海洋高校駆逐艦、『瑞雪』艦内報告!

たらしゅー放送局

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この海域ってどんな魚がいるの?

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 ボルチモアに着いてやはりお偉いさんの挨拶を受けた後、これまたやはり一日休暇となったわけで…
「おやすみ!」
 ガバッと布団を被った。
 通過祭以降、まともに寝ずに指揮をとっていたので疲れた、寝たい、切実に。
 とか思ってたらコンコン、と扉が叩かれた。同じ部屋の川村ならこんな律儀なことしない。
 つまり川村以外の誰かが来たのだろう。
「はいはい。ちょっと待って…」
「じゃまするぞー!」
 と航海員の竹内誠(まこと)が言葉を待たずしてドアを開けた。
「…」
「…」
 しばしの沈黙。ベッドの上で、あっちはドアを開けた状態で固まった。
「じゃまするんだったら帰れ!」
「それが通用するのは大阪だけだ!」
 といつもより大きな声でつっこまれた。
「あ、あのー、艦長?」
 と竹内の奥からひょこっと今田が出てきた。
「お休みの所すみません。実はですね?」
 と言って少し不安げな表情で尋ねてきた。

 今田が言うには、航海員の男は漁師の子が多く、魚が見てぇと言うことで水族館に行くことになった。なら何故市場に行かねぇんだ?と聞いたら、
『海外の市場に並んでる魚は死んだ目をしている!』
 と竹内に言われた。
 そもそも、日本の市場に並んでる魚も死んでるから死んだ魚の目をしていると思ったが、言わないでおいた。めんどくさいし。
 ともあれ、俺達はボルチモアにあるナショナル水族館に着いた。
「なんつーか、奇抜だな」
 三角形だらけの屋根。奇抜としか言いようがない。
「あぁ、これが最先端ってやつなんだろうな…」
 と竹内も目を細めて言った。
「取り敢えず、入りますよー」
 と今田が俺達に声をかけた。

「うっはー!すげぇー!」
 と竹内が叫びながら走った。入ってすぐの水槽には、サメなどの大型の魚が泳いでいて、凄い迫力だった。
「すごいですね…」
「そうだな」
 俺達があっけにとられていると、
「おーい!今田!早く行こうぜ!」
 と今田を呼んだ。なぜ今田だけを呼んだのか、その答えはすぐにわかった。
「うん」
 と言って竹内のもとへ行き、手を繋いだのだ!
「ちょっとまてー!」
 不覚にも大声で叫んでしまった。まわりの目が痛いが、そんなこと今はどうでもいい。
「なんだよ艦長、大声出して。恥ずかしくねぇのか?」
「そんな事よりお前ら!つ、付き合って…」
「?あぁ、前から付き合ってたぜ?」
 それを聞いた俺は腰が抜けた。

 昔、兄ちゃん言ってた気がした。艦橋の奴らの春は遅いと。嘘じゃねぇか。
 今のこの状況を説明するとこんな感じだ。
 気まずい。
 これ以上も以下もなく気まずい。なぜ俺が二人のデートに誘われたかと言うと、あまり皆には知られたくないのだそうだ。だから、公のデートではなく、あくまで俺と竹内と今田が水族館に遊びに行くという無理のあるシュチュエーションに持ち込んだという。
 これを聞く限り、そんな秘密を教えてくれるあたり、信用されているのだろうけど、二人のデートを邪魔してはいけないので、なんで今ここにいるんだという感じが半端ない。正直、もう戻って寝たい。
「あ!」
 と言って今田が水槽にへばりついた。その目線の先には隻腕のサメがいた。
「あのサメがどうかしたか?」
「あのサメ、セーラーの保護部隊が保護したんだって」
 うっとりとした目線で見つめていた。
「今田は保護隊に入りたいんだよな」
 と竹内が今田の横についた。
「保護隊ねぇ」
 保護隊、正式名称第十三野生生物保護隊と呼ばれるその部隊は文字通り、主に海洋の野生生物の保護をする所だ。
 もともとは、海上護衛隊を軍事的な組織だと判断した野党に、海上の全ての物を護衛するというこれまた無理のある大義名分を通すために設置した部隊だったが、今では『保護隊の人達はモテる』というぐらいに人気になってきていた。
「けど確か保護の教育受けれるのって江田島か呉じゃなかったか?」
 と俺は突っ込んだ。
「大丈夫ですよ。保護隊の教育はセーラーに入っても出来ますし、何もそんなに慌てる事ではないですよ」
 と言って今田は笑った。

 今田と竹内のデートが終わり、くたくたになっていた俺は速攻でベッドに潜り込んだ。
 あぁ…布団が暖かい…。
 とか思ってると、またもや扉が叩かれた。
「はいはい。ちょっと待って…」
「またじゃまするぜ!」
 とデジャヴを感じざるおえない状況が起こった。
「ガチで帰ってくれ。眠い」
「そう言わずに付き合ってくれよ」
と竹内が人差し指をひょこひょこと伸ばしたり曲げたりした。

 その夜、夕食後俺は乗組員全員を応接室に呼び出した。
「えー。この度、この艦に新しい仲間が加わります」
 ざわざわとどよめく。
「こいつです」
 と言って俺が抱っこして見せたのは、白い子猫だった。
 おお!と歓声が起きる。
「以前から、対ネズミ用に飼おうと言う意見があったので、この際飼ってみた」
 領収書は勿論長崎海洋高校だ。もともと対ネズミ用のネコの飼育は認められているから、学校も文句は言えまい。
「世話係だが、今田に任せてもいいか?」
「え、私ですか?」
と本気で動揺している。
「あぁ。保護隊の勉強って結構難しいだろ?海洋生物じゃないし、少ない期間だが生き物を飼うっていう体験は積める。不安なら竹内と一緒にやれ。言い出しっぺあいつだしな」
「そうなの?」
 と確認するように今村が竹内を見た。
 こくんと竹内は首を縦に振った。
「じゃあ、竹内くんと一緒にやろうかな?」
「よし、じゃあ、決まりだ!皆も困ってると思った時は助けてやってくれよ」
 はーい。と皆からの返事が返ってきた。

 こうして、瑞雪は新たな乗組員(?)を迎える事になった。



*今回は日常系にしてみました。次回から普通に海の上にいますのであしからず。
*更新遅れてすみませんでした。
*乱文注意です。



お詫びの付録。
 海上自衛隊へ取材!(一般公開)


雨の中、てんりゅうと、掃海艇二隻つのしまとなるしまの一般公開に行きました!

↑つのしま

↑てんりゅう

楽しむと同時に、取材もやってきました。
 艦内の写真は流石にまずいと思ったので載せてませんが、居住区の二段ベッドや、風呂場など、日常に触れられました!さらに給養員の人の話を聞くことに成功!艦内での食事事情を学ぶことが出来ました♪。

この体験を糧として、この小説を書こうと思いますので、どうぞ最後までよろしくお願いします。


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