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第2話
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「……話を変えよう。冥府がはっぴいの会員だった頃、担当だったおまえは性根の悪い男性会員に頼んで、冥府と嘘の交際をさせた。おそらくいくらかカネを払ったんだろう。そうして、デート中にわざとトンズラさせて、冥府にはおまえから交際相手が死んだと電話を入れた」
大塚は動揺しているのか、激しく目を動かしている。
脇で成り行きを見守っていた亀吉も、何が起きているのかわからず目が回っていた。
「冥府から聞いたが、あいつの家にテレビはなく、機械音痴でスマホもろくに扱えないから、ニュースなんぞ殆ど見ないそうだ。だから、おまえの言ったことを疑いもなく信じた。おまえを信頼してたし自分は呪われていると思いこんでいるから、嘘の死も素直に受け入れたんだろう。つまり、全てはおまえが仕組んだ事に違いない」
「そ、そんなの、言いがかりよ……証拠はあるの! 証拠は!!」
すると令子は、留三においと声をかける。
留三は面倒そうにポケットからくしゃくしゃの写真を取り出すと、それを大塚に見せつけた。
とある男女のカップルの、結婚式での記念写真である。
「キリンに蹴飛ばされて死んだという男の名前は、猿丸喜太郎だろ。ちょいと変わった名前だから目立つよな。ところでこの写真は、はっぴいのサイト、『ご成婚おめでとう』ページで見つけたんだ。新郎の名前は、猿丸喜太郎。先月結婚している。死んだはずの男が結婚って。はて、こりゃどういうことだ? なあ、大塚さんよう!」
なにせ、これまでさんざん浮気男女を恫喝してきた留三である。
そんなガラの悪い留三に問い詰められると、大抵の者は白状するしかない。
大塚も例外ではなかった。
ああ、と声を上げると、その場に泣き崩れたのだ。
即座に、泣いてんじゃねえ!と、令子が一喝した。
「やっぱり、お前が犯人だったんだな。高宮を襲ったのも、冥府の呪いを利用して別れさせるためだろうが。なんで、そんなことをした!」
大塚は涙を手で拭いながら、ぼそぼそとか細い声を絞り出した。
「……憎かったんです……冥府さんが」
「はあ? なんで冥府を憎むんだ」
「……私、こんな容姿だから婚活は苦労して、おばさんになってやっと結婚したんです。だけどほんの数年で夫に浮気され離婚しました……ちょうどそんなときに、冥府さんが入会されて。あんなにキレイで若くて……でもお相手は誰でもいいって言う。そんなの、絶対いい男がより取り見取りじゃないですか……私とは境遇が全然違う。それで無性に腹が立ってしまって……こんな女、絶対不幸にさせてやる、そう思ったんです……」
「つまり、嫉妬ってわけか。くだらねえ」
令子は、玄関の床にぺっと唾を吐いた。
「そもそも、そんな腐った性格だから夫に浮気されるんだ。容姿は関係ねえ。わかったか!!」
大塚は動揺しているのか、激しく目を動かしている。
脇で成り行きを見守っていた亀吉も、何が起きているのかわからず目が回っていた。
「冥府から聞いたが、あいつの家にテレビはなく、機械音痴でスマホもろくに扱えないから、ニュースなんぞ殆ど見ないそうだ。だから、おまえの言ったことを疑いもなく信じた。おまえを信頼してたし自分は呪われていると思いこんでいるから、嘘の死も素直に受け入れたんだろう。つまり、全てはおまえが仕組んだ事に違いない」
「そ、そんなの、言いがかりよ……証拠はあるの! 証拠は!!」
すると令子は、留三においと声をかける。
留三は面倒そうにポケットからくしゃくしゃの写真を取り出すと、それを大塚に見せつけた。
とある男女のカップルの、結婚式での記念写真である。
「キリンに蹴飛ばされて死んだという男の名前は、猿丸喜太郎だろ。ちょいと変わった名前だから目立つよな。ところでこの写真は、はっぴいのサイト、『ご成婚おめでとう』ページで見つけたんだ。新郎の名前は、猿丸喜太郎。先月結婚している。死んだはずの男が結婚って。はて、こりゃどういうことだ? なあ、大塚さんよう!」
なにせ、これまでさんざん浮気男女を恫喝してきた留三である。
そんなガラの悪い留三に問い詰められると、大抵の者は白状するしかない。
大塚も例外ではなかった。
ああ、と声を上げると、その場に泣き崩れたのだ。
即座に、泣いてんじゃねえ!と、令子が一喝した。
「やっぱり、お前が犯人だったんだな。高宮を襲ったのも、冥府の呪いを利用して別れさせるためだろうが。なんで、そんなことをした!」
大塚は涙を手で拭いながら、ぼそぼそとか細い声を絞り出した。
「……憎かったんです……冥府さんが」
「はあ? なんで冥府を憎むんだ」
「……私、こんな容姿だから婚活は苦労して、おばさんになってやっと結婚したんです。だけどほんの数年で夫に浮気され離婚しました……ちょうどそんなときに、冥府さんが入会されて。あんなにキレイで若くて……でもお相手は誰でもいいって言う。そんなの、絶対いい男がより取り見取りじゃないですか……私とは境遇が全然違う。それで無性に腹が立ってしまって……こんな女、絶対不幸にさせてやる、そう思ったんです……」
「つまり、嫉妬ってわけか。くだらねえ」
令子は、玄関の床にぺっと唾を吐いた。
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