4/4ー俺の親が自重しなかった結果チートな身体を得た。

ギン

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2章

4話 アレリブレシング学園。

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 学園の情報収集も兼ねて俺達は今、ロシェル、ナハアス達と宿の食堂で一緒に夕食をとっている所だった。

「そうだね、学園に入るには、入りたい科によって様々だが。騎士科、魔法科、職人科、商業科、総合科とあるね、科によって様々な試験があるみたいだね」

 食事を取りながらロシェルが教えてくれる。しかし他の科は名前で何と無く解るが、総合科ってのはなんだろうな・・気になった俺は総合科について聞いて見た。

「総合科って言うのはその名の通り、魔法も剣士としての技量も、ある程度の魔道具の知識や政治的知識、商業についての経済的知識等も全てを学ぶ科さ、貴族の跡取りとかが生徒の殆どだと思うね。アレリブレシング学園で最も入る事の難しい科って言われているね。他の科は専門性を高めた科でね、騎士なら戦う技術のみ。魔法科なら魔法が上手く使えれば体力の方は其れ程、重要視しないみたいだよ?そう言う僕も一応、貴族の息子だからね、総合科に入ろうかと思っているよ」

 成る程、じゃあ、俺も総合科に入ろうかな?魔法の勉強もしたいが、剣の技術も誰かに習った訳でもなく我流だ。折角だから世界を回って見たいとも思っている。サリュと安全に旅をするなら強すぎて悪いと言う事は無い。

 それに俺はどうも元の世界で学校に通っていなかったせいか精神がだいぶ未成熟な気もする。こんな事を考えながら未成熟ってのもおかしい話だけどな・・・

「ねね、ロシェルさま?君?騎士科は戦えれば勉強ができなくても入れるの?」

「はは、様とかは付けなくても良いよ、僕はそう言うのあんまり好きじゃなくてね。それに学園に入れば身分は関係ないって聞くしね」

 なんだか少し嫌な予感がするな・・・サリュが何か考え込んでいる様だ。取り敢えず俺はこの話を一旦切る事にし、黙々と食事を摂るナハアスへと話を振った。

「えーと、そういや、ナハアスは王都に用事があるって言っていたけど、何をしに王都へ?」

 ナハアスはそう俺に聞かれ一旦食べるのをやめると、ナプキンで口元を拭いた。なんか行動に似合わない光景だなーーと少しおかしく感じるが、まあ勿論顔には出さない。
彼は少しだけ間を開けて、考えるそぶりを見せると話し始めた。

「そうだナ、俺の目的を済ませル為には話しておいた方が好都合だろウ。俺は行方不明の妹を探しにきタ。王都に使いに出した妹だったのだガ戻って来なくてナ、それで探しに来たって訳ダ」

 ナハアスはそう言った、ここで話しておけば、妹を見つけられる可能性も高いだろうと、そう言う事らしい。成る程、確かにダークエルフはエルフよりも珍しいと言う事だ、エルフは森を愛し、あまり森から出て生活する事は無い。ダークエルフは逆に森には其処まで執着は無く 里に留まる事が少ない。しかしこの世界ではハーフの子が出来る可能性はかなり低い、外に出たダークエルフは子を成す事は少なく、里からはドンドンと若者が外に出て行く為、絶対数がかなり少ない、と言う事で、とても珍しいらしい。

「まあ、あいつの事ダ、好奇心の高い奴だからナ、何処かで道草を食っている可能性もだいぶ高いガ・・・」

 ナハアスの話は其処で終わり、俺は3日後の試験の話にまた戻しロシェルといくつか会話をした後、部屋に戻る事にした。

「クロト、さっきの顔を見ると、君も多分、総合科を狙っているんだろ?お互いに頑張ろう」

 ロシェルは、とても爽やかな笑顔でそう言うと、部屋へと戻っていった。




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 今日は学園の入園試験を受ける日だ、俺はロシェルと時間を示し合わせ学園まで案内して貰う事にした。ロシェルは1度、王都に呼ばれた伯爵である父親について来た事があるらしい、その時に学園に見学に来た事があると言っていた。

「しかし、ロシェルは貴族の息子なのに、良くただの冒険者と御者だけで旅に出ようと思ったな?冒険者に裏切られるとか、考えなかったのかい?」

「いや、彼は僕の地元ではかなりの有名人でね、王都でも名前を出せば知っている者も居るくらいだよ。だから、まあ信用に足る人物なのさ」

「そうか、まあそう言う事なら・・・」

 それ以上をロシェルは言う事がなかったので俺も踏み込んでは聞かなかった。俺達はそのまま歩きながら学園まで向かった、因みに俺の馬車はこちらで手放す事にした。あっても邪魔だし管理にも手間がかかるしな。ロシェルの馬車は御者が王都のギルドで冒険者を雇い領地へと戻ったと言う。と言う事で歩きな訳だ。

「ロシェルはさ、住む所はどうするんだい?」

「そうだね、寮にするか。自分で何処か借りて住むか迷って居る所さ、まず学園に受かってからだけど、寮なら学園に通うのがとても楽だからね。今の気持ちとしては寮かな」

 成る程、確かに宿からはココまで5キロ程でかなり近いらしいが王都内の住宅街は結構遠い場所に有り、そしてその住宅街の更に奥に宮廷貴族と呼ばれる者たちの住まいが有るらしい。住宅街迄は10キロ程、貴族達の住む地区。第1地区やら、第2地区と貴族の階級によって住む場所が違うとの事だった。因みに其処までは20キロ程有り、自分の館から通う貴族は主に馬車等で1時間ほどかけて学園に通うとの事だった。

 話しながら進む、ゆっくり人並みに歩き1時間ほどかけて学園の入り口へと到着した。奥に見える馬鹿に大きい建物4階建ほどの建物が横に広がって居る。まるで郊外に有るショッピングモールの様な大きさだった。学園の土地の周りには大森林が学園を包む様に広がって居るらしい。アレリブレシング大森林。学園の名は大森林の名から取って有るそうだ。学園に入る為の門には門兵が2人。門の大きさは高さは、10メートル程の門で今門は全開して居る状態だ、門の脇には漆黒の鎧を模した3メートル程の銅像が両脇に設置されて居る。

「凄いな、なんか圧巻だ・・・」

「だよな?僕も初めて見た時はすごくビックリしたよ」

 俺達はそう言いながら門をくぐると、門兵に学園の入学試験を受けに来たことを伝える。ロシェルは、自分の家の家紋を見せていた。俺は撫子から学園にツテがあるからと渡された手紙を門兵に渡した。門兵は手紙を受け取ると、手紙をグルリと回して見回すと、手紙の封蝋に目を止める。ギョッと驚いた顔をすると奥から係員を呼び出し何やらごにょごにょと話すと、俺達の確認はもうそれで済んだ様で門の中に通してくれた。

 少し進んでから、ロシェルが俺へと話しかけてくる。

「クロト、君達は一体何者なんだい?あんなにアッサリと通してくれるなんて。君も貴族とかなのかい?」

「いや、そんな事は無いよ。俺はただの一般人さ」

 俺は撫子や母さんがデュアリス姓だったから苗字持ちだが、貴族でもなんでも無い。見た目は完全に人族だし説明もメンドくさいので「クロト」と名だけを名乗っていた。まあロシェルともっと親密になってから打ち明けても良いだろう。

「そうか、まあ、良いさ」

 ロシェルはそう言うと爽やかに髪をかきあげる、うーん様になってるな。

 と、そんな事を考えて居ると。俺の左側、数十センチのすぐ側から声が聞こえた。

「ねね、とっても広いねー。サリュ凄い楽しみだよう!やっぱりサリュも学校入るよ!騎士科ならきっと入れるよね!」

 俺の腕に絡まりながらサリュが大きな声を上げる。やっぱりこうなったか。


「って言うか、サリュお前王都で冒険者になる為にBランカーになったんじゃ無かったのかよ・・・」

 俺がボソリと呟いた言葉は、興奮したサリュにはもう聞こえていない様だった。




 
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