6 / 10
バトク国
しおりを挟む
「げ、下僕……?」
「はい!わたくし先程あなたに命を救われました!あなたのためにこの命を使いたいと思うのは当然のことです!」
「そうかなぁ?おっと」
近づいてくる風切り音にベルは咄嗟に腕を動かします。
ベルの手には5本の矢が掴まれていました。
それをウルゾーが認識すると同時にベルの姿が掻き消え、次の瞬間には5人の黒装束の人間を捕まえウルゾーの目の前に戻ってきました。
ウルゾーはその一瞬の出来事に驚くよりも感動し、自身の思いを強めました。
目の前の少女こそ、ハジマリーノ王国で見た力のない勇者に代わり、魔王を討つ存在だと。
「わたくしはセールス商会のウルゾー。ぜひともあなたのお名前をお聞かせください!」
「あたしはベル!よろしくねウルゾー!ところでバトク国の場所って知ってる?!」
「もちろんでございます。あちらの方角がバトク国です。今すぐ案内しましょう。」
「あっちか!じゃあウルゾー、背中に乗って?」
「せ、背中ですか?」
ウルゾーは自分の体を見下ろします。横にも縦にも大きいその体はとてもベルに担げるものとは思えませんでした。
しかしベルはそんなウルゾーの様子を気にせず彼を担ぎ上げます。
「うわあっ!」
「じゃあ行くよー!」
精一杯体中に力を込めるベルにウルゾーは嫌な予感がしました。
「あ、あのベル様?やっぱり下ろしてもらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!ッ!ハァッハァッハァッ!し、死ぬかと思いましたぞ!」
「でも楽しかったでしょ?ウルゾー笑ってるよ」
「おや、そうですか?確かにこれまでにない体験でした。しかし、まさかあそこからバトク国までこんな短時間でたどり着けるとは……やはりベル様こそ、魔王を倒し世界を救う真の勇者様です!」
「?ウルゾー知らないの?ハジマリーノ王国でし、勇者が召喚されたって」
「勿論知っていますとも!しかしかの勇者はオークキングに遅れを取り、あまつさえオークの命を奪うことさえ躊躇ったと聞きます。そんな者よりもベル様の方が救世主に相応しいかと!」
「…………ウルゾー、これからあたしの前で勇者の悪口言うの禁止ね」
「!こ、これは失礼しました!以後気を付けます……」
「うん!でなんだけど。あたし身分を証明出来るもの持ってないんだよね、あとお金も」
「左様ですか。ではバトク国に入ってから作るとしましょうかそれまではわたくしが何とかしましょう」
「ウルゾーって意外と偉い人だったり?」
「まぁどちらかというと偉いほうですな。英雄たる貴方様に比べれば塵芥のようなものですが。では、行きましょうか」
「う、うん。ありがとね」
「礼など要りませぬよ」
そう言うとウルゾーは朗らかに笑うのでした。
ウルゾーの根回しでベルは何の問題も起こらずにバトク国に入る事ができました。
「では、街に出て勇者の情報を探して参ります」
「……どうして、あたしが勇者を探してるって思ったの?」
「先程勇者をお庇いになった事。勇者がこのバトク国に入国したという情報からですな」
「やるではないか。見直したぞウルゾーよ」
「ホッホッホ、ありがたき幸せでございます。ではごゆっくり」
「はーー!疲れた!今日はもういいや!寝よう!」
「はい!わたくし先程あなたに命を救われました!あなたのためにこの命を使いたいと思うのは当然のことです!」
「そうかなぁ?おっと」
近づいてくる風切り音にベルは咄嗟に腕を動かします。
ベルの手には5本の矢が掴まれていました。
それをウルゾーが認識すると同時にベルの姿が掻き消え、次の瞬間には5人の黒装束の人間を捕まえウルゾーの目の前に戻ってきました。
ウルゾーはその一瞬の出来事に驚くよりも感動し、自身の思いを強めました。
目の前の少女こそ、ハジマリーノ王国で見た力のない勇者に代わり、魔王を討つ存在だと。
「わたくしはセールス商会のウルゾー。ぜひともあなたのお名前をお聞かせください!」
「あたしはベル!よろしくねウルゾー!ところでバトク国の場所って知ってる?!」
「もちろんでございます。あちらの方角がバトク国です。今すぐ案内しましょう。」
「あっちか!じゃあウルゾー、背中に乗って?」
「せ、背中ですか?」
ウルゾーは自分の体を見下ろします。横にも縦にも大きいその体はとてもベルに担げるものとは思えませんでした。
しかしベルはそんなウルゾーの様子を気にせず彼を担ぎ上げます。
「うわあっ!」
「じゃあ行くよー!」
精一杯体中に力を込めるベルにウルゾーは嫌な予感がしました。
「あ、あのベル様?やっぱり下ろしてもらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!ッ!ハァッハァッハァッ!し、死ぬかと思いましたぞ!」
「でも楽しかったでしょ?ウルゾー笑ってるよ」
「おや、そうですか?確かにこれまでにない体験でした。しかし、まさかあそこからバトク国までこんな短時間でたどり着けるとは……やはりベル様こそ、魔王を倒し世界を救う真の勇者様です!」
「?ウルゾー知らないの?ハジマリーノ王国でし、勇者が召喚されたって」
「勿論知っていますとも!しかしかの勇者はオークキングに遅れを取り、あまつさえオークの命を奪うことさえ躊躇ったと聞きます。そんな者よりもベル様の方が救世主に相応しいかと!」
「…………ウルゾー、これからあたしの前で勇者の悪口言うの禁止ね」
「!こ、これは失礼しました!以後気を付けます……」
「うん!でなんだけど。あたし身分を証明出来るもの持ってないんだよね、あとお金も」
「左様ですか。ではバトク国に入ってから作るとしましょうかそれまではわたくしが何とかしましょう」
「ウルゾーって意外と偉い人だったり?」
「まぁどちらかというと偉いほうですな。英雄たる貴方様に比べれば塵芥のようなものですが。では、行きましょうか」
「う、うん。ありがとね」
「礼など要りませぬよ」
そう言うとウルゾーは朗らかに笑うのでした。
ウルゾーの根回しでベルは何の問題も起こらずにバトク国に入る事ができました。
「では、街に出て勇者の情報を探して参ります」
「……どうして、あたしが勇者を探してるって思ったの?」
「先程勇者をお庇いになった事。勇者がこのバトク国に入国したという情報からですな」
「やるではないか。見直したぞウルゾーよ」
「ホッホッホ、ありがたき幸せでございます。ではごゆっくり」
「はーー!疲れた!今日はもういいや!寝よう!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる