26 / 28
元通り
#6
しおりを挟む「って、もう知ってるか」
「まーな」
自惚れじゃない。即答できるほどには、毎日甘やかされていた。
あと、地味に愛が重かったりするし。
でもそれは俺も同じだ。月仁に堂々と甘えられるようになったけど、そのぶん妬くことも増えた。
近付けば近付くほど火傷する、眩い存在。
やっぱり、誰かに攫われるのは耐えられない。
「俺も月仁が好き。もう百回ぐらい言ってるけど」
「そうだな。これからは毎日聞けると思うと、幸せ」
「毎日言うこと前提かよっ」
もちろん良いけど。
彼の膝に跨り、肩に手を添える。
「じゃあ、ちゃんと捕まえて。……離さないでよ」
「当然。子どものときは何もできなかったけど。本当は、初めて会ったときからそのつもりだった」
儚くて、触れたら壊れてしまいそうな男の子。
彼を守り抜いて、笑顔にしたいと思った。
それが今では、自分の方が────。
「お前はいつまで経っても俺のお姫様だよ」
「そ、そういうのは思っても心の中だけにしろっ」
「無理だな。照れてるところが可愛いから」
月仁は深白の顎を掠め取り、唇を重ねた。
この温もりを失わないように。長く、深く溶け合っていく。
「ん……っ」
一緒に過ごす度に……触れ合う度に、固めた壁が一枚一枚崩れていく。
最後に残ったのは、泣き虫で寂しがりな自分。
こんな姿見せたくなかったけど、ほんとはずっと暴いてほしかった気もしてる。謎過ぎだ。
でもひとつだけ言えるのは、俺はずっと月仁が好きだったということ。
傷つくのも傷つけるのも怖くて動けなかった俺を、彼はいとも簡単に抱き上げてくれた。
どんどん惚れて、深みに入ってしまいそうで怖い。
「深白」
でも彼は、そんな俺の不安も取り払ってしまう。
「大丈夫。心の準備だけしておいて」
「準備。って、何の」
「俺に愛される準備」
はぁ~……。
もはや感嘆のため息だ。自信満々というか、余裕たっぷりというか。
もう、その全てが愛おしい。
「……わかった! 覚悟しとく」
今度は俺から彼の額にキスし、微笑んだ。
「月仁。これからも、末永く宜しく」
「あぁ。愛してるよ、深白」
まだまだ明日の景色も見えてない。
でも俺達の想いは、長い年月をかけて成長した。誰にも打ち明けないまま、暗い土の中に埋めていたけど……少しのきっかけで芽を出し、光を浴び、花を咲かせる。
きっと皆そうなんだ。ほんのちょっとの我儘と、勇気があれば。
これから先も甘やかしてきそうな、大事な恋人。倒れることも構わず、最大限の力で抱き着いた。
1
あなたにおすすめの小説
もしも願いが叶うなら、あの頃にかえりたい
マカリ
BL
幼馴染だった親友が、突然『サヨナラ』も言わずに、引っ越してしまった高校三年の夏。
しばらく、落ち込んでいたが、大学受験の忙しさが気を紛らわせ、いつの間にか『過去』の事になっていた。
社会人になり、そんなことがあったのも忘れていた、ある日の事。
新しい取引先の担当者が、偶然にもその幼馴染で……
あの夏の日々が蘇る。
失恋したのに離してくれないから友達卒業式をすることになった人たちの話
雷尾
BL
攻のトラウマ描写あります。高校生たちのお話。
主人公(受)
園山 翔(そのやまかける)
攻
城島 涼(きじまりょう)
攻の恋人
高梨 詩(たかなしうた)
笑って下さい、シンデレラ
椿
BL
付き合った人と決まって12日で別れるという噂がある高嶺の花系ツンデレ攻め×昔から攻めの事が大好きでやっと付き合えたものの、それ故に空回って攻めの地雷を踏みぬきまくり結果的にクズな行動をする受け。
面倒くさい攻めと面倒くさい受けが噛み合わずに面倒くさいことになってる話。
ツンデレは振り回されるべき。
だって、君は210日のポラリス
大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺
モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。
一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、
突然人生の岐路に立たされた。
――立春から210日、夏休みの終わる頃。
それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて――
📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。
エピローグまで公開いたしました。14,000字程度になりました。読み切りの形のときより短くなりました……1000文字ぐらい書き足したのになぁ。
【完結】大学で再会した幼馴染(初恋相手)に恋人のふりをしてほしいと頼まれた件について
kouta
BL
大学で再会した幼馴染から『ストーカーに悩まされている。半年間だけ恋人のふりをしてほしい』と頼まれた夏樹。『焼き肉奢ってくれるなら』と承諾したものの次第に意識してしまうようになって……
※ムーンライトノベルズでも投稿しています
楽な片恋
藍川 東
BL
蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。
ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。
それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……
早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。
ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。
平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。
高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。
優一朗のひとことさえなければ…………
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる