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第1話
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東雲と出会って初めての週末。
彩は自宅の最寄り駅のロータリーに、とびっきりお気にのワンピを着て立っていた。
今日は東雲と3回目のデートである。
休みということもあり、東雲からいい場所へ連れて行ってあげようと、提案されたのだ。
いい場所ってどこだろう。
彩はわくわくが止まらない。気分はまるで10代の頃のようである。
ずっと恋愛などしていなかったのに、東雲と付き合うようになってから、彩はどこか昔の懐かしい空気を感じていた。
約束の時間である10時ぴったりに、高級外車の大型SUVが静かに走り寄ってきて彩の目の前で止まった。
ドアを開けて降りてきたのは、東雲だ。
東雲はサングラスを掛け、白のTシャツにカーキ色で膝丈のショートパンツというラフな出で立ち。
今までスーツ姿しか見てなかったその姿は新鮮であり、かつシンプルなコーデながらもとてもオシャレである。
「やあ、彩さん。待たせちゃったかな?」
軽く手を上げた東雲のその格好良さに、彩はどぎまぎしてしまう。
「い、いえっ! ちょっと早く着いちゃったんで。それにしても、すごいクルマですねー!」
「いや、たいしたことないよ。もともとクルマなんか興味なかったから、ディーラーが勧めたヤツを買っただけさ」
クルマのことは彩も良くわからないが、おそらく一千万円以上はするだろう。
東雲は助手席の重厚なドアを開けて、手で招き入れるような仕草をした。
「さあ、お乗り下さい、お嬢様」
「は、はい」
クルマに乗り込みながら、翔さんってホントに紳士だなあと感心する。
ドアを閉めて運転席側に回った東雲は、シートに座るとシートベルトを締めてクルマを穏やかに発進させた。
クルマは制限速度に抑えながらも、なめらかに道路を走っていく。
そうか、翔さんは警察に勤めてるから、交通法規はしっかり守るんだな。
でも運転はすごく上手。
「それで、今日はどこに連れてってくれるんですか?」
「まだ内緒。ヒントは彩さんが言った好きな食べ物の3番目」
「えーっ、そんなの自分でも覚えてないですよ。翔さん、記憶力がいいんですね」
「うん。俺、昔から見たモノ、聞いたモノは全て記憶するクセがあるんだ」
「すごい! それってクセじゃなくて才能ですよ」
「試しに、俺に記憶力テストしてみて」
「じゃあ……私と初めて会ったときに履いていた靴がなんだか、わかります?」
「アイボリーのローファー。甲の部分に金色のビット飾りがある、しっかりと手入れされた靴」
東雲は即座に答えた。
すごい。
確かにその靴は愛用しているが、その日に履いていたことは彩本人も覚えていない。
格好良くて、お金持ちで、紳士で、なおかつ頭も良い。
こんな完璧な男性が、自分なんかと釣り合っているのだろうか、とちょっとおじけづいてしまう。
車内で、いろんな話をした。
翔さんは生まれも育ちも、都内であること。
次男で、3才年上のお兄さんは既に結婚してて、10才になる娘さんがいること。
(その娘さんに翔さんはすごく慕われていて、将来、結婚の約束をさせられたらしい)
中学高校と、ずっとバスケをやっていたこと。
などなど、彩にとっては知りたかった話が聞けて、嬉しいひとときが過ぎていく。
2時間ほど走って、ふと彩の目に飛び込んできたのは海だった。
彩は自宅の最寄り駅のロータリーに、とびっきりお気にのワンピを着て立っていた。
今日は東雲と3回目のデートである。
休みということもあり、東雲からいい場所へ連れて行ってあげようと、提案されたのだ。
いい場所ってどこだろう。
彩はわくわくが止まらない。気分はまるで10代の頃のようである。
ずっと恋愛などしていなかったのに、東雲と付き合うようになってから、彩はどこか昔の懐かしい空気を感じていた。
約束の時間である10時ぴったりに、高級外車の大型SUVが静かに走り寄ってきて彩の目の前で止まった。
ドアを開けて降りてきたのは、東雲だ。
東雲はサングラスを掛け、白のTシャツにカーキ色で膝丈のショートパンツというラフな出で立ち。
今までスーツ姿しか見てなかったその姿は新鮮であり、かつシンプルなコーデながらもとてもオシャレである。
「やあ、彩さん。待たせちゃったかな?」
軽く手を上げた東雲のその格好良さに、彩はどぎまぎしてしまう。
「い、いえっ! ちょっと早く着いちゃったんで。それにしても、すごいクルマですねー!」
「いや、たいしたことないよ。もともとクルマなんか興味なかったから、ディーラーが勧めたヤツを買っただけさ」
クルマのことは彩も良くわからないが、おそらく一千万円以上はするだろう。
東雲は助手席の重厚なドアを開けて、手で招き入れるような仕草をした。
「さあ、お乗り下さい、お嬢様」
「は、はい」
クルマに乗り込みながら、翔さんってホントに紳士だなあと感心する。
ドアを閉めて運転席側に回った東雲は、シートに座るとシートベルトを締めてクルマを穏やかに発進させた。
クルマは制限速度に抑えながらも、なめらかに道路を走っていく。
そうか、翔さんは警察に勤めてるから、交通法規はしっかり守るんだな。
でも運転はすごく上手。
「それで、今日はどこに連れてってくれるんですか?」
「まだ内緒。ヒントは彩さんが言った好きな食べ物の3番目」
「えーっ、そんなの自分でも覚えてないですよ。翔さん、記憶力がいいんですね」
「うん。俺、昔から見たモノ、聞いたモノは全て記憶するクセがあるんだ」
「すごい! それってクセじゃなくて才能ですよ」
「試しに、俺に記憶力テストしてみて」
「じゃあ……私と初めて会ったときに履いていた靴がなんだか、わかります?」
「アイボリーのローファー。甲の部分に金色のビット飾りがある、しっかりと手入れされた靴」
東雲は即座に答えた。
すごい。
確かにその靴は愛用しているが、その日に履いていたことは彩本人も覚えていない。
格好良くて、お金持ちで、紳士で、なおかつ頭も良い。
こんな完璧な男性が、自分なんかと釣り合っているのだろうか、とちょっとおじけづいてしまう。
車内で、いろんな話をした。
翔さんは生まれも育ちも、都内であること。
次男で、3才年上のお兄さんは既に結婚してて、10才になる娘さんがいること。
(その娘さんに翔さんはすごく慕われていて、将来、結婚の約束をさせられたらしい)
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などなど、彩にとっては知りたかった話が聞けて、嬉しいひとときが過ぎていく。
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