アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ

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第3章

15話目

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まず治療師さん達には今いる患者さんの体力がもつように頑張ってもらった。
抗虫薬を作ってからでないと本格的な治療が行えない為に、時間かせぎをしてもらう事にしたのだ。
そして、治療院の魔力竈を使い大鍋でお湯を沸かしつつまた、魔虫草とヒール茸、虹彩花等の材料を刻んでいき鍋に投入し、どろどろになるまでかき混ぜなければ成らない、これがまた重労働で難しい。
地球のコンロと違いこの魔力竈は大きくて頼もしいのだが、使いなれない道具は大変扱いにくいし、火の調節も難しく焦げやすいので細心の注意が必要だ!
作業を進める私の額から玉の汗が流れ落ちていく。

「姉様、わたくしにもお手伝いをさせて下さいませ!
姉様が頑張っていらっしゃるのに、何も出来ないなんて嫌です。
わたくしにも出来る事は無いのですか?
姉様がおっしゃる通りに致しますので、わたくしにもご指示を下さいませ!」

今まで何も言わず私の周囲をうろうろしていたピュアちゃんが、真剣な表情で私の側で立っている。
確かにすることが何もなくて暇なんだろう。
何もなく待たせてしまうのも申し訳無いんだが・・・。

「ごめんね、突然こんな事になって、大変だから手伝いなんかしなくて良いから、ウォルフと一緒にどこかで遊んでても良いんだよ?
これは私の我が儘みたいなものなんだから」

私がしたくてはじめた事だから、巻き込んでしまうのは申し訳無いもんね。
終わるまで好きにしていてくれて良いんだし、見に行きたい所が有れば行って来てくれた良いんだから。

「大変でも構いませんわ!
わたくしは遊ぶのではなくて、姉様のお側でお手伝いをしたいのです。
ですから、わたくしにも何か出来る事をさせて下さいませ!
お願いいたします」

「主よ、やりたいと言うのだ、出来る事が有るならば何かさせてやってはどうだ?
ちなみに、我も何かあればやるぞ!
主を守るのが我の使命だが、今は敵もおらん事だしな」

まさかのウォルフまで参戦ですか・・・。
二人とも遊んでくれてて良かったのですが、ここはこれから戦場になる予定なので、きっとつらい思いをする事になるし、気持ち悪い思いもする。
おままごと遊びでは無いし、人の命がかかっている事出し、生半可な気持ちでは困る。
しかし、二人とも目は真剣だと訴えているんだよね。
ならば、覚悟を問いますか!

「二人とも、これは遊びではないし、人の命がかかっているんだよ。
大変な事や辛い事なんかも見なきゃいけないかもしれない・・・。
それに、私は自分からやると言ってはじめた事で泣き事は聞かないよ。
人の命がかかっているので、中途半端も許さない。
それでも良いの?」

「「もちろんだ(です)」」

覚悟は本物みたいだね・・・。
治療師の方達の迷惑に成らないようにしないと、それに、依怙贔屓と言われるのはお互いが嫌な思いをする事を知っているので、私は他人の中で身内に甘い顔は出来ない。
だが『大変だけど手伝いたい』という気持ちは正直言ってうれしい。
全てが終わったら最大の感謝を込めて、思いっきり可愛がろう♪

「その覚悟があるならば、手伝って下さい。
大変だけど、とても大事な作業なのでウォルフとピュアでこの抗虫薬を完成させて下さい。
絶対に慌てない事、急がない事、焦がさない事、一定のリズムでかき混ぜながら、どろどろになるまで続けてから火を止めて、さらにかき混ぜながらゆっくりと冷やしていって下さい。
失敗は出来ませんから、気をつけて下さいね」」

「解りましたわ、おまかせ下さいませ」
「ウム、了解した」
「さあ、ウォル兄頑張りましょう!」

ピュアちゃんは笑顔でかき混ぜ棒をゆっくりと動かしはじめた。

「ではベリンダさん、ここは二人に任せて私達は患者さんの処置に行きましょう」

「大丈夫でしょうか?」ベリンダさんに不安そうな表情で問われる。

「大丈夫ですよ、あれで二人ともなかなか器用なんです」

お菓子作りも、お料理も一緒にしてきたから解る!
私にとってはこれからが大変なのだ。
私と同じ事が出来る人はいない。
理由を説明したくても、死体を解剖させてはくれないだろう。
ならば、説明だけでは理解する事は難しい・・・。
どうしたものか、悩み所だ。
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