並行時空十二天将夢幻譚

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

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序章 始まりの刻

2.並行時空⑦

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はぁ~~~~~~~~~~~………………………

部屋に重苦しい溜め息が籠る。
まったく、自分でも何回目の溜め息になるのか、数えるのも面倒になるくらい吐きまくっていた。

「連れて来られたはいいけど、ここ何?」

呟くが、部屋には俺しかいない為、当然返事はない。
豪華!とは言えないが、それでも綺麗に整った部屋。見回してみても、そこそこ快適に過ごせる程度にはしつらえられてある。
そっと自分を見下ろし、ややげんなり。
華美ではないが、綺麗目な服を身につけさせられていた。肌触りよく、繊維がチクチクしたりしないところ、上等なものであるのは分かったが、だからといって、別段、嬉しくもない。と、言うのも、わらわらと現れた女官さん(感じ的にそんな言い方が当てはまる)と思われる女性たちに服を剥がされそうになり、慌てて世話を固辞こじし、用意された服を四苦八苦なんとか身に付けた経緯いきさつがあったからだ。
精神的にかなり疲れていた。傍らには、俺が身に付けていた制服が畳んで置いてある。取り上げられたりしなかったのは良かったし、一応、これ以上、何かしら因縁つけられてどうこうなりそうな雰囲気にないのはいいけど、それでも……

「つか、むしろ……いきなり、こんな扱いされて逆に不安だってぇの。なっんの、説明もないし!何がどうなってんだよ」

目が覚めたらまったく知らない場所で、いきなり攻撃されたと思ったら、庇護するとか言われ、かと思えば、よく分からん化け物に襲われ、逃げたと思えば、別の化け物に襲撃を受け………次から次へと、展開が目まぐるしくて……

「訳分かんない……誰もなんも教えてくんねぇし。あの3人だって……」

そこまで呟き、はたとなる。
あの3人。十二天将とか言っていたが、そもそも、そんなものは聞いた事がない。

「あと、羅、、、じょうこく?だっけ?んな、国名知らんっつうの!」

感じ的には中国っぽいような気がするが、日本的な要素もあり……
俺が知る国とは違う、まったくの未知のような気がして、恐怖以外なにものでもない。

「誰も居ないし…誰でもいいから説明、、、」

ぶつくさ言いかけた言葉が止まった。
間近に迫った不思議な光彩を放つ紫の瞳。アップに耐える、非の打ち所がない完璧な容貌。触れた唇は少し冷たくて……

「わーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

途端、カァーーーーーッと熱くなった顔に、自分でも驚く程の悲鳴が挙がった。

「だ、だ、誰でもは良くないな!良くない!!え、っと~、匂陣、、は怖いからパス!朱雀、、は身の危険感じるからなんか嫌だ!」

…………………………………………………………………………………そして誰もいなくなった。

「って!!有名な小説のタイトル言ってる場合じゃねっつうの!!」

ヤバい。1人でノリツッコミし疲れてしまった。

可愛かぁいらしいわぁ」
「ッッッ⁉︎」

ゼェハァ息を吐き項垂れる俺の耳に、クスクスと笑い声が届いた。








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