ヤケクソ結婚相談所

第２話

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「で、これからどうやって挽回するか、アイデアは出たのかいっ！」

令子はフォークでシーチキンパスタを口に運びながら、向かいに正座する亀吉を鋭い目で睨みつけた。

「いえ、それはその……」
「このボンクラがっ！　残ったシーチキン全部そのど頭に詰め込んでやろうか。おまえの腐りきった脳みそよりも賞味期限切れのシーチキンのほうが、さぞやいい働きをするだろうよっ！」

その時、令子の携帯が鳴った。
令子は忌々しげに携帯を引っ掴むと、耳に当てる。

「ああ、誰だ？」

ぶっきらぼうにそう尋ねると、しわがれた老婆の声が聞こえてきた。

『わしじゃ』
「なんだ、オットセイ占いのババアか。どうした」
『さっき、バカな女が占いにやってきた。どうやら婚活で悩んでいるらしい。手はずどおり、アンタんとこを紹介しといたから、もうじきそっちに行くじゃろうて』
「そうか、よくやった」
『入会したら、マージン寄越せよな』
「ふん、この強欲ババアが」

オットセイ神の占い師と、ヤケクソ結婚相談所はグルであった。
だいたいにおいて、占い師を訪れる女性は恋、特に結婚で悩んでいることが多い。
それに目をつけた令子が、近所の怪しげな占い師と手を組み、適当な占いをさせてヤケクソ結婚相談所へと誘導するように図ったのである。
いわゆる業務提携だが、サギとも言えよう。

『ところで、ひとつ気になることがあるのじゃ』
「なんだ」
『その女じゃが……どうも嫌なオーラを放っておってな』
「はあ？　おまえ本当は、占いなんかまるで当たらないだだのババアだろうが」
『バカにするな！　当たらないのは確かじゃが、ちっとは悪いモノを感じる力くらい持っておる。とにかく、気をつけることじゃな』
「ふん。ご忠告ありがとよ、このインチキ占い師めが」

令子は通話を切ると、やおら亀吉を睨みつけた。

「おい、客が来る。いいか、今度こそ逃すんじゃねえぞ！」