4/4ー俺の親が自重しなかった結果チートな身体を得た。

ギン

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1章

13話 オークってば、大人気なんだから。

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撫子が町に戻ってきたと知るや否や、館の隣に建てられた治療院に朝早くから患者と客がひっきりなしに来る。
患者や、教会関係者。ラルンド辺境伯の使いなど、本当にひっきりなしだ。

撫子が居ない時はアリアが治療院をやっているらしい、アリアも撫子と同じ程度、治癒魔法のランクは高いらしいが、アリアが撫子を立てているせいか、撫子は、とても皆に慕われているらしい。

そういえば、サリュ、ベルトスは族名なので名前で呼ぶ事にした。
そのサリュは、手伝える事は手伝うといったそばから、庭に置かれた椅子に座り、ボウっと虚空を見つめている。

おいおい、早速サボりかとサリュに近付くと、彼女がとても切ない表情をしている事に気付く、瞳が潤んでいる気さえする。後ろから、近付き、ポンとサリュの頭に手を乗せ、どうした?ぼーっとして、と話かける、耳には触れないように、獣人にとって耳や尾はとても大事な物と言うのは、よくある話だ。
くるっと、サリュが振り返る、


「あっ、ゴメン 、手伝いとかするからおいてくれって言ったのに、まだ何もしてない・・・
死んでしまった3人のことを、かんがえてた…の、1ヶ月もいっしょにいなかったけど、でも、いっしょに冒険してさいしょは楽しかった。でも、かんがえが足りなかったんだろうね。すぐに、ごはんが食べれなくなって、ギスギスして、あんな事しちゃった。サリュだけが、助かって、おいしいごはんを食べさせてもらって、これで、良いのかなって・・・私だけがって・・・」


まあ、俺には彼らの死は殆ど関係ないが。
目の前で死んだと言っても間に合う様な状況でもなかったし、

俺はそこまで自分が冷たいとも思わない。日本に居た頃だって大半の人間は、事件で誰かが亡くなっても、ニュースが終わってしまえばもう自分とは関係の無い事になるのだ。
笑ってご飯も食べて居ただろう。

だがサリュにして見れば。1日かそこらで、吹っ切れる訳は無い


「そうか、俺はまだサリュとは深い付き合いじゃないし、お前の事は何も知らないけど、昨日サリュを助けた事を後悔はしてない。俺は、行動した結果起こった事を後悔したくない、だからその時その時、やりたい事をやるだけだ。その結果今サリュがこうして此処にいて、こうして悩んでる、それで良いんだと俺は思ってる。だから、悩むのは良い、でも後悔はしない方が良い、俺は、サリュが生きていてくれて良かったと思うよ。」


サリュは俺の顔をジッと見ると、少しの間瞳を閉じ、ゆっくり頷く、


「うん……解った。ありがとう・・・えーと名前・・・」

「ワヒト・クロガネ、って言うんだ。」

「ワヒト・・・ ありがとう。えーとあのね?もう一度あたま、やってもらって、良い?」

「ああ。後で3人の墓ぐらいは、作ってやろう。」


もう一度、希望通り頭に手をポンと乗せる、そのまま軽く、くしゃくしゃしてやる。


「うん、ありがとう・・・ワヒトって。なんかぜったい7歳じゃないね。すごくオトナ。」


サリュはそう言うとにっこりと微笑む、瞳に溜まっていた涙が落ちた時、俺は気が付いた。


あ、偽名、作ったのに本名言っちゃたと・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あの後、確りと、実は訳あってウンヌンカンヌン、あの名前じゃ無くてこっちの 名前で呼んで欲しい。と説得したのだがきっぱり「イヤだ」と断られてしまった。なんでも、名前というものは大事なものだと、名はその人を表すんだと。。なんとも反論の出来ない、ぐうの音も出ないほどの正論だった。
だが何とか、外では、クロトと、呼んでもらえる事になった。いやまあ、ワヒト・デュアリスにしても
良かったんだろうが、そこは自分なりの拘りとして、許して欲しい。



午後は、撫子がアリアさんに治療院を交代して、森で討伐したオークを売りに行くのを手伝ってくれるそうだ。何でも魔物や魔石はギルドが1番高値を出してくれるらしく、信用も出来るからだそうだ。
撫子が用意してくれた馬車で行く事にする、馬車の御者の席に撫子が乗り、その隣に俺が乗る、
冒険者ギルドの裏口につけ。正面からギルドに入る、結構混んでるな、ガヤガヤと、活気がある。


「おい!見ろよナデシコさんだぜ!いつ見ても美人だよなぁあんな嫁さん欲しいなあ」

「何言ってんだてめえ、ナデシコさんをそんな 目で見るんじゃねえ!」

「なんか隣にエライ可愛い子連れてるけど誰かな?」

「おい、ロリコン、今日も絶好調だな?だが、確かに可愛いな。」


…………前半2人はまあ良い。しかし、後半のは無いな。
3番目の声のやつをジロリと睨んでやる。


「ご褒美です。」

イヤなセリフを聞いてしまった、あいつは本物だ。
ギルドのガヤガヤで、職員がこっちに気がつく、あっ、と顔を綻ばせ、走り寄ってくる。胸のあたりの物体が凄い揺れている、なんせ目線がその物体と同じくらいだ、迫力が半端じゃ無い。


「ナデシコさん!本日はどのような御用で?お薬をまた、売って頂けるのですか?」

「いえ、今日は魔物を討伐して来たから、売りに来たの。良いかしら?」

「魔物ですか?ナデシコさんには珍しいですね?素材ですか?魔石ですか?」

「そのまま持って来たわ、裏に馬車を開けてあるから、裏の搬入口開けてもらっても良いかしら…?」

「え!そのままですか!?わ、わかりました!じゃあ、裏口でお待ち下さい。」


ギルド職員は中に急いで駆け込んで行く、俺達は外に出ると、裏口に周り扉が開くのを待つ。
ギギィと扉が開き、ギルド職員が出てくる。

「ところで、ナデシコさん、そちらの子は?」

「私の弟なの、母の腹違いの、人族とのハーフの子だから、外見は人族に近いけども。」

「え?弟さん?ですか、妹さんじゃ無くて?」

「とても可愛いでしょう?でも、弟なの。」


ギュッと俺を抱き寄せると、ギルド職員に自慢げに話しかける。
あれ、やっぱり姉さんなのか?こっちの方がハマってるぞ、心なしか演技では無く本気でやってる様にも見える。


「ええ!とっても可愛いですー髪の毛が真っ白で凄い!ハーフも珍しいですけど、その上アルビノだなんて!私にもギュってさせて下さい!」

「ダメよ。」

「えっ?」

「ダメよ。」


さっきまで和気藹々としていた筈なのに、一気に空気が凍る。

俺は逃げる様に馬車の中に入ると外から見えないように扉を閉め、インベントリからオークの死体を二体ほど出す。
馬車の扉を開けると、職員がギョッとした顔を見せる。


「オークじゃないですか!」


さっきの事がなかったかの様に、すぐに再起動し、何人かの職員で馬車から運び出す。
凄い喜びようだ。オークを運んで作業する他の職員をよそに、よく解ってない俺にさっきのギルド職員が説明をしてくれる。彼女の名前はソニア、

ソニアが言うにはまずオークの肉は味もよく量も取れる、50キロ近くが可食部になるらしいのだが、キロ当たり銅貨1枚、50キロで銀貨5枚、魔石が1つ銀貨2枚 そして、例のオークの睾丸は銀貨3枚で売れるらしい。

何でも肉には精力増の効果が、睾丸から作る精力剤には持続性の効果がある様だ。それが、貴族にバカ売れらしい。そして、ギルド職員が喜ぶ訳は、オークを狩る冒険者はなかなかオークごと持ってくるものは少なく、良くて魔石と睾丸程度だと言う。

肉はその場で食べる事が多く流通しない。
だから、こうやって肉が大量に入荷できた日はギルドマスターから臨時ボーナスが出るそうだ


「それにしても傷が少なくて良い素材です、これなら皮も綺麗に使えるので査定アップですよ!しかも、凄く新鮮です!さっき狩って来たんですか?」

「ええ、」


サラッと嘘ついたぞ、撫子。
ふむ、インベントリには時間停止か、保存的な効果でもあるかな?後で試してみよう。


「えーと解体と、査定に少し時間がかかるので、客間の方で少しお待ち頂いても?」

ソニアの言う通り、俺達は客間で休むことにした。ソファに座り、出された飲み物と、菓子を頬張る。一息ついた頃に、ドタドタと音が聞こえ、男性のギルド職員が部屋の扉を勢いよく開けて入ってくる、


「ナッ、ナデシコさんっ!お願いです、つ、妻を妻を助けて下さい!」


職員はかなりパニックの様子だ、撫子は立ち上がりすぐ移動する様子を見せる、移動中に話を聞くつもりの様だ、2人が話しながら移動する様子を見ながら俺も後ろをついて行く。廊下を歩き、どこかの部屋に入る、ベッドが数台並んでいる、 冒険者ギルドの治療室らしい。奥のベッドの上に女性が横になっている。叫び声をあげかなり苦しそうだ。

「もう限界ぃぃ!」
「耐えられないいいいいいいいあああああ!」
「いたいいいいい!」


女性は、妊婦だった。



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