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第1話
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鶴田に肩を押されて店内に入ると……。
そこは男たちで溢れかえり、すっかり喧噪に満ちていた。
テーブルは取っ払われ、皆、ビールが入ったコップとつまみの皿を手に立食している。
ほかに女性の姿はなく、彩のためだけに開催された婚活パーティーという鶴田の言葉は本当らしい。
男性会員が1000人いるって、あながち嘘じゃなかったんだ。
だったら、なんで最初っからマトモなひとを紹介してくれなかったんだろう。
それにしても、私だけのためにこんなに沢山の男性が集まるなんて。
ああ、どきどきが止まらないよ……。
「杉崎様! ビールでよろしいですか!」
なぜか厨房に入った鶴田が、彩に向かって威勢の良い声を上げる。
鶴田さん、なにやってるんだろうと思いつつも、はい、と返事した。
コップを受け取って改めてあたりを見渡すが、彩に声を掛けてくる男はいない。
婚活パーティーなのに……みんな、シャイなんだろうか。
そう言えば美希も言ってたな。
最近の男たちは、女性の扱いが苦手である。恥ずかしがり屋も多いらしい。
だからパーティーでは、自分から積極的にどんどん声を掛けなさいって。
彩は、思い切って目の前にいた、赤ら顔をした中年の男に話しかけた。
「あの……杉崎彩って言います」
すると男は、あまり気の無いように返してきた。
「ああ、いいよ。自己紹介なんて。こんな機会めったにないんだから、どんどん飲もう! 食べよう!」
そう言いながら、ビールをごくごく飲み、皿に盛られたトンカツをむしゃむしゃと頬張っている。
婚活パーティーって、はじめてだから良くわからないが……。
ふつう自己紹介とか、しないものなのだろうか。
いや、さすがにそれは違うだろう。
このひと、顔はそれなりだけど、婚活よりも飲食に夢中のようだ。
だったら、もっと話ができるひとを探すか。
あっ、奥にいるあの30代半ばくらいのひと、爽やかな顔をしてて好みかも。
ひとが多すぎて、おなかがつっかえるからなかなか前に進めないな~。
よいしょ、よいしょ。
ふう、やっと辿り着いた。
「すみません、ちょっとよろしいでしょうか?」
「あ、うん、いいよ」
その男性はにこやかに、優しげな目で彩を見つめた。
ああ、この人は感じも良さそうである。
「はじめまして。私、杉崎彩って言いますが……」
「ご丁寧にありがとう。アヤちゃんか。いい名前だね。僕は上沢幸司です」
話し方も爽やかだ。
このひと、いいかも。
なんだか、ようやくちゃんとした婚活ができそうな気がする。
こういうのを待ってたのよ。
なんとか頑張って、話を続けないと。
そこは男たちで溢れかえり、すっかり喧噪に満ちていた。
テーブルは取っ払われ、皆、ビールが入ったコップとつまみの皿を手に立食している。
ほかに女性の姿はなく、彩のためだけに開催された婚活パーティーという鶴田の言葉は本当らしい。
男性会員が1000人いるって、あながち嘘じゃなかったんだ。
だったら、なんで最初っからマトモなひとを紹介してくれなかったんだろう。
それにしても、私だけのためにこんなに沢山の男性が集まるなんて。
ああ、どきどきが止まらないよ……。
「杉崎様! ビールでよろしいですか!」
なぜか厨房に入った鶴田が、彩に向かって威勢の良い声を上げる。
鶴田さん、なにやってるんだろうと思いつつも、はい、と返事した。
コップを受け取って改めてあたりを見渡すが、彩に声を掛けてくる男はいない。
婚活パーティーなのに……みんな、シャイなんだろうか。
そう言えば美希も言ってたな。
最近の男たちは、女性の扱いが苦手である。恥ずかしがり屋も多いらしい。
だからパーティーでは、自分から積極的にどんどん声を掛けなさいって。
彩は、思い切って目の前にいた、赤ら顔をした中年の男に話しかけた。
「あの……杉崎彩って言います」
すると男は、あまり気の無いように返してきた。
「ああ、いいよ。自己紹介なんて。こんな機会めったにないんだから、どんどん飲もう! 食べよう!」
そう言いながら、ビールをごくごく飲み、皿に盛られたトンカツをむしゃむしゃと頬張っている。
婚活パーティーって、はじめてだから良くわからないが……。
ふつう自己紹介とか、しないものなのだろうか。
いや、さすがにそれは違うだろう。
このひと、顔はそれなりだけど、婚活よりも飲食に夢中のようだ。
だったら、もっと話ができるひとを探すか。
あっ、奥にいるあの30代半ばくらいのひと、爽やかな顔をしてて好みかも。
ひとが多すぎて、おなかがつっかえるからなかなか前に進めないな~。
よいしょ、よいしょ。
ふう、やっと辿り着いた。
「すみません、ちょっとよろしいでしょうか?」
「あ、うん、いいよ」
その男性はにこやかに、優しげな目で彩を見つめた。
ああ、この人は感じも良さそうである。
「はじめまして。私、杉崎彩って言いますが……」
「ご丁寧にありがとう。アヤちゃんか。いい名前だね。僕は上沢幸司です」
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こういうのを待ってたのよ。
なんとか頑張って、話を続けないと。
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