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平和って、暇ってなんだろう
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暇と言う言葉がある。軍人達はこれを平和な証拠と言うらしい。
まさに今の瑞雪のそれだった。
「あー。このまま南下してハワイにでも行きたいなー」
「え、この船ハワイまで行けるんですか?」
心底驚いた様子で島津が言った。
「いえ、わかりません。行ったことないですし。まぁ、恐らく行けると思いますけどね」
絶対この人数じゃ過労で倒れる奴いるだろうけどなんて言えない。
「そうなんですか!いいなーハワイ。行ってみたいなー」
「ハワイ行く前にこの任務に集中してください」
と永久保に注意された。何故だろう。永久保との会話の殆どが叱られている気がする。
「なぁ、副艦長」
「なんですか?」
「なんか…その…すまんな」
「わかればいいんです」
その言い方も、若干のトゲを含んでいる気もするが、まぁ許してくれたから良しとしよう。
伝声管から松井の声が聞こえたのはその数秒後だった。
『敵駆逐艦一隻視認!前方、右60度距離80!』
「ハチマル?」
「八キロの事です」
と島津に説明すると同時に、俺は伝声管に吠えた。
「対艦戦闘用意!右砲雷戦!主砲、攻撃はじめ!電信員、旗艦に連絡。『我、敵艦ト交戦中。応援を求む』!」
「全砲門うちーかたはじめ!」
川村も伝声管に吠える。それにあわせて、どとん!どどん!と大きな音が鳴った。さっきまでの平和が、暇が嘘のようだ。
『命中弾なし!主砲、旋回中!』
「了解、取り舵四十五度!魚雷発射準備!」
「了解!とーりかーじ!」
船が左に曲がり、発射管も旋回が、終わっている。照準も偏差も求め終わっているのだろう。
「第一発射管、三発、てー!」
柳原も伝声管に叫ぶ。それと同時に今度はプシュ、プシュ、プシュと言う音がなり、魚雷が発射された。
『敵、撃ってきました!』
「面舵一杯!」
「おもーかーじ!」
船が右に旋回する。その横で、水柱が上がった。
「おおー!すごいすごい!」
と言って、島津が歓声を上げる。
『旗艦から打電!木津が来るそうです!』
と言ったそばから敵艦の周りに水柱が上がった。
「艦長、木津から発光信号です!」
永久保の指差した先に、木津はいた。チカチカと、光が点滅していた。
「と、も、に、た、た、か、お、う。共に戦おうか。やるねぇ。岩本も」
「岩本?」
「ん?あぁ、木津の艦長だよ。岩本啓太(けいた)。昔小学校で同じクラスだったんだ」
へぇーとなんとも気の無い返事を永久保からいただいた。じゃあなんで聞いた。
とはいえ、この粋な働きをした岩本に答えないと。
「見張り員、発光信号でこう伝えてくれ。『了解した。猿野郎』ってね」
『了解!』
果たして返事は。
「そ、れ、と、ご、め、ん。それとごめん?なんの話だ?」
程なくして、また発光信号が、送られてきた。
「ぎ、ょ、ら、い、う、っ、ち、ま、っ、た。魚雷撃っちまった~?!!?」
ということは、さっきの水柱は、恐らくもへったくれもなく、俺達の魚雷を当てたと言うことなのだろう。
「一番砲塔、てー!」
どどん!と言う音が、木津の砲撃の音がシンクロし、耳をつんざいた。
『五発中、三発命中!敵艦速力低下!敵の主機損傷した模様!』
「ということは…」
『中破です!』
撃沈が御法度の演習の沈没と扱われる状態はただ一つ。
ーーーー主機を壊し、中破にすること。たったそれだけだ。
「対艦戦闘用具収め!敵、駆逐艦を撃破!」
よっしゃぁ!と艦内に歓声があがった。
『ええー。この度は演習に参加して下さいまして、誠にありがとうございます』
ワイワイがやがやと、珍しくやかましい海洋高校に、俺達はいた。中国海軍育成校と、海洋高校の親睦会。それがうるさい理由だった。
「しかし、まぁ、勝ったね」
「そうだね」
と柳原が相打ちをした。
演習結果はお察しの通り、海洋高校の勝利、というか奇跡の大逆転と言うべきなのだろう。そんな勝ち方だった。
敵潜水艦からの雷撃で、巡洋艦三隻と戦艦一隻が戦闘不能になり、かなり状態は悪かった。最終的には、うちの潜水艦であり『本当の』旗艦、『はくりゅう』の雷撃により、敵潜水艦を撃破。そこに到着した俺達が雷撃と砲撃をして、残りの奴らを撃破した。
「よう、菜月!」
声のした方を見ると、丸坊主で、人の良さそうな笑顔をした男が立っていた。岩本だ。
「ひさしぶりだな」
「嘘付け!この前の艦長会議以来だろうが!」
そうだったかな。俺の中の記憶にはそんな事実はない。
「菜月さん」
振り返ると、島津がハンディカムを握っていた。
「おう?菜月、この人は?」
「首都テレビの島津さん。今回の演習の密着取材してんだよ」
「ほー。じゃあ俺はのいておくか」
じゃあな、といって、手を振りながら乗組員たちの所へと駆けていった。
「今大丈夫ですか?」
「ええ、ちょうど用事もすんだ所です」
「じゃあ、取材答えてください」
はいはい。といって、俺はインタビューに答える事にした。
*操艦号令など、間違っている可能性が、あります
まさに今の瑞雪のそれだった。
「あー。このまま南下してハワイにでも行きたいなー」
「え、この船ハワイまで行けるんですか?」
心底驚いた様子で島津が言った。
「いえ、わかりません。行ったことないですし。まぁ、恐らく行けると思いますけどね」
絶対この人数じゃ過労で倒れる奴いるだろうけどなんて言えない。
「そうなんですか!いいなーハワイ。行ってみたいなー」
「ハワイ行く前にこの任務に集中してください」
と永久保に注意された。何故だろう。永久保との会話の殆どが叱られている気がする。
「なぁ、副艦長」
「なんですか?」
「なんか…その…すまんな」
「わかればいいんです」
その言い方も、若干のトゲを含んでいる気もするが、まぁ許してくれたから良しとしよう。
伝声管から松井の声が聞こえたのはその数秒後だった。
『敵駆逐艦一隻視認!前方、右60度距離80!』
「ハチマル?」
「八キロの事です」
と島津に説明すると同時に、俺は伝声管に吠えた。
「対艦戦闘用意!右砲雷戦!主砲、攻撃はじめ!電信員、旗艦に連絡。『我、敵艦ト交戦中。応援を求む』!」
「全砲門うちーかたはじめ!」
川村も伝声管に吠える。それにあわせて、どとん!どどん!と大きな音が鳴った。さっきまでの平和が、暇が嘘のようだ。
『命中弾なし!主砲、旋回中!』
「了解、取り舵四十五度!魚雷発射準備!」
「了解!とーりかーじ!」
船が左に曲がり、発射管も旋回が、終わっている。照準も偏差も求め終わっているのだろう。
「第一発射管、三発、てー!」
柳原も伝声管に叫ぶ。それと同時に今度はプシュ、プシュ、プシュと言う音がなり、魚雷が発射された。
『敵、撃ってきました!』
「面舵一杯!」
「おもーかーじ!」
船が右に旋回する。その横で、水柱が上がった。
「おおー!すごいすごい!」
と言って、島津が歓声を上げる。
『旗艦から打電!木津が来るそうです!』
と言ったそばから敵艦の周りに水柱が上がった。
「艦長、木津から発光信号です!」
永久保の指差した先に、木津はいた。チカチカと、光が点滅していた。
「と、も、に、た、た、か、お、う。共に戦おうか。やるねぇ。岩本も」
「岩本?」
「ん?あぁ、木津の艦長だよ。岩本啓太(けいた)。昔小学校で同じクラスだったんだ」
へぇーとなんとも気の無い返事を永久保からいただいた。じゃあなんで聞いた。
とはいえ、この粋な働きをした岩本に答えないと。
「見張り員、発光信号でこう伝えてくれ。『了解した。猿野郎』ってね」
『了解!』
果たして返事は。
「そ、れ、と、ご、め、ん。それとごめん?なんの話だ?」
程なくして、また発光信号が、送られてきた。
「ぎ、ょ、ら、い、う、っ、ち、ま、っ、た。魚雷撃っちまった~?!!?」
ということは、さっきの水柱は、恐らくもへったくれもなく、俺達の魚雷を当てたと言うことなのだろう。
「一番砲塔、てー!」
どどん!と言う音が、木津の砲撃の音がシンクロし、耳をつんざいた。
『五発中、三発命中!敵艦速力低下!敵の主機損傷した模様!』
「ということは…」
『中破です!』
撃沈が御法度の演習の沈没と扱われる状態はただ一つ。
ーーーー主機を壊し、中破にすること。たったそれだけだ。
「対艦戦闘用具収め!敵、駆逐艦を撃破!」
よっしゃぁ!と艦内に歓声があがった。
『ええー。この度は演習に参加して下さいまして、誠にありがとうございます』
ワイワイがやがやと、珍しくやかましい海洋高校に、俺達はいた。中国海軍育成校と、海洋高校の親睦会。それがうるさい理由だった。
「しかし、まぁ、勝ったね」
「そうだね」
と柳原が相打ちをした。
演習結果はお察しの通り、海洋高校の勝利、というか奇跡の大逆転と言うべきなのだろう。そんな勝ち方だった。
敵潜水艦からの雷撃で、巡洋艦三隻と戦艦一隻が戦闘不能になり、かなり状態は悪かった。最終的には、うちの潜水艦であり『本当の』旗艦、『はくりゅう』の雷撃により、敵潜水艦を撃破。そこに到着した俺達が雷撃と砲撃をして、残りの奴らを撃破した。
「よう、菜月!」
声のした方を見ると、丸坊主で、人の良さそうな笑顔をした男が立っていた。岩本だ。
「ひさしぶりだな」
「嘘付け!この前の艦長会議以来だろうが!」
そうだったかな。俺の中の記憶にはそんな事実はない。
「菜月さん」
振り返ると、島津がハンディカムを握っていた。
「おう?菜月、この人は?」
「首都テレビの島津さん。今回の演習の密着取材してんだよ」
「ほー。じゃあ俺はのいておくか」
じゃあな、といって、手を振りながら乗組員たちの所へと駆けていった。
「今大丈夫ですか?」
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