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282 ペット・ロスト・パフェ
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出て行ったユリヲを傍目に、ガルドは田岡への伝達依頼を続けた。
「AJ、えー、じぇー……ゼロ、イチ……田岡の顔のスクショ、BJ、ゼロ、イチ……自分のスクショ……」
知っている何もかもを伝えるため、石板型のバフアイテムを手あたり次第に地面に並べ、合間合間にスタンプやスクリーンショットで撮影したアバターの顔を送信する。外から見てもわけがわからない雑多な行為の羅列だが、田岡が応対するようにつぶやくような「ぜーろ、いちー、おお、餅君かね! うんうん!」という発音にさえなればよかった。
外で田岡の言葉を受け取っている誰かに伝わればいい。聞いた話では父だというではないか。ガルドは「みずき」らしい身内の気楽さで、絶対的な信頼を口にする。
「よろしく」
うまくやってほしいと願う。今がチャンスなのだ。ガルドたちBJグループの身体がAらコンタクターと離れている、今。オーナー・タツタがカナダに出向いて忙しくしている、今。何もわかっていない様子の叶野がリーダーを代行している、今。イーライが沖合に引っ込んで出遅れている、今。いろいろなタイミングが合わさった今だけがチャンスなのだ。
しばらくの間、ガルドが長い間一人で抱えてきた情報の数々を単語単位で田岡に話させ続けた。全部が伝わるとは思えないクオリティだが、ガルドは父を信じていた。ぷっとんや三橋が信じるディンクロンのことも、珍しく回りと協調して動いているらしい自身の元ネットストーカー・阿国のことさえも信じていた。信じて、迷惑をかけてしまうとしても「託して頼ろう」と思っている。
どれもこれもすべて榎本のおかげだ。自力では下せなかった肩の荷が降りていっている自覚がある。ユリヲの帰りを待つ榎本は、ガルド同様一秒でも惜しいといった様子で田岡に頼むメッセージを編んでいた。ドアに近い床へ座り込み、別の石版を並び替えながら、叶野が言っていた情報や「オーナー」のことを文字として組み立てている。
「ん」
見下ろすことで伏し目がちに見えるまつ毛が動くさまを、ガルドはしばし見た。見慣れたアバターの、何の変哲もないポリゴン仕立てのアバターだ。しかし叶野や研究者たちがいる南国の地下や、寂れた軍事の名残がある島の岸、横たわっているだろう生身の榎本の横顔が脳裏をよぎるたびに、アバターの榎本の輪郭がぼけて見えた。
熱い体温と、がっしりとした腕の強さを思い出す。
「おうおうお? うん、うん、んー?」
ガルドが無言のままリアル側に思いをはせていると、田岡があからさまにそわそわとし始めた。集中力が切れ、意識を部屋の外に向けている。「田岡?」
「お、んんん……んも?」
「ん? どうした?」
普段から変わった声を出すため、ガルドは田岡の様子を「気もそぞろ」だと解釈していた。だが榎本が顔を上げ、田岡の様子を気にして声をかける。
「もぐむぐ」
「……少し焦ってやりすぎたか? なんか変だぞ」
「変?」
「いや、普段から独り言は多いやつだが、もっと意味のある単語使うだろ」
「……ん」
そうだろうか、とガルドは首を傾げた。並べたバフ石板を蹴り飛ばさないよう慎重に立ち上がった榎本が、同時に開いた部屋のドアと侵入者に思い切り押された。
「ぐおっ!?」
ドアのオブジェクトは透過したが、ユーザーは基本すり抜けない。背中から押された形の榎本が前へとつんのめり、せっかく並べた石板の列へと一歩踏み出してしまった。
「あ」
パキンと音を立て、バフが発動する。
「わあっ、榎本! 起きた!?」
夜叉彦の声だ。赤いつむじ風のような攻撃力強化のエフェクトをまといながら、これ以上踏まないよう気を遣いつつ榎本がゆっくりと振り返る。
「……おう」
「ガルドは!? ガルド!」
ドア前に立つ榎本を押しのけて、着物風の剣士系防具を着た夜叉彦が顔を出した。肩から背中側へ、白くふわふわとした装飾追加装備を二枚重ね着している。
「あ~ガルド~! よかった~!」
「おはよう」
「ソロのみんなに神輿みたいに担がれて来たんだよ? びっくりしたよーもー」
「おい待て、なんだそれ」
「途中山道は蹴って転がしたって言ってたけど」
「おいおい、おいおいおい!」
なにか聞き捨てならないことを夜叉彦が言っているが、そのままガルドは夜叉彦からの「ハグモーション」を受け入れた。
ぎゅっと抱きしめられる。
アバターの動きをある程度ルール化したパッケージにしたものの中のハグを使うと、される側のアバターボディがガクガクと接触でぶれることなくきれいにハグができる。ガルドは基本使わなかったが、男女問わずよく仲間からされることはあった。
抱きしめられ、組まれたとおりに自動で離れていく夜叉彦の顔や体の部分が見える。
「みんな集まってから報告聞こうかな。何があって、これからどうなるのか」
「あいつらは?」
「みんな城下町の中には居るから、そのうち来るはず。俺が一番近かったんだよねー、キッチンにいたから」
「なんか作ってたのか? 持ってきてくれよ」
「今日はパフェ作ってたんだけど……多分階段で落とすと思う」
「そりゃあやめておいたほうがいいな!」
ガルドの次に榎本へハグしようとし、夜叉彦は足元の石板バフアイテムを何枚か踏んだ。その内二枚を完全に割ったらしく、夜叉彦の身体にシュンシュンと二回、高起動と軽量化のバフが発動した。
「うわっ、え? なんだ? なんか軽くなったんだけど」
「おおーっ! 起きたかー!」
「うわ! 押すなよ!」
「ん? なんだ、どうした」
「マグナっ、おい止まれ! ジャスを止めろ!」
「榎本お前……寝起きで荷物整理か? 整理整頓は良いことだが」
「ほめながら容赦なく踏むんじゃねぇよ! ワザとだろ! おいそこ割るな!」
「ねぇー! 奥まで入って! 邪魔ぁー!」
「どうぞ」
「わぁー榎本~ガルド~! おはよう~っ、と、っと! え、なんでチップ敷いてるの」
「お前らメロを見習えよ! 特にマグナ!」
「なぜだろうなぁ。おっと、足が長いせいで遠くまで」
「マぁグナーっ!」
バリンバリンと音がいくつも重なっている。廊下から順にジャスティン、マグナ、メロが部屋へと入ってきたが、バフの石板を割らなかったのはメロだけだ。夜叉彦は嬉しそうに軽量化された身体でジャンプし被害を逆に広げている。ジャスティンは足元を無視してガルドに寄り、嬉しそうに「がっはっは!」と笑った。
「ジャス」
「なにがともあれ、よかったよかった! よしよし、ミッションコンプリートだな!」
「そうだな。あれが見送りに来ていたソロ全員だと思われる。誰にも知られていないようなソロプレイヤーがいれば話は別だが」
「さすがにそんなレアケースないって」
ガルドはすっかり失念していたが、そもそもガルドと榎本はソロプレイヤーの捜索人mに出ていたのだ。
「……あれで全員?」
「ああ、全員だ」
下半身がスカートのようになっているロボット風装備を着ているマグナが、ニコニコと機嫌よく言った。出立前はピリピリとしていてストレスが溜まっているように見えたのだが、どうやらログアウトしている間に随分と解消されたらしい。
「座ろう、ガルド。榎本、それ片づけて」
「田岡に外との連絡とってもらってたとこなんだよ」
「なるほど、チャット機能をわざと避けているのか。ログを残してはマズいということか?」
「えっ、あ、本題入っちゃう!? まってちょっと今ユリヲにパフェ持ってきてもらうよう頼んだんだけと!」
「……夜叉彦、これから真面目な話をするところなんだが」
「だってさぁ、鈴音のみんなと作ったんだよ? おいしそうにできたからさ」
「パフェ食べたーい! メロンパフェがいい!」
メロが便乗して騒いだ。見慣れたエキゾチックなターバンが揺れるが、中は目新しい白と黄色と緑のマーブルカラーに染まったミディアムヘアだ。ヘアスタイルやヒゲを調整する唯一の施設・ミン神殿へ一度出向いたのだろう。ガルドはこっそりとアゴをさする。そろそろ無精髭も飽きてきたところだ。
「やれやれ、ホントしまらねぇな」
「普段のウチらっぽくていいじゃん」
「……なんかどっと疲れたぞ、俺は」
「寝てたのに?」
「……それを話そうと思ってんだよ。はぁ……」
榎本はがっくりとため息をついて、石板バフを拾い集めてからベッドへと戻っていった。
言われてみれば、ガルドもほとんど寝ていない。コンテナに閉じ込められていたころ少し仮眠をとったくらいだ。
「ふわ……」
緊張感が完全に抜けてきたらしく、急いで外へ情報を流すべきだと思いつつもやる気が起きなかった。ユリヲが持ってきてくれたパフェにも手がつかない。
「で、寝てたお二人が起きて早々呼び出すって……」
「分かんだろ? 寝てないの!」
含みを持たせた言い方で、ベッドに寝転んだまま榎本が四人に言う。緊張感のある内容になるはずだが、マグナを含めた四人全員がけろっとしていた。
「うん」
「あー、あれだな? あれだ。うん」
「あれとかそれとか分かってないの代名詞じゃん、ジャス」
「そういう夜叉彦はどうだ」
「なんとなく、かなぁ。えへ」
「適当だなぁーもー」
「メロ、サクランボの種ならデコビンで消し炭にできるぞ」
「えーほんとう? えいっ! うわっ、塵になった!」
「床に落とすとオブジェクトとして残るのにね」
「ダメージ判定と落下でのダメージ判定が別なんだろ。で、後者が完全無効扱い……いや、まず人の話聞く体勢とれって。シリアスなんだよ、分かれよ」
「ログアウトしていました、とかか?」
「あーもーそうだよ! 当たり!」
榎本がしびれを切らして叫ぶが、田岡を含め全員が「へぇそうなのか」という反応だ。
「そっかぁ」
「なんかもっとないのかよ! ユリヲの反応見習え!」
「ユリヲ? なんかバッタバタ身振り手振り大騒ぎだったけどさ、騒ぎすぎだよ」
「外だぞ!? 知りたいとかないのか、お前ら!」
「だってなぁお前、こうして帰ってきたじゃないか」
ジャスティンが笑っている。榎本は毒気を抜かれたような顔で一瞬笑い、枕に顔をのせた。ガルドはメンバーのカラリとした反応に面くらいながら、言われてみれば結果として牢獄のような「ここ」に帰ってきている状況を実感した。
「外に出ても自由ってわけじゃないし、この中のほうがよっぽど自由だったんじゃないの?」
「よく分かってるじゃねぇか、メロ」
「想像つく」
「でも、マグナ」
ガルドは床に座った田岡の隣に胡坐をかいて座り、首をかしげる。
「どうした、ガルド」
「外で何があったのかとか、気には?」
「気にならないといえばウソになるが、俺たちだけ、そうした情報のアドバンテージがあるのは『アイツら』に悪いからな。お前たちの口から伝え聞くタイミングは、今でなくても構わない」
「ウッ」
ガルドは胸が痛くなった。
心臓の上を両手でおさえる。久しぶりの屈強な筋肉男アバターだったが、胸の位置はみずきだったころと同じかそれ以上の高さにあった。
「え? え?」
「ガルド?」
「……あー、今の言葉はガルドに刺さるぞ、マグナ。気をつけろ」
「なっ、え!? す、すまん、ガルド」
「いい……自分が悪かった……」
「あーあー、そんなにへこむなよ、ガルド。大丈夫、お前は立派に秘密を守ってたって。へへっ」
「言い方がむかつく」
「慰めてやってるってのにお前なぁー!」
榎本が起き上がってガルドに反論しようとするが、間を割るように夜叉彦が高速移動してきた。
「まぁまぁ。ガルド、よく分からないけど頑張ってたんだね。お疲れさま」
「ありがと」
「榎本も、眠いとこ悪いけどもうちょっと頑張って起きてて」
「おう……限界超えるなんざ余裕だぜ」
「小学生みたいな発言……」
「IQ下がりまくってるなぁ!」
ジャスティンに茶化された榎本が眠そうに「ううん」と唸る。寝落ちという限界が来る前に、大事なことだけ共有すべきだとガルドは仲間へ向き直った。
話のきっかけに、重要な「接続点」から切り出すのがいいだろう。ガルドは仲間たちの傍にいるだろう動物のシルエットを探し、ふと気づく。
「……ペットは?」
「ああ、それなんだが...」
マグナが真面目な顔で、ある一枚のスクリーンショットを送信してきた。
<【緊急メンテ】ペット に 関する 全ての関連 画面 を 除去 しました>
「詫びに金と宝飾が配られたぞ」
「な、なにいっ!?」
「え」
榎本が飛び起き、ガルドも慌てて自分のアイテム欄を開く。確かに受け取り前の上等な宝飾アイテムが数個残っており、コメント欄には「メンテナンスに伴うお詫び」と書かれてある。
「ガルドたちがすやすや寝てる間にね、ペットみんなが急にラグったんだよ。もうカクカクなんてもんじゃないの。停止だね、あれは」
「一斉に?」
「ばらばらとだね。ガルドにくっついてた鳥は早かったわ。あと鈴音とヴァーツの一部俊秀なメンバーがペットの取得早くてさぁ。地下迷宮突破して馬とかもいたんだけど、みんなラグったのちにフリーズして、一気に全滅」
「消えたってことか?」
「そう。いなくなっちゃった」
「除去、消去というような形だったな。ログアウトとも違う、ラグからの強制的な除去だった」
「メロの落ち込みようったらなかったぞ」
「言わないでよ~。まだショックなんだけど」
「ね。もっとちゃんとお別れできるとよかったのに」
夜叉彦がメロを慰めている。
「ラスアルちゃん、かわいがってたのにさぁ……」
「その、なんだ。ドンマイ」
「榎本だってドラゴンいなくなってさみしくないの!?」
「……えーっと」
榎本は苦い顔をしている。ミッドウェー島で拘束されていた際、ざっくりと説明したがペットAIの中に外部との接続点——監視者を兼ねる支援担当が入っていた、とは伝えてある。
詳しくは言わなかったが、榎本の中では「インフェルノは犯人」と解釈されているらしい。
ガルドも同感する部分はある。
「いなくなってせいせい」
「ガルド、カモよりペンギンが好きだって言ってたもんね……」
「次に本実装されたときにはしっかり要望を打ち込むんだぞ、ガルド。どんなペンギンがいい? フンボルトか? キングか?」
「ぬるま湯みたいなやつだから、多分池袋のペンギン」
「ぬるま湯?」
「耳障りの良いことしか言わない奴だった。今はハワイの研究施設を頑丈に作り直すため、完全にログアウトしてる」
「えっ」
ガルドが具体的な地名と行動を口にした瞬間、バッと全員が勢いよくガルドの顔を見た。榎本と田岡だけは眠そうにあくびをしている。
「メロのやつ以外、すごく性能のいいAIか……人間か……とりあえず、リアルタイムで操作されてた」
「え、ええー……」
「ガルド、それは本当か!」
マグナがにわかに大声を上げた。うっつらうっつらと舟をこいでいた榎本と田岡がびくりと肩を震わせ、また眠そうに目を細める。
「本当」
「俺のピートはAIか!?」
「人間」
「な、なにぃーっ!?」
「ガルド、俺のは!?」
「夜叉彦の? 人間」
「や、やぱ! 独り言メッチャ話しかけちゃったよ! うわー恥ずかしい!」
「え、なんでウチ以外って断定なの……確かにラスアルちゃんはかなりロボットじみた感じのオウムだったけどさぁ」
「実装間に合わなかったって言ってた」
「しっかりしろよGM~!」
「ガルド、俺は!? ハリネズミだが、だいぶ物静かな性格だったぞ!」
「ジャス」
話の本題、ジャスティンの担当・叶野について話そうとガルドは真面目な顔をした。
「な、なんだ……どうした?」
「カノの中身は、ジャス……彼は日本人だ」
「え」
「そうなんだよ。叶野ってやつだよ。関西人の男。俺も会った」
「ええっ」
「半分味方。同じように拉致られて、自分たちを人質に働かされてる」
ガルドが端的に説明すると、田岡まで含めた全員が顔を青くした。
「は、はたらかされ……」
「ううっ、きっと一日一食とかで、背中にバンバン鞭打たれながらとかじゃない?」
「なんと! 許せんな、アイツら!?」
ガルドが思った以上に、仲間たちの脳内に広がる光景はバイオレンスだった。
「AJ、えー、じぇー……ゼロ、イチ……田岡の顔のスクショ、BJ、ゼロ、イチ……自分のスクショ……」
知っている何もかもを伝えるため、石板型のバフアイテムを手あたり次第に地面に並べ、合間合間にスタンプやスクリーンショットで撮影したアバターの顔を送信する。外から見てもわけがわからない雑多な行為の羅列だが、田岡が応対するようにつぶやくような「ぜーろ、いちー、おお、餅君かね! うんうん!」という発音にさえなればよかった。
外で田岡の言葉を受け取っている誰かに伝わればいい。聞いた話では父だというではないか。ガルドは「みずき」らしい身内の気楽さで、絶対的な信頼を口にする。
「よろしく」
うまくやってほしいと願う。今がチャンスなのだ。ガルドたちBJグループの身体がAらコンタクターと離れている、今。オーナー・タツタがカナダに出向いて忙しくしている、今。何もわかっていない様子の叶野がリーダーを代行している、今。イーライが沖合に引っ込んで出遅れている、今。いろいろなタイミングが合わさった今だけがチャンスなのだ。
しばらくの間、ガルドが長い間一人で抱えてきた情報の数々を単語単位で田岡に話させ続けた。全部が伝わるとは思えないクオリティだが、ガルドは父を信じていた。ぷっとんや三橋が信じるディンクロンのことも、珍しく回りと協調して動いているらしい自身の元ネットストーカー・阿国のことさえも信じていた。信じて、迷惑をかけてしまうとしても「託して頼ろう」と思っている。
どれもこれもすべて榎本のおかげだ。自力では下せなかった肩の荷が降りていっている自覚がある。ユリヲの帰りを待つ榎本は、ガルド同様一秒でも惜しいといった様子で田岡に頼むメッセージを編んでいた。ドアに近い床へ座り込み、別の石版を並び替えながら、叶野が言っていた情報や「オーナー」のことを文字として組み立てている。
「ん」
見下ろすことで伏し目がちに見えるまつ毛が動くさまを、ガルドはしばし見た。見慣れたアバターの、何の変哲もないポリゴン仕立てのアバターだ。しかし叶野や研究者たちがいる南国の地下や、寂れた軍事の名残がある島の岸、横たわっているだろう生身の榎本の横顔が脳裏をよぎるたびに、アバターの榎本の輪郭がぼけて見えた。
熱い体温と、がっしりとした腕の強さを思い出す。
「おうおうお? うん、うん、んー?」
ガルドが無言のままリアル側に思いをはせていると、田岡があからさまにそわそわとし始めた。集中力が切れ、意識を部屋の外に向けている。「田岡?」
「お、んんん……んも?」
「ん? どうした?」
普段から変わった声を出すため、ガルドは田岡の様子を「気もそぞろ」だと解釈していた。だが榎本が顔を上げ、田岡の様子を気にして声をかける。
「もぐむぐ」
「……少し焦ってやりすぎたか? なんか変だぞ」
「変?」
「いや、普段から独り言は多いやつだが、もっと意味のある単語使うだろ」
「……ん」
そうだろうか、とガルドは首を傾げた。並べたバフ石板を蹴り飛ばさないよう慎重に立ち上がった榎本が、同時に開いた部屋のドアと侵入者に思い切り押された。
「ぐおっ!?」
ドアのオブジェクトは透過したが、ユーザーは基本すり抜けない。背中から押された形の榎本が前へとつんのめり、せっかく並べた石板の列へと一歩踏み出してしまった。
「あ」
パキンと音を立て、バフが発動する。
「わあっ、榎本! 起きた!?」
夜叉彦の声だ。赤いつむじ風のような攻撃力強化のエフェクトをまといながら、これ以上踏まないよう気を遣いつつ榎本がゆっくりと振り返る。
「……おう」
「ガルドは!? ガルド!」
ドア前に立つ榎本を押しのけて、着物風の剣士系防具を着た夜叉彦が顔を出した。肩から背中側へ、白くふわふわとした装飾追加装備を二枚重ね着している。
「あ~ガルド~! よかった~!」
「おはよう」
「ソロのみんなに神輿みたいに担がれて来たんだよ? びっくりしたよーもー」
「おい待て、なんだそれ」
「途中山道は蹴って転がしたって言ってたけど」
「おいおい、おいおいおい!」
なにか聞き捨てならないことを夜叉彦が言っているが、そのままガルドは夜叉彦からの「ハグモーション」を受け入れた。
ぎゅっと抱きしめられる。
アバターの動きをある程度ルール化したパッケージにしたものの中のハグを使うと、される側のアバターボディがガクガクと接触でぶれることなくきれいにハグができる。ガルドは基本使わなかったが、男女問わずよく仲間からされることはあった。
抱きしめられ、組まれたとおりに自動で離れていく夜叉彦の顔や体の部分が見える。
「みんな集まってから報告聞こうかな。何があって、これからどうなるのか」
「あいつらは?」
「みんな城下町の中には居るから、そのうち来るはず。俺が一番近かったんだよねー、キッチンにいたから」
「なんか作ってたのか? 持ってきてくれよ」
「今日はパフェ作ってたんだけど……多分階段で落とすと思う」
「そりゃあやめておいたほうがいいな!」
ガルドの次に榎本へハグしようとし、夜叉彦は足元の石板バフアイテムを何枚か踏んだ。その内二枚を完全に割ったらしく、夜叉彦の身体にシュンシュンと二回、高起動と軽量化のバフが発動した。
「うわっ、え? なんだ? なんか軽くなったんだけど」
「おおーっ! 起きたかー!」
「うわ! 押すなよ!」
「ん? なんだ、どうした」
「マグナっ、おい止まれ! ジャスを止めろ!」
「榎本お前……寝起きで荷物整理か? 整理整頓は良いことだが」
「ほめながら容赦なく踏むんじゃねぇよ! ワザとだろ! おいそこ割るな!」
「ねぇー! 奥まで入って! 邪魔ぁー!」
「どうぞ」
「わぁー榎本~ガルド~! おはよう~っ、と、っと! え、なんでチップ敷いてるの」
「お前らメロを見習えよ! 特にマグナ!」
「なぜだろうなぁ。おっと、足が長いせいで遠くまで」
「マぁグナーっ!」
バリンバリンと音がいくつも重なっている。廊下から順にジャスティン、マグナ、メロが部屋へと入ってきたが、バフの石板を割らなかったのはメロだけだ。夜叉彦は嬉しそうに軽量化された身体でジャンプし被害を逆に広げている。ジャスティンは足元を無視してガルドに寄り、嬉しそうに「がっはっは!」と笑った。
「ジャス」
「なにがともあれ、よかったよかった! よしよし、ミッションコンプリートだな!」
「そうだな。あれが見送りに来ていたソロ全員だと思われる。誰にも知られていないようなソロプレイヤーがいれば話は別だが」
「さすがにそんなレアケースないって」
ガルドはすっかり失念していたが、そもそもガルドと榎本はソロプレイヤーの捜索人mに出ていたのだ。
「……あれで全員?」
「ああ、全員だ」
下半身がスカートのようになっているロボット風装備を着ているマグナが、ニコニコと機嫌よく言った。出立前はピリピリとしていてストレスが溜まっているように見えたのだが、どうやらログアウトしている間に随分と解消されたらしい。
「座ろう、ガルド。榎本、それ片づけて」
「田岡に外との連絡とってもらってたとこなんだよ」
「なるほど、チャット機能をわざと避けているのか。ログを残してはマズいということか?」
「えっ、あ、本題入っちゃう!? まってちょっと今ユリヲにパフェ持ってきてもらうよう頼んだんだけと!」
「……夜叉彦、これから真面目な話をするところなんだが」
「だってさぁ、鈴音のみんなと作ったんだよ? おいしそうにできたからさ」
「パフェ食べたーい! メロンパフェがいい!」
メロが便乗して騒いだ。見慣れたエキゾチックなターバンが揺れるが、中は目新しい白と黄色と緑のマーブルカラーに染まったミディアムヘアだ。ヘアスタイルやヒゲを調整する唯一の施設・ミン神殿へ一度出向いたのだろう。ガルドはこっそりとアゴをさする。そろそろ無精髭も飽きてきたところだ。
「やれやれ、ホントしまらねぇな」
「普段のウチらっぽくていいじゃん」
「……なんかどっと疲れたぞ、俺は」
「寝てたのに?」
「……それを話そうと思ってんだよ。はぁ……」
榎本はがっくりとため息をついて、石板バフを拾い集めてからベッドへと戻っていった。
言われてみれば、ガルドもほとんど寝ていない。コンテナに閉じ込められていたころ少し仮眠をとったくらいだ。
「ふわ……」
緊張感が完全に抜けてきたらしく、急いで外へ情報を流すべきだと思いつつもやる気が起きなかった。ユリヲが持ってきてくれたパフェにも手がつかない。
「で、寝てたお二人が起きて早々呼び出すって……」
「分かんだろ? 寝てないの!」
含みを持たせた言い方で、ベッドに寝転んだまま榎本が四人に言う。緊張感のある内容になるはずだが、マグナを含めた四人全員がけろっとしていた。
「うん」
「あー、あれだな? あれだ。うん」
「あれとかそれとか分かってないの代名詞じゃん、ジャス」
「そういう夜叉彦はどうだ」
「なんとなく、かなぁ。えへ」
「適当だなぁーもー」
「メロ、サクランボの種ならデコビンで消し炭にできるぞ」
「えーほんとう? えいっ! うわっ、塵になった!」
「床に落とすとオブジェクトとして残るのにね」
「ダメージ判定と落下でのダメージ判定が別なんだろ。で、後者が完全無効扱い……いや、まず人の話聞く体勢とれって。シリアスなんだよ、分かれよ」
「ログアウトしていました、とかか?」
「あーもーそうだよ! 当たり!」
榎本がしびれを切らして叫ぶが、田岡を含め全員が「へぇそうなのか」という反応だ。
「そっかぁ」
「なんかもっとないのかよ! ユリヲの反応見習え!」
「ユリヲ? なんかバッタバタ身振り手振り大騒ぎだったけどさ、騒ぎすぎだよ」
「外だぞ!? 知りたいとかないのか、お前ら!」
「だってなぁお前、こうして帰ってきたじゃないか」
ジャスティンが笑っている。榎本は毒気を抜かれたような顔で一瞬笑い、枕に顔をのせた。ガルドはメンバーのカラリとした反応に面くらいながら、言われてみれば結果として牢獄のような「ここ」に帰ってきている状況を実感した。
「外に出ても自由ってわけじゃないし、この中のほうがよっぽど自由だったんじゃないの?」
「よく分かってるじゃねぇか、メロ」
「想像つく」
「でも、マグナ」
ガルドは床に座った田岡の隣に胡坐をかいて座り、首をかしげる。
「どうした、ガルド」
「外で何があったのかとか、気には?」
「気にならないといえばウソになるが、俺たちだけ、そうした情報のアドバンテージがあるのは『アイツら』に悪いからな。お前たちの口から伝え聞くタイミングは、今でなくても構わない」
「ウッ」
ガルドは胸が痛くなった。
心臓の上を両手でおさえる。久しぶりの屈強な筋肉男アバターだったが、胸の位置はみずきだったころと同じかそれ以上の高さにあった。
「え? え?」
「ガルド?」
「……あー、今の言葉はガルドに刺さるぞ、マグナ。気をつけろ」
「なっ、え!? す、すまん、ガルド」
「いい……自分が悪かった……」
「あーあー、そんなにへこむなよ、ガルド。大丈夫、お前は立派に秘密を守ってたって。へへっ」
「言い方がむかつく」
「慰めてやってるってのにお前なぁー!」
榎本が起き上がってガルドに反論しようとするが、間を割るように夜叉彦が高速移動してきた。
「まぁまぁ。ガルド、よく分からないけど頑張ってたんだね。お疲れさま」
「ありがと」
「榎本も、眠いとこ悪いけどもうちょっと頑張って起きてて」
「おう……限界超えるなんざ余裕だぜ」
「小学生みたいな発言……」
「IQ下がりまくってるなぁ!」
ジャスティンに茶化された榎本が眠そうに「ううん」と唸る。寝落ちという限界が来る前に、大事なことだけ共有すべきだとガルドは仲間へ向き直った。
話のきっかけに、重要な「接続点」から切り出すのがいいだろう。ガルドは仲間たちの傍にいるだろう動物のシルエットを探し、ふと気づく。
「……ペットは?」
「ああ、それなんだが...」
マグナが真面目な顔で、ある一枚のスクリーンショットを送信してきた。
<【緊急メンテ】ペット に 関する 全ての関連 画面 を 除去 しました>
「詫びに金と宝飾が配られたぞ」
「な、なにいっ!?」
「え」
榎本が飛び起き、ガルドも慌てて自分のアイテム欄を開く。確かに受け取り前の上等な宝飾アイテムが数個残っており、コメント欄には「メンテナンスに伴うお詫び」と書かれてある。
「ガルドたちがすやすや寝てる間にね、ペットみんなが急にラグったんだよ。もうカクカクなんてもんじゃないの。停止だね、あれは」
「一斉に?」
「ばらばらとだね。ガルドにくっついてた鳥は早かったわ。あと鈴音とヴァーツの一部俊秀なメンバーがペットの取得早くてさぁ。地下迷宮突破して馬とかもいたんだけど、みんなラグったのちにフリーズして、一気に全滅」
「消えたってことか?」
「そう。いなくなっちゃった」
「除去、消去というような形だったな。ログアウトとも違う、ラグからの強制的な除去だった」
「メロの落ち込みようったらなかったぞ」
「言わないでよ~。まだショックなんだけど」
「ね。もっとちゃんとお別れできるとよかったのに」
夜叉彦がメロを慰めている。
「ラスアルちゃん、かわいがってたのにさぁ……」
「その、なんだ。ドンマイ」
「榎本だってドラゴンいなくなってさみしくないの!?」
「……えーっと」
榎本は苦い顔をしている。ミッドウェー島で拘束されていた際、ざっくりと説明したがペットAIの中に外部との接続点——監視者を兼ねる支援担当が入っていた、とは伝えてある。
詳しくは言わなかったが、榎本の中では「インフェルノは犯人」と解釈されているらしい。
ガルドも同感する部分はある。
「いなくなってせいせい」
「ガルド、カモよりペンギンが好きだって言ってたもんね……」
「次に本実装されたときにはしっかり要望を打ち込むんだぞ、ガルド。どんなペンギンがいい? フンボルトか? キングか?」
「ぬるま湯みたいなやつだから、多分池袋のペンギン」
「ぬるま湯?」
「耳障りの良いことしか言わない奴だった。今はハワイの研究施設を頑丈に作り直すため、完全にログアウトしてる」
「えっ」
ガルドが具体的な地名と行動を口にした瞬間、バッと全員が勢いよくガルドの顔を見た。榎本と田岡だけは眠そうにあくびをしている。
「メロのやつ以外、すごく性能のいいAIか……人間か……とりあえず、リアルタイムで操作されてた」
「え、ええー……」
「ガルド、それは本当か!」
マグナがにわかに大声を上げた。うっつらうっつらと舟をこいでいた榎本と田岡がびくりと肩を震わせ、また眠そうに目を細める。
「本当」
「俺のピートはAIか!?」
「人間」
「な、なにぃーっ!?」
「ガルド、俺のは!?」
「夜叉彦の? 人間」
「や、やぱ! 独り言メッチャ話しかけちゃったよ! うわー恥ずかしい!」
「え、なんでウチ以外って断定なの……確かにラスアルちゃんはかなりロボットじみた感じのオウムだったけどさぁ」
「実装間に合わなかったって言ってた」
「しっかりしろよGM~!」
「ガルド、俺は!? ハリネズミだが、だいぶ物静かな性格だったぞ!」
「ジャス」
話の本題、ジャスティンの担当・叶野について話そうとガルドは真面目な顔をした。
「な、なんだ……どうした?」
「カノの中身は、ジャス……彼は日本人だ」
「え」
「そうなんだよ。叶野ってやつだよ。関西人の男。俺も会った」
「ええっ」
「半分味方。同じように拉致られて、自分たちを人質に働かされてる」
ガルドが端的に説明すると、田岡まで含めた全員が顔を青くした。
「は、はたらかされ……」
「ううっ、きっと一日一食とかで、背中にバンバン鞭打たれながらとかじゃない?」
「なんと! 許せんな、アイツら!?」
ガルドが思った以上に、仲間たちの脳内に広がる光景はバイオレンスだった。
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