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これがリアルだから!
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「ラッパよーい!!」
高らかに出航喇叭が鳴り響く。
前までそれを、どこか遠くから見ていた。
けど今は違う。
「出航よーい!!!」
俺は吠えるように叫んだ。
甲板員が、舫綱を引っ張って行く。
「見張り!早く持ち場につけ!」
「すみません!」
ヒステリックな怒号さえも、今は自身の士気を鼓舞するための法螺貝の音色のように感じた。
艦橋の左舷のウィングにある双眼鏡を覗き、海面上のゴミや船舶があるかどうかを確認する。
「左舷異常なーし!!!」
「右舷異常なーし!!」
俺の声の後、島津が大きな声で言った。
「両舷前進微速!赤黒無し!」
「曳船使用終わり、YT43、曳船舫離せ!」
曳船の舫が話され、ここからは、本当に自分たちの操艦が重要になってくる。
「両舷前進半速!!」
ぐんぐんとスピードが上がって行く。
青の作業服が潮風に揺れる。
「艦橋変針一分前!回頭方向異常なーし!」
程なくして、
「艦橋間まもなく変針点!」
「艦橋只今変針点!次のコース、1-2-0!航程2500!次回変針予定時刻、1230!艦橋コース上!!」
元からこの泡雪に乗艦している先輩方も負けじと声をはる。
「おもーかーじ!」
「おもーかーじ!!」
舵輪のカラカラと回る音。
俺は今、セーラーにいる!
これほどまでにそう思う事はないだろう。
泡雪は、なんというか、色々と古い艦だ。
海上護衛隊の艦は、二次世界大戦の艦を復刻して使用しているから古い作りで当たり前なのだが、その復刻した艦に、最新の戦闘システムを無理矢理積んでいた。
しかし、それも海自のお古で、MK425インチ砲が前部甲板に一つ、後部甲板に二つ。長魚雷も積んでいるし、両舷側には短魚雷が付いている。さらには、対空砲を積んでいた所にはCIWS、ファランクスがある。これらは、しらねやくらまから頂戴したものらしい。
しかし、それらを統合し、操作するCICなんて呼べる部屋はなく、砲術長率いる砲術科。水雷長率いる水雷科が、個々の部屋で頑張っているのである。
今のような、のペーとした艦を作ればいいのに。
「目標海域に到着!」
なんて愚痴を心の中で思っていると、目標海域についていた。
「見張り員、対艦見張りを厳となせ!」
艦長からの指令。俺は双眼鏡を引き続き覗く。
今回の任務は以下の通りだ。
日本のEEZに、中国艦船が侵入。海保が注意するも、向こうから警告発砲をされたらしい。
近年よく聞くケースだ。
こういう、海保だとどうしようもない事を、海上自衛隊と一緒になって対処するのが海上護衛隊。
『電探に感あり!!右舷10度!距離120、飛行物体、二!接近中!!敵ミサイルと思われる!』
電信室から伸びる伝声管から声が聞こえた。
「対空戦闘よーい!!!」
じじじじじ!!
サイレンが鳴り、ウィングにいる俺たちは艦橋の中に入り、救命胴衣と、ヘルメットをかぶり、すぐに戻る。
「おもーかーじ20度!51番砲、電信の指示の目標。発射よーい」
艦長が伝声管で指示を出す。
「こーげきはじめ!」
どどん!どどん!
二発の砲弾が飛んで行く。
しばらくして、
『プリッツ、二、消滅!迎撃した模様!』
「爆破閃光を確認!迎撃しました!」
島津が嬉しそうに報告する。
「電信、敵艦を見つけれるか?」
『ダメです。見つけられません』
さすがに、最新のレーダーを積む事は出来なかったようで、代わりに付けられた旧式のレーダーでは発見できなかったようだ。
「了解した。只今海上自衛隊の艦がこちらを援護するために佐世保から来ている。引き続き、中国艦船の捜索を行う。とーりかーじ5度、引き続き対艦見張りを厳となせ」
「とーりかーじ!」
舵輪の回る音。
『再び電探に感!!左舷40度!飛行物体、四!距離150キロ!敵ミサイルと思われる!』
「転舵したか!?もどーせー!進路ヨーソロー、51、2番発射よーい、てー!」
どどん、どどん!
どどん、どどん!
目の前の51番砲と、後部甲板の52番砲が二発づつ火を吹いた。
「爆破閃光を視認!」
『三つのプリッツの消失を確認、一機撃ち漏らしてます!』
「敵ミサイル、目視!左35度まっすぐ突っ込んでくる!」
始めてみる飛んでくるミサイル。正直ちびりそうだ。
「ファランクス攻撃はじめ!」
後部銃座のファランクスがとんでもない音で銃弾を発砲する。
ーーーーーーバーーーーン!!!!!
ファランクスの弾が当たった瞬間に弾け、凄まじい轟音と、煙。そして爆発を肌で感じ取った。
「爆破閃光を確認、迎撃成功!!」
手をパチンと叩いて喜んだ。
「よっしゃあ!!」
「うるせぇーぞ!菜月!」
舵輪を握るヒステリック田中さんが大声で怒鳴る。
「すみません!」
はやる気持ちを抑えるべく、俺は深呼吸をした。
まだかすかに火薬の匂いが残っている。
『艦長、電探に感。スピードからして、船です。非常に小さいですが、恐らくステルス性の高い艦かと思われます』
「場所は?」
『左舷15度、距離は50キロといったところでしょうか』
「了解した。とーりーかーじ15度!機関第四せんそーく!」
「とーりーかー15度!」
ゴロゴロゴロと舵輪が回る。
『了解、第四せんそーく!』
機関科の声が伝声管から聞こえてきた。
90度ほど傾いた所で、
「もどーせー!進路0-4-0ヨーソロー!」
の号令。
「もどーせー!進路0-4-0ヨーソロー!」
との号令がかかる。
艦が右に傾く。
そこから敵艦を見つけるまで、そう時間はかからなかった。
「艦長、艦影を視認!右舷60度、距離15キロ!」
「了解。電信室、相手に無線を使って通信を試みてくれ」
『了解』
「対艦戦闘よーい!!!」
じじじじじ!!
またしてもうるさいサイレンの音。
「おい見張り、なにしてんだよ!写真は!?」
ヒステリック田中さんのヒステリが俺に飛ぶ。
「すみません!!」
俺は急いで艦橋に戻ると、棚に置いてあるコンデジを持ち出し、またウィングに戻った。
カメラレンズの蓋を開けて、ファインダーを覗く。
江凱型のようだ。
始めてみる中国艦船の迫力に、言葉も出ない。
こちらよりも遥かに新しい艦。相手のレーダーからは、こちらはよく動くデカブツとしか思っていないんだろう。
『こちら、中国人民解放軍海軍所属、李孔明だ。貴艦の艦名と所属を名乗れ』
無線から流れてくる流暢な英語。文章から、その傲慢さがよく出ている。
「こちら、日本国海上護衛隊所属、駆逐艦泡雪である。私は艦長の長澤だ。貴艦は我が国の排他的経済水域に侵入している。速やかに出て行ってもらいたい」
こちらも強気で臨む気なのだろう。
『それはできない。何故ならここは我々の海だからだ。立ち去るのはあなた方の方ではないか?』
ビービービービーと不思議なサイレンが鳴る。
『まずい、ロックオンされた!!』
電信室からそんな声が聞こえた。
「電信室、海自に連絡!目標の座標を送信しろ!」
『了解!』
「菜月くん、敵の艦名とかわかるかな?」
急にきた質問にドギマギしながら、答えた。
「おそらく、江凱型の一隻、馬鞍山だと思われます」
「よろしい。主砲51、52番旋回、目標座標、電信室の通り、まだ撃つなよ」
ウィーンという機械音と共に驚きのスピードで回る。
『…なんのつもりだ、泡雪?』
「貴艦をここから追い出すための準備さ」
✳︎号令が間違っている可能性が大いにあります。また、とても乱文ですみません
高らかに出航喇叭が鳴り響く。
前までそれを、どこか遠くから見ていた。
けど今は違う。
「出航よーい!!!」
俺は吠えるように叫んだ。
甲板員が、舫綱を引っ張って行く。
「見張り!早く持ち場につけ!」
「すみません!」
ヒステリックな怒号さえも、今は自身の士気を鼓舞するための法螺貝の音色のように感じた。
艦橋の左舷のウィングにある双眼鏡を覗き、海面上のゴミや船舶があるかどうかを確認する。
「左舷異常なーし!!!」
「右舷異常なーし!!」
俺の声の後、島津が大きな声で言った。
「両舷前進微速!赤黒無し!」
「曳船使用終わり、YT43、曳船舫離せ!」
曳船の舫が話され、ここからは、本当に自分たちの操艦が重要になってくる。
「両舷前進半速!!」
ぐんぐんとスピードが上がって行く。
青の作業服が潮風に揺れる。
「艦橋変針一分前!回頭方向異常なーし!」
程なくして、
「艦橋間まもなく変針点!」
「艦橋只今変針点!次のコース、1-2-0!航程2500!次回変針予定時刻、1230!艦橋コース上!!」
元からこの泡雪に乗艦している先輩方も負けじと声をはる。
「おもーかーじ!」
「おもーかーじ!!」
舵輪のカラカラと回る音。
俺は今、セーラーにいる!
これほどまでにそう思う事はないだろう。
泡雪は、なんというか、色々と古い艦だ。
海上護衛隊の艦は、二次世界大戦の艦を復刻して使用しているから古い作りで当たり前なのだが、その復刻した艦に、最新の戦闘システムを無理矢理積んでいた。
しかし、それも海自のお古で、MK425インチ砲が前部甲板に一つ、後部甲板に二つ。長魚雷も積んでいるし、両舷側には短魚雷が付いている。さらには、対空砲を積んでいた所にはCIWS、ファランクスがある。これらは、しらねやくらまから頂戴したものらしい。
しかし、それらを統合し、操作するCICなんて呼べる部屋はなく、砲術長率いる砲術科。水雷長率いる水雷科が、個々の部屋で頑張っているのである。
今のような、のペーとした艦を作ればいいのに。
「目標海域に到着!」
なんて愚痴を心の中で思っていると、目標海域についていた。
「見張り員、対艦見張りを厳となせ!」
艦長からの指令。俺は双眼鏡を引き続き覗く。
今回の任務は以下の通りだ。
日本のEEZに、中国艦船が侵入。海保が注意するも、向こうから警告発砲をされたらしい。
近年よく聞くケースだ。
こういう、海保だとどうしようもない事を、海上自衛隊と一緒になって対処するのが海上護衛隊。
『電探に感あり!!右舷10度!距離120、飛行物体、二!接近中!!敵ミサイルと思われる!』
電信室から伸びる伝声管から声が聞こえた。
「対空戦闘よーい!!!」
じじじじじ!!
サイレンが鳴り、ウィングにいる俺たちは艦橋の中に入り、救命胴衣と、ヘルメットをかぶり、すぐに戻る。
「おもーかーじ20度!51番砲、電信の指示の目標。発射よーい」
艦長が伝声管で指示を出す。
「こーげきはじめ!」
どどん!どどん!
二発の砲弾が飛んで行く。
しばらくして、
『プリッツ、二、消滅!迎撃した模様!』
「爆破閃光を確認!迎撃しました!」
島津が嬉しそうに報告する。
「電信、敵艦を見つけれるか?」
『ダメです。見つけられません』
さすがに、最新のレーダーを積む事は出来なかったようで、代わりに付けられた旧式のレーダーでは発見できなかったようだ。
「了解した。只今海上自衛隊の艦がこちらを援護するために佐世保から来ている。引き続き、中国艦船の捜索を行う。とーりかーじ5度、引き続き対艦見張りを厳となせ」
「とーりかーじ!」
舵輪の回る音。
『再び電探に感!!左舷40度!飛行物体、四!距離150キロ!敵ミサイルと思われる!』
「転舵したか!?もどーせー!進路ヨーソロー、51、2番発射よーい、てー!」
どどん、どどん!
どどん、どどん!
目の前の51番砲と、後部甲板の52番砲が二発づつ火を吹いた。
「爆破閃光を視認!」
『三つのプリッツの消失を確認、一機撃ち漏らしてます!』
「敵ミサイル、目視!左35度まっすぐ突っ込んでくる!」
始めてみる飛んでくるミサイル。正直ちびりそうだ。
「ファランクス攻撃はじめ!」
後部銃座のファランクスがとんでもない音で銃弾を発砲する。
ーーーーーーバーーーーン!!!!!
ファランクスの弾が当たった瞬間に弾け、凄まじい轟音と、煙。そして爆発を肌で感じ取った。
「爆破閃光を確認、迎撃成功!!」
手をパチンと叩いて喜んだ。
「よっしゃあ!!」
「うるせぇーぞ!菜月!」
舵輪を握るヒステリック田中さんが大声で怒鳴る。
「すみません!」
はやる気持ちを抑えるべく、俺は深呼吸をした。
まだかすかに火薬の匂いが残っている。
『艦長、電探に感。スピードからして、船です。非常に小さいですが、恐らくステルス性の高い艦かと思われます』
「場所は?」
『左舷15度、距離は50キロといったところでしょうか』
「了解した。とーりーかーじ15度!機関第四せんそーく!」
「とーりーかー15度!」
ゴロゴロゴロと舵輪が回る。
『了解、第四せんそーく!』
機関科の声が伝声管から聞こえてきた。
90度ほど傾いた所で、
「もどーせー!進路0-4-0ヨーソロー!」
の号令。
「もどーせー!進路0-4-0ヨーソロー!」
との号令がかかる。
艦が右に傾く。
そこから敵艦を見つけるまで、そう時間はかからなかった。
「艦長、艦影を視認!右舷60度、距離15キロ!」
「了解。電信室、相手に無線を使って通信を試みてくれ」
『了解』
「対艦戦闘よーい!!!」
じじじじじ!!
またしてもうるさいサイレンの音。
「おい見張り、なにしてんだよ!写真は!?」
ヒステリック田中さんのヒステリが俺に飛ぶ。
「すみません!!」
俺は急いで艦橋に戻ると、棚に置いてあるコンデジを持ち出し、またウィングに戻った。
カメラレンズの蓋を開けて、ファインダーを覗く。
江凱型のようだ。
始めてみる中国艦船の迫力に、言葉も出ない。
こちらよりも遥かに新しい艦。相手のレーダーからは、こちらはよく動くデカブツとしか思っていないんだろう。
『こちら、中国人民解放軍海軍所属、李孔明だ。貴艦の艦名と所属を名乗れ』
無線から流れてくる流暢な英語。文章から、その傲慢さがよく出ている。
「こちら、日本国海上護衛隊所属、駆逐艦泡雪である。私は艦長の長澤だ。貴艦は我が国の排他的経済水域に侵入している。速やかに出て行ってもらいたい」
こちらも強気で臨む気なのだろう。
『それはできない。何故ならここは我々の海だからだ。立ち去るのはあなた方の方ではないか?』
ビービービービーと不思議なサイレンが鳴る。
『まずい、ロックオンされた!!』
電信室からそんな声が聞こえた。
「電信室、海自に連絡!目標の座標を送信しろ!」
『了解!』
「菜月くん、敵の艦名とかわかるかな?」
急にきた質問にドギマギしながら、答えた。
「おそらく、江凱型の一隻、馬鞍山だと思われます」
「よろしい。主砲51、52番旋回、目標座標、電信室の通り、まだ撃つなよ」
ウィーンという機械音と共に驚きのスピードで回る。
『…なんのつもりだ、泡雪?』
「貴艦をここから追い出すための準備さ」
✳︎号令が間違っている可能性が大いにあります。また、とても乱文ですみません
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