4/4ー俺の親が自重しなかった結果チートな身体を得た。

ギン

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2章

3話 関わってしまったら最後まで。

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 馬車の中には少女と15歳の女の子。2人の名前だけを聞き俺達は後は、終始無言だった。どうせ馬車のガタガタ音で会話らしい会話も出来ないが・・・それに王都で降ろす予定だし、ここで変に仲良くなって情が湧いてもしょうがない。彼女達の名前は、5歳ほどの少女の名はクルエラ、15歳程の女の子はエマと言ったーーー

 昼を少し過ぎた頃、王都へと着いた。王都への入り口には大きな門があり、複数の兵士が門番をしていた。

 俺達の前を進んでいたロシェル等の馬車が一旦止まる。ロシェル達が身分の検査を受けている様だった・・・俺達はこのクルエラやエマ達について前もって相談は済ませていた。王都へ入る時の身分の検査についてだ。ロシェルに寄れば、身分の証明方法はいくつか有り貴族である証明、家紋入りの服や持ち物等。冒険者ギルドカードでの証明。貴族や名士による書簡などだ。それ等がない場合、一人当たり銀貨2枚を払う、という事らしい。考えている間にロシェル達の審査が終わった様だ。次は俺達の番だ。

「ここで止まれ」

 俺達は言われた通りゆっくりと馬車を門番達の前に止めた。

「君達はこの王都にどんな用があって来た?」

 門番が2人で審査をして居た。馬車の中に隠れたものが居ないかどうかを1人が調べ、もう1人が身分の確認をして居た。まずサリュのギルドカードを確認し、俺はラルンドのギルドマスター、メルムが用意した王都の冒険者ギルドへの紹介状を見せた。俺達はそれで充分だったらしい。そしてクルエラやエマについて聞かれたので、半分ボカして王都内で仕事をする伝手があり、俺達は、学園への入学者で宿場町を通ったのでついでに乗せて来た事を伝えたが、それでは明確な身分証明にはならないと言われた。

 まあ、これは想定内だったので2人分の銀貨4枚を払い、中へ進むことが出来た。

 「あの…私達の分を払ってくれてあ、ありがとう。仕事が決まったら少しずつ返すから・・・」

 門を抜け幾らか進んだ所で、エマが恐る恐ると行った様子で俺に話しかけて来た。俺としては、一応学費と、こちらで住居を準備する事も考え、幾分かの生活費は持って来た。ロシェル等も余裕があった様で青年等の分を彼等の今後に期待して払っても良いと言っていた。だが、払ってやるつもりが有ると言う事を言うつもりは無い。

「ああ、ゆっくりで良いから、頑張って稼いでこの子達を食わせて、余った分で良い。ゆっくり返してくれ」

 もう少し厳しく言うつもりだったが・・・俺は正直この世界では恵まれている、前世でも金銭的には恵まれていた方だろう。飯を食うと言うことに関して、悩んだ事が一度も無いーーーその考えが、俺の口から出る言葉を少しだけ柔らかいものにしてしまった。

「うん、ありがとう、必ずちゃんと返すから・・」

「ありがとう。お兄ちゃん」

 エマが俺に礼を言った後、クルエラが辿々しくだがエマに続いて声を出した。彼女達にしてみれば、俺は学園に入学出来る程、金に余裕がある。そんな俺にきちんと借りた金を返したいと言う彼女は、とても真面目なんだろうと。そう思った・・



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 ここは宿場町の主人が紹介してくれた宿だ。とても大きな宿で、ロシェル一行とその宿に来ていた。中へと進みその辺にいた従業員に軽く訳を話し、紹介状を見せ、ここの宿の主人を呼んで貰う事にした。数分待つと宿の主人が現れる。

「どうも、私が宿の主人のドックスです。事情は従業員から聞き手紙も読ませて頂きました。そうですね、彼とはまあ、幼馴染みたいな物で、彼の頼みは聞いてやりたい所ですが・・・それで雇って欲しいと言うのは?」

 俺達は、青年とエマ、残りの2人の子供達に前に出る様に促す。宿の主人は4人をちらりと見やると、この小さい子達は?と聞いて来た。

「勿論出来る仕事があれば手伝いはさせます。でもこいつ等は俺達が面倒を見るつもりでいます!こいつ等まで雇ってくれとは言いません!よろしくお願いします、どうか俺達をこの宿で働かせて下さい!」

 青年が背筋を伸ばしまっすぐと宿の主人に答えた、主人は顎を少し指で撫でると思案した後、口を開いた。

「そうですね、やる気はある様ですので雇っても良いのですが、今うちで必要なのは、お客様の荷物持ちや、馬車を裏手の馬繋場へ運ぶための係りで、女性には勤まりません。勿論、幼馴染の頼みですので他の者を雇うよりも優先はさせますが、無い仕事を用意してまで従業員を新たに雇う事は出来ません。ですので雇うとしたら彼だけ、その彼等の連れた子達は、住み込み用の部屋が1つ空いているのでそこで良いのなら。一緒に住むのは構いませんよ」

 これは多分破格の対応だろう、住む所の用意もして貰い、宿なので賄いもある。しかもこの宿には大浴場があるらしく、最後なら掃除の前に入っても良いと言う事だそうだ。

「あ、ありがとうがざいます!」

 青年は店主に礼をした後、とても喜んでいる様だったが、エマを視界に入れるとバツの悪そうな顔をした・・・

「ご、ごめんエマ、俺・・・」

「ううん、良いの、しょうがないよ・・・タリスだけでも雇って貰えて良かったよ」

 タリスと呼ばれた青年とエマはお互い気まずそうだった、エマはやはり落ち込んでいる様だった。2人は少し相談した後、クルエラはとてもエマに懐いているとの事でタリスの元には少年だけが付いて行く事になった。

 俺達とロシェルは、取り敢えずこの宿に部屋を取る事にした、この宿は学園の最も近くにある宿だ、こうして入学前の者達や学園を相手に商売をしている商人などが泊まる宿で、かなり部屋数も多い。今の時期は混んでいるのだそうだが、雇ってあげれず悪いねと、宿の主人は俺達の部屋の隣に、エマの部屋を何日かだけだが・・・と用意してくれた。俺達は一旦部屋へ行き、青年と少年は早速、住み込み部屋へと案内されていった。俺達は昼を食べていなかったので、昼食を兼ねて宿場町の主人が紹介してくれた食堂へと向かったーーー


 

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「あ、あの私、どうしたら良いんだろう・・・」

 宿の一室で椅子に座りこうべを垂れているのはエマだった。ここは俺達の部屋なのだが、先程エマがクルエラを連れてこの部屋に入ってきた。サリュはクルエラとベッドでじゃれあって遊んでいる。

 あの後、食堂に向かっても、酒場に向かっても、結局の所、今は忙しい時期で前もって従業員を雇っていたらしく、申し訳ないがと断られてしまったのだ。

「このまま、仕事が見つからなかったらっ、クルエラの事は最悪タリスにお願いすれば良いかもしれないけど・・・ぅぅ、奴隷落ちとか、娼館で働くしか無いのかな・・・」

 エマはズボンの膝の辺りをギュッと握り、下を向いている。エマの握られた手の甲にポツポツと小さな水玉が出来て行く。正直、エマが頑張って働き口をスグに探すつもりというならその間だけでも面倒は見てやっても良いのだが・・・どうしたもんか。提案だけしてみるか・・・

「なあ、俺達は3日後には学園の試験がある。その後は、学園の寮に入るか、何処か住む場所を探すか決める事になると思うが。んーそうだな、まあ1ヶ月くらいなら寝る所と食べるもんくらいは俺が面倒見ても良い。けど、確り仕事を探すのが条件だ。」

「ぇ?」

 エマは空気に辛うじて乗る様な呟きを漏らすと顔を持ち上げる。俺の顔をジッと見つめながら小さく呟く様に。

「ぃ、ぃいの?わ わたし頑張って仕事探すからっ!お  お願い!あ、お願いします!」

 エマは急に敬語になって話すと。俺はそれに対して手を軽く振り答えてやる

「あー良いさ。後、敬語は無理に使わなくて良いぞ」

 少し恐縮した様子だが、コクリと頷くと、エマの腹部からグゥと腹のなる音が聞こえた、ハッとした顔をスグに下げエマは黙ってしまう。先程食堂でエマ達には俺達が食事代を出してやり食事を皆で摂ったが、断られた事のショックであまり食べていないようだった。

 俺はマジックバッグから出すフリをしてパンとビッグボアの肉を燻製したハムをナイフで削ぎ、パンに挟む前に火魔法を少量指から出し、ハムを炙るとレタスの様な野菜と、撫子の家で作り置きしたマヨネーズを乗せる。ハムを炙った香ばしい匂いが部屋中に充満すると・・・

「ねねねね!サリュも!サリュも食べたい!サリュのぶんも~」

 と、俺の腕を掴みグイグイと引っ張る。クルエラも見ていたら食べたくなった様で3人分用意してやる。まだ仕事が決まった訳では無いが少しホッとした様子のエマにサンドイッチの様なものを渡すと、恥ずかしそうにそれを受け取りパクリとサンドイッチを食べる。目を細め顔を綻ばせると瞳の中に溜まった涙が頬を伝う。


「これ、すごく。おいしいね!」

 エマが俺の方を向きそう答えた。




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