アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ

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第2章

3話目

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私は直ぐに長さんの治療をする事にした。
『ゆっくりした後で良い』と、言われたが転移したら大変なので、『今からする』と、言ったのだ。

「長さん、治療の為に体に触っても良いですか?」

《あぁ、好きにしておくれ》

許可が出たので、その大きな体に手を当てる。長さんの体は滑らかな鱗に覆われており、固いがなんとなく柔らかみも有る不思議な感覚がした。
≪スキャン≫
私は魔法を使って、長さんの体の中を診ていく。
有った!右側下葉に腫瘍だ、かなり大きいなぁ。

「右側の肺にある腫瘍から対処しますね」

さて、腫瘍と言っても種類がある。扁平上皮癌、腺癌、微細胞癌等の種類別で転移する方法や率も違う、この世界では調べる機械も無いし、どうするか・・・。
まぁ~、取り除いてしまうのは変わらないから取ってしまおう!
絶対に治してあげたい。
私はその一念で魔力を練り上げる。
悪性腫瘍に侵された肺胞部分を特定し、周囲から隔絶される様にイメージを固める、そして切除するが出血に注意しなければ、切除後にすぐ再生をして肺にたまった血液も除こう。

≪アビレーション≫

《ウッグッ!》

長さんが小さな苦痛を現す。
ごめんなさい、直ぐに楽になるのでちょっとだけ我慢して下さい。

そして、≪リノベーション≫ 再生をうながす。
正常な肺胞を取り戻していく。

スキャンを併用しながら腫瘍のみを切除して、再生を行う。
切除した腫瘍は大きな入れ物の中に漏れ出た血液と共に転移させる。赤黒くて不気味な物体が出て来たので皆が驚いていた。
まだ肝臓の方が残っている。
こちらの方が肺より厄介だ。より慎重さが要求される。
なんと言っても肝臓は血液の含有量が多い。
失敗は許されない、でも大丈夫だ、私ならやれる!
肝臓の方も同様に腫瘍部分を特定してから切除後に再生を行って、転移細胞が無いか再度診て診てまわる。
ドラゴンにあるかは不明だが、リンパ節に転移して、全身転移する可能性も有るからしっかりと確認を行う必要がある。
リンパ節への転移が見当たらなかったので、運が良いのだろう。それか、ドラゴンには当てはまらないのかもしれない。
額に汗をかきながら、長さんの体を隅々まで診ていくと、私の魔力の半分まで使用したのが解った。地味に体がだるい。

「ふぅ~。取り合えず悪い物は取り除きました。もしかしたら、また出来るかも知れませんが、その時はまた呼んで下さい。直ぐに治しますから」

体はしんどいが達成感に道溢れる。

《ありがとう。アヤノ殿、胸が苦しくて辛かったが、今は昔の様に楽になった。体のだるさはまだあるが、次期に回復するであろう。まさか、人の子に助けられるとは思わなんだ・・・・。かなりの魔力を使用したのぅ・・・。しばし、ゆるりと休むが良い》

長さんが少しでも楽になったなら良かった。
ドラゴンだし、直ぐに回復するよね!
私もちょっと疲れたから休ませてもらおう・・・。
この程度できつくなるなんて、だらしないなぁ。
もう少しレベルを上げる必要があるね。今度レベル上げの為に魔境かダンジョンに行こう!

アヤノは知らなかった、この世界の最高峰のエンシェントドラゴンに魔力を効かせられる存在は今までいなかった事を。
もちろん、エンシェントドラゴンがアヤノの負担を減らせる様に魔力抵抗を弱めていたが、それでも今までにいない存在である。
長はもちろんの事、立ち会ったウォルフやエシャントも驚きを隠せず動揺していた。

ウォルフは神≪セラール≫よりアヤノの事を教えてもらっているからすぐに立ち直っていた。
〔我主ならば可能か、しかし、奇跡ともいえる瞬間に立ち会う事になったな。まさか、このような力が有ったとは、知られると主を狙う物共が増える、これからも気合いを入れて守らねば!〕
アヤノの気付かない内に、ウォルフの忠誠心がうなぎ登りに上昇していた。

エシャントは自分も助けてもらったとはいえアヤノの力に感動し、また長を助けてもらった事に感謝してうち震えていた。

「長さん、私もちょっと疲れたから休ませて頂こうと思います。それで、お願いが有るのですが、私の家をちょっとだけ里に出させて下さい。もちろん、里を出るときには持って行きますから、ダメですか?」

ちょっとだけ失礼かもしれないが、やっぱり休むなら自分の家が良い。

《なんと!家を持ち歩いておるのか?里は広い、どこでも家を出すが良い。エシャント里の皆にわらわの恩人で有り、客の家だと皆に知らせておけ》

「承知致しました」

「お心遣いありがとうございます。では、一度おいとまします。また、後程お会いして下さい、実はお土産を持って来ているので、一緒にお茶でも飲めたら良いなあと思っているのです」

まだお土産兼お礼のフルーツタルトを渡していない。

《あい、解った。お互いに落ち着いたらまた会おうではないか、楽しみにしておる。先ずはゆるりと休むが良い》

「はい、では失礼します!」

私は一度長さんの家を出て、近くに自分の家を出してウォルフと共に休む事にした。
チート能力が有るといっても、魔力の使いすぎはキツイ。
お風呂に入ってから休もう。

「ウォルフ、ごめんね。ちょっとだけ休むね。ウォルフは好きにしてて」

「我は大丈夫だ気にせずゆっくりと休め!」

「うん、ありがとう」

私は一人ベッドに横になり休む事にした。





※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



かなりの難産でした。
ドラゴンの長さんの治療をどう現すかを悩みまくりました。


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