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第2章
閑話
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王城に戻った宰相様、兄で有る国王陛下と久しぶりに会う。
執務室の机の上は、膨大な書類の山が築かれていた。
先ずは、書類仕事を片付けてしまおうと、挨拶もそこそこに、仕事をはじめる。
どのくらいの時間が過ぎたのか?二人とも食事をすることは無く、ひたすらペンを走らせる。
話し声は一切無く、阿吽の呼吸とはこの事か!と、周囲でフォローする人達は感心して、見つめていた。
書類の山がどんどん無くなっていき、お互いの顔も見えて来て、終わりも見えてきた頃、手でつまめる簡単な食事が双方に置かれた。
黙々とペンを走らせながら、時に食べ物を摘み入れていく。
辺りが薄暗く成り、暗闇となった頃。
「「終わったぞ!!」」
ほぼ同時にペンが置かれた。
「これでゆっくりと話が出来る。
さあ、アルド詳しく話してくれ、どうだったのか?」
兄で有る国王陛下の目の下は隈が出来ており、目はギラギラとしている。
知らない人が見たら間違いなく悲鳴を上げるだろう。怪しさ満点だ!
それもそのはず、弟からの連絡を受けながら、通常業務に宰相の手助け無く加えられていくものまでこなし、馬鹿の関係者達を容赦なく粛清し、ほぼ不眠不休で働いていたのだ!
弟が『鬼畜宰相』ならば、その兄で有る国王陛下は『冷酷なる粛清王』・・・。
挙げられる報告に、『考えるのも馬鹿らしい』と、どんどん極刑にしていく国王陛下、指示を受ける部下の背中に何度冷や汗が流れた事か!
『この国に馬鹿はいらない』と、笑う顔は見た者の背筋が凍るとの噂が広がった程だ。
「陛下・・・。いや、兄上、少しお休み下さい。
人外の人相になっておりますよ・・・。
話す時間はこれからたくさん有ります。
ドラゴン達との和解は出来ました。
これで民も安心して暮らしていけます。
ゆっくりお休みになった後、お話いたしましょう。
私は兄上のお体が心配です。
私がお側を離れた間、かなり無理をされたはず・・・。
私が戻って来たのですから、安心してお休みになって下さい」
兄を労る弟の言葉に、感動の涙を流す兄!
周りにいる者達の涙を誘う・・・。
「そうだな、お前の言う通りだ、先ずは、休もう」
そう言って陛下は執務室奥の仮眠部屋に消えていく。
そんな兄の後ろ姿を安堵の表情で見守る弟。
こっそりと残りの仕事を片付けてしまおうと、周りにいる従者達に目配せする。
眠れない宰相様の夜がふけていく・・・・。
その後、しっかりと休んだ陛下と、アヤノとのやり取りを話していく宰相様は、頬を赤らめながらアヤノの素晴しさを語り、ドラゴンとの和解成功の達成感に道溢れ、これから約束した事を果たそうと、ヤル気に満ちて燃えていた。
そんな弟を微笑ましく見つめながら、自ら『負けられん』と謎のヤル気を見せていた兄がいた。
この二人によって、この国は『良識を持たないと貴族ではない』という信条の国と、生まれ変わった。
仲良し兄弟の合言葉は『クズはいらん』だったとか・・・。
めでたし、めでたし。
―・―・―・―・―・―・―
そして、国や、国民からの信頼を失ってしまった神殿の関係者達は。
寄付もお布施も集まる事は無く。
非難を浴びつつ、今まで貯めていた物を切り崩しながらの生活を余儀なくされていた。
町を歩けばこれ見よがしに罵倒される。
魔物に襲われて家族を失った者達はあからさまに『お前達のせいだ』と、憎しみを込めてにらみつけていた。
その中で、回復術が使える者は、積極的に町へ出て行き『贖罪』だと、怪我をした人達を癒していった。
『知らなかった』とはいえ、『止める事も出来なかった』事が『罪だ』と・・・。
魔物と戦い傷付く人達を、魔力切れギリギリまで癒していった。
そんな姿を見ていた人々の心にも変化が起こるのは当然だろう。
しかも、事の詳細が次々と、知らされるので有る。
悪いのは神官だけではなく、商人や貴族も絡んでいた事。
宰相様は、実に正確な情報を、国民に知らせていったのだ。
アヤノが『知らないのは罪だ』と、言った言葉の意味を正確に読み取り、自らも、『知らない』せいで今回の事件が起こった事を反省した為だ。
『正確な情報の伝達の必要性』を、十分理解した宰相様は、兄で有る国王陛下と共に、『字が読めない者も解るように』と、何度もおふれの読み聞かせを、各領主や村長達にさせたのだ。
もちろん、暗部の者に確認をさせる徹底さで・・・。
行わない者は容赦なく粛清された。
そのお陰で、以前程ではないが、神殿に祈りを捧げる人達が訪れる様になった。
それを確認していた神の≪セラール≫は、安堵の息をついたとか、つかないとか・・・。
「良かったよぉ~。何とか収まって・・・。
やっぱり、アヤノさんにもいっぱい迷惑をかけてしまった・・・。
今度お話出来た時は、何が必要か聴いてみよう!
お詫びと、お礼に何かしないとね!」
有る意味、ルンルンな神の姿が有ったとさ♪
執務室の机の上は、膨大な書類の山が築かれていた。
先ずは、書類仕事を片付けてしまおうと、挨拶もそこそこに、仕事をはじめる。
どのくらいの時間が過ぎたのか?二人とも食事をすることは無く、ひたすらペンを走らせる。
話し声は一切無く、阿吽の呼吸とはこの事か!と、周囲でフォローする人達は感心して、見つめていた。
書類の山がどんどん無くなっていき、お互いの顔も見えて来て、終わりも見えてきた頃、手でつまめる簡単な食事が双方に置かれた。
黙々とペンを走らせながら、時に食べ物を摘み入れていく。
辺りが薄暗く成り、暗闇となった頃。
「「終わったぞ!!」」
ほぼ同時にペンが置かれた。
「これでゆっくりと話が出来る。
さあ、アルド詳しく話してくれ、どうだったのか?」
兄で有る国王陛下の目の下は隈が出来ており、目はギラギラとしている。
知らない人が見たら間違いなく悲鳴を上げるだろう。怪しさ満点だ!
それもそのはず、弟からの連絡を受けながら、通常業務に宰相の手助け無く加えられていくものまでこなし、馬鹿の関係者達を容赦なく粛清し、ほぼ不眠不休で働いていたのだ!
弟が『鬼畜宰相』ならば、その兄で有る国王陛下は『冷酷なる粛清王』・・・。
挙げられる報告に、『考えるのも馬鹿らしい』と、どんどん極刑にしていく国王陛下、指示を受ける部下の背中に何度冷や汗が流れた事か!
『この国に馬鹿はいらない』と、笑う顔は見た者の背筋が凍るとの噂が広がった程だ。
「陛下・・・。いや、兄上、少しお休み下さい。
人外の人相になっておりますよ・・・。
話す時間はこれからたくさん有ります。
ドラゴン達との和解は出来ました。
これで民も安心して暮らしていけます。
ゆっくりお休みになった後、お話いたしましょう。
私は兄上のお体が心配です。
私がお側を離れた間、かなり無理をされたはず・・・。
私が戻って来たのですから、安心してお休みになって下さい」
兄を労る弟の言葉に、感動の涙を流す兄!
周りにいる者達の涙を誘う・・・。
「そうだな、お前の言う通りだ、先ずは、休もう」
そう言って陛下は執務室奥の仮眠部屋に消えていく。
そんな兄の後ろ姿を安堵の表情で見守る弟。
こっそりと残りの仕事を片付けてしまおうと、周りにいる従者達に目配せする。
眠れない宰相様の夜がふけていく・・・・。
その後、しっかりと休んだ陛下と、アヤノとのやり取りを話していく宰相様は、頬を赤らめながらアヤノの素晴しさを語り、ドラゴンとの和解成功の達成感に道溢れ、これから約束した事を果たそうと、ヤル気に満ちて燃えていた。
そんな弟を微笑ましく見つめながら、自ら『負けられん』と謎のヤル気を見せていた兄がいた。
この二人によって、この国は『良識を持たないと貴族ではない』という信条の国と、生まれ変わった。
仲良し兄弟の合言葉は『クズはいらん』だったとか・・・。
めでたし、めでたし。
―・―・―・―・―・―・―
そして、国や、国民からの信頼を失ってしまった神殿の関係者達は。
寄付もお布施も集まる事は無く。
非難を浴びつつ、今まで貯めていた物を切り崩しながらの生活を余儀なくされていた。
町を歩けばこれ見よがしに罵倒される。
魔物に襲われて家族を失った者達はあからさまに『お前達のせいだ』と、憎しみを込めてにらみつけていた。
その中で、回復術が使える者は、積極的に町へ出て行き『贖罪』だと、怪我をした人達を癒していった。
『知らなかった』とはいえ、『止める事も出来なかった』事が『罪だ』と・・・。
魔物と戦い傷付く人達を、魔力切れギリギリまで癒していった。
そんな姿を見ていた人々の心にも変化が起こるのは当然だろう。
しかも、事の詳細が次々と、知らされるので有る。
悪いのは神官だけではなく、商人や貴族も絡んでいた事。
宰相様は、実に正確な情報を、国民に知らせていったのだ。
アヤノが『知らないのは罪だ』と、言った言葉の意味を正確に読み取り、自らも、『知らない』せいで今回の事件が起こった事を反省した為だ。
『正確な情報の伝達の必要性』を、十分理解した宰相様は、兄で有る国王陛下と共に、『字が読めない者も解るように』と、何度もおふれの読み聞かせを、各領主や村長達にさせたのだ。
もちろん、暗部の者に確認をさせる徹底さで・・・。
行わない者は容赦なく粛清された。
そのお陰で、以前程ではないが、神殿に祈りを捧げる人達が訪れる様になった。
それを確認していた神の≪セラール≫は、安堵の息をついたとか、つかないとか・・・。
「良かったよぉ~。何とか収まって・・・。
やっぱり、アヤノさんにもいっぱい迷惑をかけてしまった・・・。
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