彩色師は異世界で

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

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第2章 水と炎の激愛、揺れる光の惑い編

15.方陣術式完了 水と光の螺旋②




「え?な、に?!!!!!!!!!」

アヤの様子がおかしいと感じた次の瞬間には、物凄い魔導の奔流に包まれた。

「アヤッッッ!!!」
「バ…ル、ド……………」

俺の呼びかけに弱々しく応え、伸ばしてくる手を握りしめてやる。
冷たい。まるで凍り付くようだ。

アヤの左の爪先から光が体を伝って上がっていく。
これは、いつか見た光景だ。
アヤを初めて抱いたあの時…ーー
ただ、あの時と違うのは…

「チッっ!!何なんだ、この魔導の力は!?」

アヤを中心に、魔導の力の奔流が波紋を広げるように迸る。
今は肩を掴み支えてやってるが、正直、俺自身も弾き出されそうな力だ。

「くっ…!オーディリア!山の端に向かって飛べ、開けた丘陵があった筈だ。空中だと、身動きとれん!」

俺の言葉に、オーディリアは一つ吠え加速した。
アヤを支えながら、俺は自分の魔導を解放する。
ギリギリだ。俺の魔導をもってしても、アヤの魔導は抑えるのがやっとだ。
魔導を全開にし、何とか抑え込み山裾の丘陵へと辿り着いた。
アヤを横抱きにし、オーディリアから飛び降りる。

「オーデル、離れてろ!」

未だ暴走寸前のアヤの魔導。何があるか分からない。俺が短く命令を出すと、オーディリアは素直に離れた。

「アヤ!聞こえねぇのか?!チッ!!仕方ない…荒療治になるが、我慢しろよ!」

水の波動が腹の底に溜まるような感覚を意識し、俺は魔導を収縮させ、上向かせたアヤの唇を己のそれで塞ぎ、一気に流し込んだ。

見開いたアヤの瞳は、例のアメジストと凍る湖面に変わっていた。
焦点の失われた瞳は光彩のみ。左爪先から徐々に上がる光の紋様は服の上に浮かび上がるように、上に上に伸びていく。青、紫、銀の紋様にキラキラと金と水色の光の粒子が取り巻き出し、やがてアヤの体を螺旋のように逆巻くと一気に波動が爆散した。

これはさすがに食らうとまずい。アヤを中心に散している為、アヤを傷つけることはないと素早く判断し、俺はひとまず後ろに飛び退き距離を図った。

光の螺旋が治ると、アヤはその場に静かに立っていた。左半身に浮かぶ紋様と瞳の光彩はそのままだ。
魔導の暴走は治まったが、俺はゆっくりと腰の鞘から剣を抜く。

見た目はアヤそのもの。だが、明らか魔導と纏う雰囲気が違う。
焦点のなくなった、光彩のみの綺麗な瞳が俺に向けられる。

『暴走はどうやら回避できたか。うまく、水と混ざったようだな』

不思議な声音が響く。アヤの口から発せられた言葉は、アヤの声であって声ではない。

俺は油断なく剣を構え、掲げる。

アヤであってアヤでない者は、俺に向けて一度笑み、静かに口を開いた。




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