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記憶喪失ですが、夫に復讐いたします 11 王宮の調合師1
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それから、あっという間にひと月が経ってしまった。
今日はアンナマリーの誕生日だ。
現状では、次期後継者とされるアンナマリー。
しかも14歳、社交界に正式デビューの年であることも手伝い、盛大な夜会になる予定だ。
今夜、正式に立太子の発表があるのでは?とまことしやかにささやかれている。
いやいや、婚約者の発表だろう、という声まで聞こえてきている。
城内は、ざわざわとして、みんな小走りに右へいったり左へいったり、あわただしくしている。のんびりしているのは自分だけだ。
エレオノーラは、手の中にある小さな小瓶を見つめた。
本当は、昨日までに渡すつもりだった、アンナマリーのために、用意したプレゼント。
彼女のために、調合した香水だ。
ローズの香りに、ベルガモットを少し。
香辛料もおまけ程度に加え、華やかで若々しい香りに仕上がった。
オリジナルの調合だ。
手作りのプレゼントなら何がいいか、と考えあぐねていると、ハンナから
「手作りの香水はいかがですか?」
と言われたのだ。
この国は、香水を自分で調合するのはごく一般的で、気に入った香りを送りあう習慣もあるのだとか。
「この王宮にも、香水作り体験があるのですよ。観光のお客様も体験されています。」
観光客向けに、王宮の一部を開放している。
王宮前広場から、少し入ったところにある別棟になはなるが、香水作りができるらしい。
この王宮は、特別なバラが咲くことで有名だ。大規模なバラ園が王宮にはあり、摘みたてのバラを蒸留したエキスから作られる香水はかなり人気なのだ。
体験申し込みさえすれば誰でも参加できる。
「体験とはいえ、調合は自由にできますから、オリジナルのものができるはずですよ。」
観光の体験でできるものを、王族のアンナマリーに渡していいものか…と思ったが、
世界に一つしかない、オリジナルのものが作れるというのは魅力的だ。
様子だけでも見に行くことにした。
今日も護衛のフレデリックを伴っている。
「…今日は、静かね?」
「……、……!……!!」
フレデリックは、何やらジェスチャーで一生懸命伝えている。
(鼻を指さして、口を押さえて、鼻をつまんで…??何かしら?)
「…フレデリックの新しい遊び?」
思い切り、ぷはっと息を吐くと、
「俺、強いにおいが苦手なんです。
だから、なるべく呼吸しないように、息を止めてるんです!」
と、また息を止めているようだ。どうだ、と言わんばかりの表情。
はあ、とあきれ顔でため息をつくと、横目で、
「あんまり息を止めているとね…」
「止めてると…?」
フレデリックはドキドキしながら、次の言葉を待った。
「…永遠に止まっちゃうわよ。」
と軽く冗談を言ってみる。
「お嬢様、怖い!」
護衛騎士なのに、かわいい反応がうれしくて、エレオノーラはクスクスと笑った。
そんなに香りが苦手なフレデリックに付き添ってもらうのは申し訳ないが、ついてこないという選択肢はないようだ。
(たぶん…ただの護衛じゃないのよね。)
他の騎士に変わってもらうこともできるはずだが、どんな時も必ずフレデリックが同行している。
どうも、アンナマリー以外の城内の人間たちには遠巻きにされている節がある。
エレオノーラ自身には後ろ暗いところがあるわけではないが、どこのだれかもわからない人間が、王宮に住み始めたのだ。警戒するのは当たり前だろう。
だれの命令かはわからないけれど、
(監視もかねて…ということね)
フレデリックは思い切り、ぷはっと息を吐くと、
「違いますよ!俺、強い香りが苦手なんです。
だから、なるべく呼吸しないように、息を止めてるんです!」
と、どうだ、と言わんばかりの表情。
調合をする場所はまだずいぶん先だ。ここまで香ってくることはまずないだろうに、準備万端のフレデリックである。
エレオノーラは、はあ、とあきれ顔でため息をつくと横目で、
「あんまり息を止めていると、…永遠に止まっちゃうわよ。」
と軽く冗談を言ってみる。
「わ、わかってますよ、そんなこと!お嬢様、怖い!」
護衛騎士なのに、かわいい反応がうれしくて、エレオノーラはクスクスと笑った。
そんなに香りが苦手なフレデリックに付き添ってもらうのは申し訳ないが、ついてこないという選択肢はないようだ。
(たぶん…ただの護衛じゃないのよね。)
他の騎士に変わってもらうこともできるはずだが、どんな時も必ずフレデリックが同行している。
どうも、アンナマリー以外の城内の人間たちには遠巻きにされている節がある。
エレオノーラ自身には後ろ暗いところがあるわけではないが、どこのだれかもわからない人間が、王宮に住み始めたのだ。警戒するのは当たり前だろう。
(監視もかねて…ということね)
そうこうしているうちに、王宮前広場のある回廊をすぎ、別棟のある庭園の端についた。
別棟は王宮に近い外観にしてあるが、お土産物もおいてあり、観光客がちらほらいる。
お昼時ということもあり、お客さんは少なめだ。
庭園側からそっと覗いてみると、香水作り体験の片づけだろうか、器具を集めている人物がいた。
その人物は20代後半ぐらいで、落ち着いた雰囲気の男性だ。
細身で長身、アッシュブロンドのショートヘアー、王宮薬師のローブを着ている。
眼鏡の奥の瞳は落ち着いたヘーゼルブラウンで、優しそうな雰囲気。
見つからないように、そっと様子を伺ってみた。
(…うん?なんだろう?)
視界の端で、金色の何かが動いている。
庭園側の窓から、金色の頭がぴょこぴょこと出たり入ったりしているのだ。
窓は、王宮内部が見えてしまわないよう少し高めにされていて、あまり大きくもない。
王宮側ということもあって、この窓から、人が見えることはあまりないのだが…
(…迷子かな?)
何かの拍子に、子供が迷い込んでしまったのだろうか。
王宮の内部に一般人が入り込んだら大変だ。
確認するため、片付けている途中の器具を置いて、庭園側のガラス扉のある方へ回り込んでみる。
すると、14~5歳くらいの少女が、中の様子を伺っているではないか。
(あれ…?もしかして、この子…)
のぞいている人物に心当たりがあった。
「お嬢さん、どうされました?」
「!?…は、はい!」
今日はアンナマリーの誕生日だ。
現状では、次期後継者とされるアンナマリー。
しかも14歳、社交界に正式デビューの年であることも手伝い、盛大な夜会になる予定だ。
今夜、正式に立太子の発表があるのでは?とまことしやかにささやかれている。
いやいや、婚約者の発表だろう、という声まで聞こえてきている。
城内は、ざわざわとして、みんな小走りに右へいったり左へいったり、あわただしくしている。のんびりしているのは自分だけだ。
エレオノーラは、手の中にある小さな小瓶を見つめた。
本当は、昨日までに渡すつもりだった、アンナマリーのために、用意したプレゼント。
彼女のために、調合した香水だ。
ローズの香りに、ベルガモットを少し。
香辛料もおまけ程度に加え、華やかで若々しい香りに仕上がった。
オリジナルの調合だ。
手作りのプレゼントなら何がいいか、と考えあぐねていると、ハンナから
「手作りの香水はいかがですか?」
と言われたのだ。
この国は、香水を自分で調合するのはごく一般的で、気に入った香りを送りあう習慣もあるのだとか。
「この王宮にも、香水作り体験があるのですよ。観光のお客様も体験されています。」
観光客向けに、王宮の一部を開放している。
王宮前広場から、少し入ったところにある別棟になはなるが、香水作りができるらしい。
この王宮は、特別なバラが咲くことで有名だ。大規模なバラ園が王宮にはあり、摘みたてのバラを蒸留したエキスから作られる香水はかなり人気なのだ。
体験申し込みさえすれば誰でも参加できる。
「体験とはいえ、調合は自由にできますから、オリジナルのものができるはずですよ。」
観光の体験でできるものを、王族のアンナマリーに渡していいものか…と思ったが、
世界に一つしかない、オリジナルのものが作れるというのは魅力的だ。
様子だけでも見に行くことにした。
今日も護衛のフレデリックを伴っている。
「…今日は、静かね?」
「……、……!……!!」
フレデリックは、何やらジェスチャーで一生懸命伝えている。
(鼻を指さして、口を押さえて、鼻をつまんで…??何かしら?)
「…フレデリックの新しい遊び?」
思い切り、ぷはっと息を吐くと、
「俺、強いにおいが苦手なんです。
だから、なるべく呼吸しないように、息を止めてるんです!」
と、また息を止めているようだ。どうだ、と言わんばかりの表情。
はあ、とあきれ顔でため息をつくと、横目で、
「あんまり息を止めているとね…」
「止めてると…?」
フレデリックはドキドキしながら、次の言葉を待った。
「…永遠に止まっちゃうわよ。」
と軽く冗談を言ってみる。
「お嬢様、怖い!」
護衛騎士なのに、かわいい反応がうれしくて、エレオノーラはクスクスと笑った。
そんなに香りが苦手なフレデリックに付き添ってもらうのは申し訳ないが、ついてこないという選択肢はないようだ。
(たぶん…ただの護衛じゃないのよね。)
他の騎士に変わってもらうこともできるはずだが、どんな時も必ずフレデリックが同行している。
どうも、アンナマリー以外の城内の人間たちには遠巻きにされている節がある。
エレオノーラ自身には後ろ暗いところがあるわけではないが、どこのだれかもわからない人間が、王宮に住み始めたのだ。警戒するのは当たり前だろう。
だれの命令かはわからないけれど、
(監視もかねて…ということね)
フレデリックは思い切り、ぷはっと息を吐くと、
「違いますよ!俺、強い香りが苦手なんです。
だから、なるべく呼吸しないように、息を止めてるんです!」
と、どうだ、と言わんばかりの表情。
調合をする場所はまだずいぶん先だ。ここまで香ってくることはまずないだろうに、準備万端のフレデリックである。
エレオノーラは、はあ、とあきれ顔でため息をつくと横目で、
「あんまり息を止めていると、…永遠に止まっちゃうわよ。」
と軽く冗談を言ってみる。
「わ、わかってますよ、そんなこと!お嬢様、怖い!」
護衛騎士なのに、かわいい反応がうれしくて、エレオノーラはクスクスと笑った。
そんなに香りが苦手なフレデリックに付き添ってもらうのは申し訳ないが、ついてこないという選択肢はないようだ。
(たぶん…ただの護衛じゃないのよね。)
他の騎士に変わってもらうこともできるはずだが、どんな時も必ずフレデリックが同行している。
どうも、アンナマリー以外の城内の人間たちには遠巻きにされている節がある。
エレオノーラ自身には後ろ暗いところがあるわけではないが、どこのだれかもわからない人間が、王宮に住み始めたのだ。警戒するのは当たり前だろう。
(監視もかねて…ということね)
そうこうしているうちに、王宮前広場のある回廊をすぎ、別棟のある庭園の端についた。
別棟は王宮に近い外観にしてあるが、お土産物もおいてあり、観光客がちらほらいる。
お昼時ということもあり、お客さんは少なめだ。
庭園側からそっと覗いてみると、香水作り体験の片づけだろうか、器具を集めている人物がいた。
その人物は20代後半ぐらいで、落ち着いた雰囲気の男性だ。
細身で長身、アッシュブロンドのショートヘアー、王宮薬師のローブを着ている。
眼鏡の奥の瞳は落ち着いたヘーゼルブラウンで、優しそうな雰囲気。
見つからないように、そっと様子を伺ってみた。
(…うん?なんだろう?)
視界の端で、金色の何かが動いている。
庭園側の窓から、金色の頭がぴょこぴょこと出たり入ったりしているのだ。
窓は、王宮内部が見えてしまわないよう少し高めにされていて、あまり大きくもない。
王宮側ということもあって、この窓から、人が見えることはあまりないのだが…
(…迷子かな?)
何かの拍子に、子供が迷い込んでしまったのだろうか。
王宮の内部に一般人が入り込んだら大変だ。
確認するため、片付けている途中の器具を置いて、庭園側のガラス扉のある方へ回り込んでみる。
すると、14~5歳くらいの少女が、中の様子を伺っているではないか。
(あれ…?もしかして、この子…)
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「お嬢さん、どうされました?」
「!?…は、はい!」
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