4 / 4
娼館ピンピン
しおりを挟む
4
北区(ノース)は暗く湿った空気で包まれている。スリや強盗が多い為一般人はあまり近寄らない。だが酒場が多く情報が集まる場所でもある。腕に自信があれば怖い場所でもないだろう。行われる犯行は軽い物が多い。何せまだここは王都である為見回りもされるからだ。その一角に、マダムメリクールの娼館ピンピンはあった。
町を走り娼館へ急ぐ。怪しいローブを着た集団にすれ違ったがかまっていられない。
「なんかっ、すっごくジロジロ見られたんだけど!?」
「多分悪魔崇拝の奴らだ、はぁッ…この国じゃ悪魔崇拝は禁止されてるんだけど…、っなかには居るんだよ、あーゆー奴らがっ」
双子はローブの奴らに構わないよう言ってくる。息を切らしながら4人は走る。
「……マダムの店はここだ」
しばらく走るとマダムの店に着いた。店構えは赤いカーテンが入り口にかかり、いかにも娼館ですよと言いたげに揺れている。
「ねぇ、ぼ、僕こういうところ入ったことなくて…!い、いいの?」
「僕もない…」
「要くんも!?あ。あっちの姿じゃそらないかぁ」
「……お前もだろ」
悲しき童貞の彼らには刺激が強かろう事は小さな2人にも察せられた。4人は店に入る。狭苦しい密室と思ったら思いの外中は広々として絨毯や置物、植木なんかが置いてあった。一階はホールだけで主旨の部屋は二階と三階に構えられているらしい。
「あらん?ココ子供は入れないわよ~?」
「ヤダァかんわいい~!!」
「そっちのお兄さんたちの子供~?さっすがに子供連れは入れないかなぁ」
女が数人ホールのソファーやカウンターで客待ちをしているようだった。4人が入ると近寄ってきて明るく話しかけてくる。服装の際どさに2人の男はタジタジで、何せ豊満な胸を惜しみなく晒してスリットにはレースがあしらわれ、とにかく童貞には刺激の強い格好だらけだ。
「お兄さん達カッコいいからおまけして安く相手してあげるわよ?今忙しいけど特別に…。どう?アタシなんかすごくイイって評判なんだから…」
「ちょっと独り占めはよくないわ。みんなで可愛がってあげましょ。だってこんなにヒヨコみたいに震えちゃって、産まれたての小鹿じゃない…初めてなのよきっと」
けらけらと娼婦達は話を進めていく。鳥なのか鹿なのか…。2人の男達も何も言わないが満更じゃない気持ちはそりゃあある。恥ずかしさで何も言えずただ話の行方に身を任せるしかない。が、今は事が事なのだ。
「私たちはマダムメリクールに用があってきている」
「マダムはどこ?」
「マダムならさっき帰ってきて自室に篭ってるわ。媚薬の調合で良いレシピを思いついたとか。少量で相当な効き目だっていう…」
「効きすぎて気絶するって話だよ」
「やだあはは!それなら仕事が楽でいいわねぇ~」
「お兄さんたち、試してみる?」
グイッと女に詰め寄られ2人は真っ赤になってしまう。いやいや大丈夫です!!と大きな声で拒否している時、ちょうど階段を降りてくるマダムメリクールが声を掛けた。
「アンタ達、連れの男を置いて昼間っから楽しみに来たのかい?瀕死だったんだろ?」
「マダムメリクール!!急いで聞いてほしい事があるんだ!」
シュネはマダムメリクールに、カラフ草を食べた忍を治すには、マダムの持っていった強羅ウルフの牙が必要である事、フルールの店にもう在庫がないから譲って欲しい事を伝える。
「そりゃあ大変だね。でもねぇウチだって商売で買ってきたんだよ?渡したらアタシだって薬が作れなくなっちまうだろ?」
「で、でもそれがないと忍が死んでしまうんです…!」
要の訴えに、そうだねぇ…と、マダムは暫く考える。するとポンと手を叩き、要たちに向かってにっこり笑った
「じゃあ今はコレを無償で譲ってあげるわよ。代わりに強羅ウルフの牙を近いうちに20本持ってきて頂戴。どう?それなら今渡してもいいわよ」
「ええ!?20本!?」
シュネとシャラはこうなると予想していたのか頭を抱えていた。はぁと溜息を吐き口を開いた。
「1匹の強羅ウルフから取れる牙は2本。10体の強羅ウルフを倒さないと手に入らない」
「でももう、仕方ない。飲むしかない、じゃないと忍が死ぬし」
「やった!ウフフ!あのオカマの店もこれはぼったくり値段で売ってるから困ってたのよぉ!じゃあ今持ってくるからお待ちあそばせ」
にっこにこ。マダムはとても気分が良いのか鼻歌を歌いながら階段を登って行った。
「え、オカマの店って…?え??」
「オカマってなぁに?どういう事?」
「言ってなかったか。フルールはオカマだぞ?」
「「ええええええええ!?」」
店に悲鳴が響き渡った。ちょうどマダムが降りてきて、牙を渡してくれる。
「はいこれ。ちゃんと20本持ってくるんだよ?じゃないとわかってるね?」
「ああマダム。約束は守るよ」
「近いうちに、またくる」
「そう頼むよ、そしたらアンタ達がうちに来た時は安く案内してやるよ」
じゃないとどうなるんだろう…。要と龍来は深く考えない事にした。4人は来た道を急いで戻る。その時。突然要達は数人の男に囲まれて、道を塞がれてしまった。
さっきのローブの男達だった。
「ルスト様が復活した際…勇者の存在は邪魔でしかない」
「おおルスト様に仇を成す悪魔よ…、ここで散るが良い…」
悪魔崇拝の者達が、要達を取り囲み各々ぶつぶつと何かを呟きながら詰め寄る。何かの呪文だろうか。逃げ道もないようで、完全に狙われていたようだ。
「シュネシャラ!こいつら何者だよ!?」
「こいつらは「魔の教え修身堂」(デスウィア)という悪魔崇拝の組織の者だ…。勇者召喚は国全土に知らされた事…。ルストを崇拝するこいつらにとってはお前らは超邪魔な存在なんだ」
「超邪魔って…。今はこいつらの方が超邪魔じゃん!早くしないと忍ちゃんが死んじゃうし、僕らだって何もできないよ!!」
「くるぞ…!戦うしかない!とにかく構えろ!」
シュネとシャラは自らのロッドを構え戦闘態勢に入った。置き去りの2人はどうして良いかわからない。
「なにやってる!!早く念じろ!」
「念じろったって何を!!??」
「わけわかんないよ!!」
「自分が踊れるって事と、編み物が編めるって事だ!!!」
??????
2人には全く意味がわからなかった……。
北区(ノース)は暗く湿った空気で包まれている。スリや強盗が多い為一般人はあまり近寄らない。だが酒場が多く情報が集まる場所でもある。腕に自信があれば怖い場所でもないだろう。行われる犯行は軽い物が多い。何せまだここは王都である為見回りもされるからだ。その一角に、マダムメリクールの娼館ピンピンはあった。
町を走り娼館へ急ぐ。怪しいローブを着た集団にすれ違ったがかまっていられない。
「なんかっ、すっごくジロジロ見られたんだけど!?」
「多分悪魔崇拝の奴らだ、はぁッ…この国じゃ悪魔崇拝は禁止されてるんだけど…、っなかには居るんだよ、あーゆー奴らがっ」
双子はローブの奴らに構わないよう言ってくる。息を切らしながら4人は走る。
「……マダムの店はここだ」
しばらく走るとマダムの店に着いた。店構えは赤いカーテンが入り口にかかり、いかにも娼館ですよと言いたげに揺れている。
「ねぇ、ぼ、僕こういうところ入ったことなくて…!い、いいの?」
「僕もない…」
「要くんも!?あ。あっちの姿じゃそらないかぁ」
「……お前もだろ」
悲しき童貞の彼らには刺激が強かろう事は小さな2人にも察せられた。4人は店に入る。狭苦しい密室と思ったら思いの外中は広々として絨毯や置物、植木なんかが置いてあった。一階はホールだけで主旨の部屋は二階と三階に構えられているらしい。
「あらん?ココ子供は入れないわよ~?」
「ヤダァかんわいい~!!」
「そっちのお兄さんたちの子供~?さっすがに子供連れは入れないかなぁ」
女が数人ホールのソファーやカウンターで客待ちをしているようだった。4人が入ると近寄ってきて明るく話しかけてくる。服装の際どさに2人の男はタジタジで、何せ豊満な胸を惜しみなく晒してスリットにはレースがあしらわれ、とにかく童貞には刺激の強い格好だらけだ。
「お兄さん達カッコいいからおまけして安く相手してあげるわよ?今忙しいけど特別に…。どう?アタシなんかすごくイイって評判なんだから…」
「ちょっと独り占めはよくないわ。みんなで可愛がってあげましょ。だってこんなにヒヨコみたいに震えちゃって、産まれたての小鹿じゃない…初めてなのよきっと」
けらけらと娼婦達は話を進めていく。鳥なのか鹿なのか…。2人の男達も何も言わないが満更じゃない気持ちはそりゃあある。恥ずかしさで何も言えずただ話の行方に身を任せるしかない。が、今は事が事なのだ。
「私たちはマダムメリクールに用があってきている」
「マダムはどこ?」
「マダムならさっき帰ってきて自室に篭ってるわ。媚薬の調合で良いレシピを思いついたとか。少量で相当な効き目だっていう…」
「効きすぎて気絶するって話だよ」
「やだあはは!それなら仕事が楽でいいわねぇ~」
「お兄さんたち、試してみる?」
グイッと女に詰め寄られ2人は真っ赤になってしまう。いやいや大丈夫です!!と大きな声で拒否している時、ちょうど階段を降りてくるマダムメリクールが声を掛けた。
「アンタ達、連れの男を置いて昼間っから楽しみに来たのかい?瀕死だったんだろ?」
「マダムメリクール!!急いで聞いてほしい事があるんだ!」
シュネはマダムメリクールに、カラフ草を食べた忍を治すには、マダムの持っていった強羅ウルフの牙が必要である事、フルールの店にもう在庫がないから譲って欲しい事を伝える。
「そりゃあ大変だね。でもねぇウチだって商売で買ってきたんだよ?渡したらアタシだって薬が作れなくなっちまうだろ?」
「で、でもそれがないと忍が死んでしまうんです…!」
要の訴えに、そうだねぇ…と、マダムは暫く考える。するとポンと手を叩き、要たちに向かってにっこり笑った
「じゃあ今はコレを無償で譲ってあげるわよ。代わりに強羅ウルフの牙を近いうちに20本持ってきて頂戴。どう?それなら今渡してもいいわよ」
「ええ!?20本!?」
シュネとシャラはこうなると予想していたのか頭を抱えていた。はぁと溜息を吐き口を開いた。
「1匹の強羅ウルフから取れる牙は2本。10体の強羅ウルフを倒さないと手に入らない」
「でももう、仕方ない。飲むしかない、じゃないと忍が死ぬし」
「やった!ウフフ!あのオカマの店もこれはぼったくり値段で売ってるから困ってたのよぉ!じゃあ今持ってくるからお待ちあそばせ」
にっこにこ。マダムはとても気分が良いのか鼻歌を歌いながら階段を登って行った。
「え、オカマの店って…?え??」
「オカマってなぁに?どういう事?」
「言ってなかったか。フルールはオカマだぞ?」
「「ええええええええ!?」」
店に悲鳴が響き渡った。ちょうどマダムが降りてきて、牙を渡してくれる。
「はいこれ。ちゃんと20本持ってくるんだよ?じゃないとわかってるね?」
「ああマダム。約束は守るよ」
「近いうちに、またくる」
「そう頼むよ、そしたらアンタ達がうちに来た時は安く案内してやるよ」
じゃないとどうなるんだろう…。要と龍来は深く考えない事にした。4人は来た道を急いで戻る。その時。突然要達は数人の男に囲まれて、道を塞がれてしまった。
さっきのローブの男達だった。
「ルスト様が復活した際…勇者の存在は邪魔でしかない」
「おおルスト様に仇を成す悪魔よ…、ここで散るが良い…」
悪魔崇拝の者達が、要達を取り囲み各々ぶつぶつと何かを呟きながら詰め寄る。何かの呪文だろうか。逃げ道もないようで、完全に狙われていたようだ。
「シュネシャラ!こいつら何者だよ!?」
「こいつらは「魔の教え修身堂」(デスウィア)という悪魔崇拝の組織の者だ…。勇者召喚は国全土に知らされた事…。ルストを崇拝するこいつらにとってはお前らは超邪魔な存在なんだ」
「超邪魔って…。今はこいつらの方が超邪魔じゃん!早くしないと忍ちゃんが死んじゃうし、僕らだって何もできないよ!!」
「くるぞ…!戦うしかない!とにかく構えろ!」
シュネとシャラは自らのロッドを構え戦闘態勢に入った。置き去りの2人はどうして良いかわからない。
「なにやってる!!早く念じろ!」
「念じろったって何を!!??」
「わけわかんないよ!!」
「自分が踊れるって事と、編み物が編めるって事だ!!!」
??????
2人には全く意味がわからなかった……。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる