69 / 465
第2章 水と炎の激愛、揺れる光の惑い編
16.能力(ちから)の根源の理解と封印の解放①
『物騒な物を向けないでほしいものだな。此方は其方の愛し子であろう?』
アヤの姿で、面白そうに言うソレに、俺は盛大に顔をしかめる。
「言分に間違いはねぇが、やめろ。アヤの体を使うな!お前は何者だ?」
『ふむ…まず、一つ目。我は此方の封印にすぎぬ。故に、個の存在にあらぬ為、今は此方の体から出る事は叶わぬ。此方の体を使う以外、我は話す事もできぬ』
話し口調はまるで年嵩の者のようだ。威厳もあり、人の上に立つ事に慣れた者の口調。
『二つ目。我は封印であり、女神と立場を同じくする者。とだけ言っておこうか』
「女神と立場を同じくするだと?神だとでも言うのか?馬鹿な!!神は人の理に不可侵の筈だ!アヤの、一個人の体に入り、封印の役を果たすなど聞いた事もねぇ…」
『さすがに、女神の魔導なだけはある。よく、知っておるわ。正確には、我は女神の眷属だ。故に人の世に干渉は可能』
眷属。女神の血に連なる者。または、それに順ずる者。
神であり神でない。ならば、個人の封印に使われる事も可能か……
だが……
「何故、アヤの体に女神の封印なんぞが施されてる?確かに、アヤは時渡り。この大陸、いや、この世界の者ではおそらくない。女神とアヤに何の接点が……」
『ふむ…幾重にも、業と鎖、封印に縛られし者だ。が、どうやら、もともとこの世界に理を持つ者だったようだのう』
「もともとこの世界の人間だったってのか?一体、どういう事だ……」
『此方の理に関しては、我は知らぬ。だが、何やら多岐にわたり、しがらみを持つ者のようだ』
しばらく無言で見つめ、俺は一旦剣を鞘に納める。
「封印、と言ったな。お前は一体、アヤの何を封印していた?」
わざと過去形を使った。出てきたという事は、封印とやらは解かれているのだろう。
俺の問いに、ソレはニッコリ微笑む。
くそ!体はあくまでアヤだ。惚れた相手の、ましてや滅多と見られない微笑なんぞ、こんな場合に見たくない。
クスクス笑うソレに、俺の苛立ちはどんどん募る。
それ、やめろ!
こいつ、知っててやってやがる!
ギリギリ歯を噛みしめる俺に、口元に笑みを浮かべたまま、ソレは口を開いた。
『此度、当代の水は賢くもあり、よほど此方に惚れ込んでおるようだの。初代譲りの激情型か』
「俺を誰かと比べるな!俺は俺だ!」
『惚れたは否定せぬか……良いよ。其方の此方に対しての思いの波動は心地よい。我に答えられる事ならば、答えてやろう』
何が楽しいのか、ソレはクックッ笑いながら、フワリと宙に浮き、あたかもイスでもあるかのように空に座った。
何度も言うが、体、見た目はアヤそのものだ。あまり、人外な事はするなと怒鳴りたい気分だ。
ゆっくりと息を吐き、何とか気持ちを鎮めた。
話の前に、
「名前はあるのか?女神の眷属」
『我の名か?そうさな……レーテと呼ぶが良い。生憎、真名は教えられぬて、通り名だがな』
別に真名を知りたいとは思わないので、俺は頷いた。
「グレインバルドだ。クレイドルの皇太子で、水の魔導」
『女神に最も近き者。律儀な事よ、神に名乗るは恐ろしゅうはないか?』
「恐い?何とも思わねぇな。目の前で大切なものを失う方が、よっぽど恐ぇよ」
『経験したかのようだの』
「さてな………」
多くは語らず、はぐらかした俺に、レーテは特にそれ以上踏み込むでもなく、さっさと話題を変える。
『まぁ、良いよ。質問の答えだか、我が此方の封印していたは、此方の能力じゃ』
「アヤの能力?」
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
王様お許しください
nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。
気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。
性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。