後のティータイムは王女と一緒にたのしくお話をして
一日が終わっていく。
(こんなに毎日楽しくていいのかしら。)
幾重にも重ねられた天蓋から下がる布は、豪華な金糸の刺繍がされており、寝台は大きくふかふかとしている。足元の布には、濃緑の生地に金と紫で紋章が刺繍されていた。
「たしか、この紋章って・・・」
記憶をたどるが、はっきりと思い出せない。
室内に目をやると、床はふかふかの敷物だし、家具もきれいに磨かれていて美しい曲線で作られたものでそろえられている。ただの客間にしては豪華すぎる。
扉の外でバタバタと走る足音がした。
バターン!と乱暴に扉が開けられ、一人の少女が走りこんできた。
と、同時に、後ろからは、侍女や護衛騎士のような人々がなだれ込んでくる。
「ねえ!あなた、目が覚めたって本当?!」
その少女は、12~3歳だろうか。美しい金の髪を編み込んで結い上げ、大きなリボンでまとめている。
濃いエメラルドの瞳は、好奇心できらきらしていた。
鼻筋もすっと通り、桜色の唇は品よく閉じられていた。
一目で美少女とわかる顔立ち。
そして、何より首元まで詰まったドレスではあるが、首元はパールでできたボタンで閉じられ、後ろはリボンで装飾されている。腰のベルトは金の糸で刺繍を入れており、袖口も同じパールでまとめられ、仕立ての良さがわかる。
「あの・・・?」
あなたは?と聞きたかったが、少女はおそらく自分より身分が上だろう。身分が上の者に名前を聞くのはご法度だ。そして、自分から名乗らなければならないというどの国にも共通の社交ルールがある。
名前を告げようとして、エレオノーラは、はた、と固まってしまった。
(私、名前なんだっけ???)
と、いうより、なぜここに?
馬車に跳ね飛ばされたような気がするけれど、なぜそうなったんだっけ・・・?
と、いうか、私、どこから来た?
考えれば考えるほどわからないことばかり。
「ねえ、大丈夫?」
先ほどの少女が気づかわし気な視線を送る。
「あ・・・、申し訳ありません。私、自分の名前がわからなくて。私、どうしたのでしょう?」
驚いた少女は声をあげた。使用人同士も顔を見合わせて、困った様子だ。
「まあ、大変!!あなた、それって記憶喪失じゃないこと?!」
少女はきらきらした目を見開いて続けた。
「わたくしは、アンナマリー。この国の第一王女よ。」
(お、王女?!)
どうりで豪華な衣装を身に着けて美しくしているわけだ。それに加え、堂々とした自信に満ち溢れている
王女は続けた。
「・・・あなたは、昨夜わたくしの乗った馬車とぶつかったのよ。夜更けで医師に見せることもできず、やむを得ず一緒に来てもらったの。
本当に申し訳なかったわ。」
一国の王女だというのに、彼女は深々と頭をさげた。
「いえ、大丈夫です。」
(と、いうことは、隣国にまで来てる、ということなのね。隣国・・・?私はどこにいたのかしら・・・)
エレオノーラは必死で記憶をたどるが、考えようとすると、頭が割れそうに痛くて、記憶をたどることも難しい。
苦しそうに呻くエレオノーラをみて、
「大丈夫よ、あなたの記憶が戻るまで、ここにいてちょうだい。あなたのことは、わたくしが面倒をいるわ、心配なさらないでね!」
王女はかわいらしく、にこっと微笑むと、その場を風のように去っていった。
(第一王女、アンナマリー様・・・この国ってそもそもどこの国なのかしら)
紋章に記憶があるものの、自分が住んでいた国ではないような気がする。
そう考えていると、寝台のそばから声を掛けられた。
「お嬢様、もしよろしければ湯あみのご準備が出来ましたのでどうぞ」
侍女だろうか。20代後半ぐらいの落ち着いた女性。侍女のお仕着せを身に着けているが、所作も美しく、上品な雰囲気だ。王家の侍女だから、身分は低くてもきっと貴族なのだろう。
「わたくしは、お嬢様付きになりました。侍女のハンナでございます。身の回りのお世話はわたくしがいたしますので、何かお困りのことがございましたらお申し付けくださいね。」
そういうと、ハンナは優し気に微笑んだ。
「あの、ここは何という国なのでしょう。なんとなく、私はこの国の者ではないような気がしているのですが…。」
「まあ、そうなのですね。ここはリュトヴィッツ王国です。アンナマリー様は昨夜、隣国のローゼンダール王国へお忍びでいらしてたので、もしかしたらローゼンダール王国の方かもしれませんね。」
どちらも、あまり馴染みがない。ただ、リュトヴィッツ王室の紋章だけ、なぜか記憶にあるのだ。
(どこで見たのだったかしら…。)
記憶をたどっても、どうしても途中でわからなくなってしまう。
わからないということがこんなにも歯がゆいなんて。
しかし、それを除けば王宮の暮らしは、とても快適だった。
王女が後ろ盾にいるということもあり、王宮で出会う人々はほとんどが皆好意的なのだ。
朝起きて、庭を散歩し、騎士団の鍛錬を横目に、王家の森で散策。
そのあとは、ゆったりとブランチをとり、王宮侍女特別エステで磨き上げられる。アンナマリーの時間があくまで読書をし、午後のティータイムは王女と一緒にたのしくお話をして
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