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挑発の艦隊
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夏休みもあけ、数日。今日も瑞雪は平和…ではなかった。
「総員準備はいいか?!」
『おぉー!』
ぱらぱらーぱらぱらーぱらぱぱっぱらー!と出航喇叭が高らかと鳴り、俺達は出航した。
前置きもなしにどうしてこうなったか。事の発端は単純な物で、この時期に行われる、『全国海洋高校実力合戦』と呼ばれる大会がその発端だ。
大変恐縮ながら、ここ、長崎海洋高校はこの大会の常連校だったりする。当然、俺達も参加する事になった。
「いつにもまして、気合い入ってるね、艦長」
取材のために瑞雪に乗り込んだ島津が、愛用のハンディカムを準備しながら茶々を入れてきた。
「そりゃ、この大会で長崎海洋高校なんて言ったら名門校ですもん。気合い入りまくりです」
ふんす、と俺は鼻息を出した。
『艦長、伊賀から手旗信号です。旗をあげよとの事』
松井の声が伝声管から聞こえてきた。
「了解。航海員、信号旗『Z』を上げてくれ!」
カラカラカラ…と旗が上がっていき、しばらくすると、全艦のマストにZ旗が掲げられていた。昔から続く伝統的な習わしらしい。よくは知らないが。
ともあれ、俺達の艦隊は目標海域である日本海を目指していた。
大会はトーナメント方式で、ブロック(?)は二校一ブロックだ。ちなみに、このブロックは旗艦の班長が引くくじで決まる。
一回戦。相手は幸運な事に同じく強豪の横須賀海洋高校だった。
「しかし、見当たらないな。着いたのに」
日本海に着いて、俺達駆逐艦が色々と散策しているのに何も見当たらない。見えるのは海、海、海。戦艦の艦橋も、駆逐艦も見あたらなかった。
「ソナーにも何も無いですしね」
と永久保も不思議そうに首を傾げた。そんな時だった。
『艦長!電探に感あり!十秒後、右舷前方に着弾予定!』
「はぁ?!なんなんだよ!取り舵一杯!機関さん、一杯!」
今田のとーりかーじ!と、機関からの了解が一緒に艦橋を駆け巡った。
「全員衝撃備えてろ!!!!!」
『ちゃくだーん!』
松井の叫び声が伝声管を震わせる。次の瞬間、艦尾すれすれの場所で水柱が上がった。
船が一瞬前のめりになり、ドシン!と再び水面に着水した。
『後部浸水!今から応急処置を行う!』
『主機損傷!第三戦速以上は出せないわ!』
「怪我人は?!」
『三人だけ!今衛生の川辺さんが応急手当て中!』
たった一発だけでこれだけの破壊力。間違いなく戦艦だろう。
「電信員、旗艦に打電!『敵戦艦に襲われている。敵の位置は不明』!」
『了解!』
「対艦見張りを厳となせ!」
『了解!』
見えない敵の攻撃に、全員がパニックに陥った。
「それと、松井」
『何でしょう?』
「発艦準備」
『!了解!』
一瞬、艦橋にざわめきが起きた。それもそのはず。この艦には航空機なんて乗せられないからだ。しかし、それはあくまで韋駄天などの大型の航空機の事である。小型で、しかも滑走を必要としないホバリングが出来る航空機なら、話は別だ。
『発艦準備用意よし!』
「ドローン発艦はじめ!」
窓の外を見ると、キラリと光るドローンが飛んでいた。
「ドローンなんていつ買ったんですか?」
永久保が不思議そうに尋ねてきた。
「お前と東京見学しに行った時にたまたま見たドローンの雑誌を見てね。それから、松井と電信員の平瀬しずくの三人で試行錯誤したのさ」
ふふん!と腰に手を当て、自慢げに鼻息をしてみせる。どうだ。
「へぇー。凄いですね」
…あれ?反応が薄いぞ?もっとこう、へぇー!凄い!みたいなのを想像していたのだが…。
『敵艦発見!敵座標、旗艦に送ります!』
「了解。敵のみた感じの陣形は?」
『戦艦を駆逐艦二隻と巡洋艦三隻で囲った輪形陣です!』
輪形となると、周りの駆逐艦やらが厄介だな。
『旗艦、はくりゅうから入電。我々は貴艦の援護に向かう。艦は木津、雲取、はくりゅうだそうです!』
旗艦自らお出ましするのか。それなら多分、ここは心配無いだろう。
「よっしゃ。ここから離脱する!第三戦速!」
全速力、とは行かないが、なんとか逃げる事に成功した。
「さぁ、こっからどーすっかなー?」
海の上。額を寄せ集めて俺達は海図を見ていた。
「どうすっかなー?」
「主機の修理は終わったわよ」
とロリッ子…もとい、大東が言った。
「そうか…。じゃあ、行くか。出航準備!」
ゆっくりと船が動き出した。
『ドローン飛ばしますか?』
「一応飛ばしといて」
『了解』
これで何事も無ければ良いが。
数分後やはり不運は起きた。
『ドローンに感あり!敵艦と思われる!』
「方向は?」
『北西です。相手レーダーに感知されている可能性あり!距離は十二キロ!』
「了解!対艦戦闘用意!取り舵3ー2ー0度よーそろー!」
舵輪がからからと回る音が響く。
「とーりかーじ!針路3ー2ー0度!」
船が少し、左に曲がる。
「しかし、どうしてこう俺達は不幸なんだろうな」
「あんたが不幸なだけでしょ!」
と思いっきり永久保につっこまれた。
*操舵、号令が間違っている可能性があります。
*今回もお見苦しい文章となり、申し訳ございませんでした。
「総員準備はいいか?!」
『おぉー!』
ぱらぱらーぱらぱらーぱらぱぱっぱらー!と出航喇叭が高らかと鳴り、俺達は出航した。
前置きもなしにどうしてこうなったか。事の発端は単純な物で、この時期に行われる、『全国海洋高校実力合戦』と呼ばれる大会がその発端だ。
大変恐縮ながら、ここ、長崎海洋高校はこの大会の常連校だったりする。当然、俺達も参加する事になった。
「いつにもまして、気合い入ってるね、艦長」
取材のために瑞雪に乗り込んだ島津が、愛用のハンディカムを準備しながら茶々を入れてきた。
「そりゃ、この大会で長崎海洋高校なんて言ったら名門校ですもん。気合い入りまくりです」
ふんす、と俺は鼻息を出した。
『艦長、伊賀から手旗信号です。旗をあげよとの事』
松井の声が伝声管から聞こえてきた。
「了解。航海員、信号旗『Z』を上げてくれ!」
カラカラカラ…と旗が上がっていき、しばらくすると、全艦のマストにZ旗が掲げられていた。昔から続く伝統的な習わしらしい。よくは知らないが。
ともあれ、俺達の艦隊は目標海域である日本海を目指していた。
大会はトーナメント方式で、ブロック(?)は二校一ブロックだ。ちなみに、このブロックは旗艦の班長が引くくじで決まる。
一回戦。相手は幸運な事に同じく強豪の横須賀海洋高校だった。
「しかし、見当たらないな。着いたのに」
日本海に着いて、俺達駆逐艦が色々と散策しているのに何も見当たらない。見えるのは海、海、海。戦艦の艦橋も、駆逐艦も見あたらなかった。
「ソナーにも何も無いですしね」
と永久保も不思議そうに首を傾げた。そんな時だった。
『艦長!電探に感あり!十秒後、右舷前方に着弾予定!』
「はぁ?!なんなんだよ!取り舵一杯!機関さん、一杯!」
今田のとーりかーじ!と、機関からの了解が一緒に艦橋を駆け巡った。
「全員衝撃備えてろ!!!!!」
『ちゃくだーん!』
松井の叫び声が伝声管を震わせる。次の瞬間、艦尾すれすれの場所で水柱が上がった。
船が一瞬前のめりになり、ドシン!と再び水面に着水した。
『後部浸水!今から応急処置を行う!』
『主機損傷!第三戦速以上は出せないわ!』
「怪我人は?!」
『三人だけ!今衛生の川辺さんが応急手当て中!』
たった一発だけでこれだけの破壊力。間違いなく戦艦だろう。
「電信員、旗艦に打電!『敵戦艦に襲われている。敵の位置は不明』!」
『了解!』
「対艦見張りを厳となせ!」
『了解!』
見えない敵の攻撃に、全員がパニックに陥った。
「それと、松井」
『何でしょう?』
「発艦準備」
『!了解!』
一瞬、艦橋にざわめきが起きた。それもそのはず。この艦には航空機なんて乗せられないからだ。しかし、それはあくまで韋駄天などの大型の航空機の事である。小型で、しかも滑走を必要としないホバリングが出来る航空機なら、話は別だ。
『発艦準備用意よし!』
「ドローン発艦はじめ!」
窓の外を見ると、キラリと光るドローンが飛んでいた。
「ドローンなんていつ買ったんですか?」
永久保が不思議そうに尋ねてきた。
「お前と東京見学しに行った時にたまたま見たドローンの雑誌を見てね。それから、松井と電信員の平瀬しずくの三人で試行錯誤したのさ」
ふふん!と腰に手を当て、自慢げに鼻息をしてみせる。どうだ。
「へぇー。凄いですね」
…あれ?反応が薄いぞ?もっとこう、へぇー!凄い!みたいなのを想像していたのだが…。
『敵艦発見!敵座標、旗艦に送ります!』
「了解。敵のみた感じの陣形は?」
『戦艦を駆逐艦二隻と巡洋艦三隻で囲った輪形陣です!』
輪形となると、周りの駆逐艦やらが厄介だな。
『旗艦、はくりゅうから入電。我々は貴艦の援護に向かう。艦は木津、雲取、はくりゅうだそうです!』
旗艦自らお出ましするのか。それなら多分、ここは心配無いだろう。
「よっしゃ。ここから離脱する!第三戦速!」
全速力、とは行かないが、なんとか逃げる事に成功した。
「さぁ、こっからどーすっかなー?」
海の上。額を寄せ集めて俺達は海図を見ていた。
「どうすっかなー?」
「主機の修理は終わったわよ」
とロリッ子…もとい、大東が言った。
「そうか…。じゃあ、行くか。出航準備!」
ゆっくりと船が動き出した。
『ドローン飛ばしますか?』
「一応飛ばしといて」
『了解』
これで何事も無ければ良いが。
数分後やはり不運は起きた。
『ドローンに感あり!敵艦と思われる!』
「方向は?」
『北西です。相手レーダーに感知されている可能性あり!距離は十二キロ!』
「了解!対艦戦闘用意!取り舵3ー2ー0度よーそろー!」
舵輪がからからと回る音が響く。
「とーりかーじ!針路3ー2ー0度!」
船が少し、左に曲がる。
「しかし、どうしてこう俺達は不幸なんだろうな」
「あんたが不幸なだけでしょ!」
と思いっきり永久保につっこまれた。
*操舵、号令が間違っている可能性があります。
*今回もお見苦しい文章となり、申し訳ございませんでした。
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