俺(40歳成人男性)が魔法少女に?!

桃田正介

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15話 3回目 4回目

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 また、ここからなのか。
 俺は、再び怒鳴る部長を前にしていた。

「君が彼女を呼ばないのなら、私が迎えにいく! どこの学校なのかも分かっているからね!」
 
 で、また出ていくんですよね。止めても無駄なんですもんね。
 そう思っていると、案の定、部長は窓を壊して出ていった。
 どうしたら間に合うのか考える時間も与えられず、とりあえず俺は部長を追いかける。
 だふん、今こうして中学校に向かっているが、舞ちゃんが拐われるまでに着くことはできない気がする。過去2回とも、部長が中学校を出ていく姿すら見ていない。
 そうすると、そこから倉庫に向かったのでは、かなりのタイムラグが生じることになるから、最初から倉庫に向かって走ればいいのでは?

「良いこと思いついた!」

 そこまで思考が至り、嬉しくなって俺はガッツポーズした。
 このまま倉庫に向かおう。それなら間に合う。

「やぁ、大二郎」

 その途中、淫獣が話しかけてきた。
 ルートを変えても、こいつは来るらしい。

「なんだ、俺は忙しい。視覚の共有とかはいらないぞ」
「あ、なんだ。知ってたんだ」

 さほど淫獣は驚いていないらしい。 
 残念がりもせず、しようと思った提案を簡単に引き下げる。

「ところで大二郎。どうやって舞を助けるつもりだい?」
「今それを考えてんだ」

 考えながら走ってるんだから、気を散らせないで欲しい。何が目的なのか、淫獣は続ける。

「大二郎が向かおとしてる所だけど、警察も向かってるようだ。このままいくと、鉢合わせになると思うけど」
「じゃあ、どうしろと? 行かない選択はないからな」

 今までそれは教えてくれなかったくせに、ルートが変わると教えてくれるのか。
 確かに、警察がくるのは俺が倉庫について、部長を倒してからすぐだ。時間にして数分程度。こいつの言う通り、このまま部長と戦ってから舞ちゃんを助けるとなると、また警察と鉢合わせして捕まえられるだろう。
 かと言って、俺が倉庫に向かわずして、舞ちゃんの無事はない。
 警察が来るのは、あまりに遅すぎる。

「そもそも、部長は何がしたいんだろう?」
「何ってそれは……」

 言うのは憚られるが、部長は残り少ない寿命に絶望して、自分のやりたい事を我慢しないようになった。
 ……我慢? 何を?
 思えば、部長は舞ちゃん自体に固執してるわけではないのではないか?

「思い当たる節があるようだね。その目的を潰すか、変えるかしたら、そこに行かずに済むんじゃないかな」

 舞ちゃんが部長の手中にある以上、目的を潰すことは難しい。そのため、俺が倉庫に向かわない選択肢もありえない。
 しかし、目的を変えさせる……。というのは、アリかもしれない。
 
「何か思いついたようだね」

 俺の顔を見て、淫獣は何かを察したらしい。

「部長は変態だが、変態はプレイの相手は女なら誰でもいいのではないか、と思った。なら、標的を逸らせばいい」
「なるほど。どうやって?」

 俺はニヤリと笑い、答えは言わなかった。変わりに、そのまま行動に移し、それを教えてやった。
 俺は通りかかった女子高生を捕まえた。

「きゃっ! なに!」

 変態……! と叫びかけた口を抑え、俺は倉庫に向かった。
 もごもご手の中で叫ぶ女子高生を抑えながら、果たして目的地につく。
 そして、俺は迷わずに部長めがけて走り、

「田中君! 誰だその子は!」
「いや――ッ!!」

 女子高生を部長に投げた。
 部長は女なら何でもいいんだろう。なら、代わりを渡せば、舞ちゃんからロックオンが外れると踏んだ。
 幸い、倉庫に直行したおかげで、舞ちゃんは無事だった。服の乱れがないことが、それを照明している。

「舞ちゃん、こっちだ!」

 俺はそのままの勢いで舞ちゃんを抱きかかえ、その場を去ろうとした……が、舞ちゃんは踏みとどまり、それを拒絶した。

「田中さん……駄目です。あの子を助けないと」
「いや、舞ちゃん! 今はそれどころじゃ……。あの子のことなら大丈夫だから!」

 舞ちゃんには知る由もないが、もうじき警察がくるから、あの女子高生の身には何も起きない。事は未遂に終わる。
 だから、今は早くこの場から離れよう。
 そう説明をしたいところだったが、とにかく時間がない。俺は必死に、大丈夫だから、と繰り返した。
 
「だから駄目です!! 私の代わりにあの子を……」

 次第に、舞ちゃんは泣きそうになっていった。

「田中さん、そんな人だったなんて……。残念です」

   ●

 もしかして、残念って言われたらループするとかなの?
 怒鳴る部長を前にして、俺はまたやり直しになっることに気がついた。

「どーしたらいいんだよぉーっ!」
「え……? なになに?」

 窓に向かっていた部長が、困惑して立ち止まる。
 部長を生かしててもダメ。倉庫に間に合ってもダメ。ターゲットを入れ替えてもダメ。
 あれもこれもダメ。

「何がそんなに残念なんだよ――!!」
「いや、田中君……ねえ」

 もとはと言えば全部コイツのせいじゃないか。
 お前が自暴自棄になって舞ちゃんを誘拐するから、俺がこんな目に合っているんだろ。

「うるさい! 全部お前のせい! 頭おかしくなるわ!」

 俺は部長に掴みかかった。
 勢いに呑まれ、部長は呆然とする。
 ……あれ? ここで今、部長をやっつければ、全部解決するんじゃないか?
 だとすれば、今が絶好の機会。
 部長が空に飛んでいく前に、ここで部長をどうにかしよう。
 そう思って、俺は部長に殴りかかった。いつの時と同じように、何度も顔面を殴りつけた。
 拳を振りかぶった時、ふと、部長と目があった。
 興奮していて気が付かなかったが、部長は悲しそうな表情で俺を見ていたのだ。
 なんですか、その表情……。

「部長……」
「田中君、残念だよ」


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