乙女ゲームの転生ヒロインは、悪役令嬢のザマァフラグを回避したい

神無月りく

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心を開いて、自分を見つめ直して

デートの約束

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 でも、私は素直に首を縦に触れないでいる。
 確固たる理由があって承諾しないのではない。そこに至るためのピースが足りないような気がしてならないのだ。それは、『好感度が足りているのに、フラグを回収できなかったため、ハッピーエンドにたどり着けなかった』という感覚によく似ている。

 いくらここが乙女ゲームの世界だといっても、実際にフラグなるものが存在しているなんて荒唐無稽な話はありえないが……私が感じている欠落が、ただの勘だと一蹴してしまえるような違和感ではないのが不安なのだ。

「カーライル様、私……」
「……訊きたいことがあれば、なんでも訊いてくれ」
「え?」

 きょとんとして問い返すと、カーライル様は明後日の方向に視線を泳がせながら、とうとつと答える。

「いや、その……俺のことを何も知らないのに好きになってくれとか、結婚してくれというのは、おこがましいというか理不尽だろう? かといって聞きたくもない話を延々聞かされるのは嫌だろうし、そもそも俺はあまり雑談の才能がない。だから、ホワイトリー嬢が知りたいと望むことに答えるのが一番だろうと」

 なるほど。フラグが足りないと感じるのは、カーライル様について知っていることが少ないせいかもしれない。

 しかし、改まって質問するとなると逆に悩んでしまう。好感は抱いているが親しいわけではないので、どこまで突っ込んで訊いていいのか測りかねる。

 私は悩みながら近くにあったベンチに勧められるまま腰かけ、ひとまず当たり障りのなさそうな『好きなもの』や『趣味特技』を質問したが――好きな動物は雀だとか、趣味は写生だとか、酒が一滴も飲めない下戸だとか、おおよそ見た目からは判断できない回答がポンポン飛び出した。

 それと話していて気づいたのだが、職業柄か生い立ちのせいか顔に浮かぶ表情は薄いが、意外と声にははっきりと感情が乗っている。黙っていれば心は読めないが、案外しゃべるとボロが出るタイプなのかもしれない。

 可愛いな、この軍人。ギャップ萌え狙いか。
 にやける頬を自制しつつ、次は何を訊こうかと思考を巡らせたが、一方的に質問攻めするだけではいけない気がする。相互理解って大事だ。

「そういえば、こちらから訊いてばかりでは不公平ですね。カーライル様は私に何かご質問はないのですか?」
「そうだな……ホワイトリー嬢の故郷の話、とか」

 故郷、というと領地の話だろうか。

 あそこは農業も商業も領民が困らない程度には栄えているが、これといった観光地もなければ特産品もない。その代わりなのか温厚な気質の領民が多く、事件といえば夫婦喧嘩と野菜泥棒くらいの年中無休天下泰平なお国柄だ。
 あのボンクラな父が領主に収まっていられるのは、十中八九領民のおかげだろう。あまり胸を張って言える事実ではないな、うん。

「……特に特徴のない、ただの田舎町ですよ。私が一人でフラフラ町中を歩いていても、誰も私が子爵令嬢だって分からないくらいに鈍感な人たちばかりで……いやまあ、王都でもそうだったので、私に貴族としての気品とか美貌とかが全然足りてないせいでしょうけど……」
「そうか? 俺はあの時すぐに分かったが」

 それって、下町でバッタリ遭遇した時のことよね。
 そういえば普通に話しかけられてたっけ。ロクに化粧もしてないし格好は完璧に町娘だし、舞踏会の時とは全然違うのにどうして気づいたのやら。
 あの時はザマァのことしか頭になかったし、どうしてスルーしてくれなかったのかと恨みもしたが、おぼろげながらに気持ちを自覚してから思い返せば、どこでどんな姿でいても自分だと分かってくれるというのは存外嬉しいことだと感じる。現金なものだ。
「だが、供も連れずに下町を歩くのはやはり感心しないな。本当に大丈夫だったのか? 随分慣れている様子だったが」
「借金返済時、家計の足しにするため商家でメイドをしていましたからね。庶民の暮らしに適応している自覚はあります」
「商家でメイド? 行儀見習いではなく?」

 貴族令嬢が働くといえば、行儀見習いというのが定番……というかそれ一択だ。カーライル様が驚くのも無理はな い。

 とはいえ、それも普通のメイドのように生活費を得るための労働ではなく、実家より格上の屋敷で働くことで身上に箔をつける程度のことなので賃金自体が安いし、期間も数か月から長くとも一年勤めればいい方で、とてもじゃないが返済に充てるどころか生活費を工面するのも難しい。

 多分カーライル様は王族ということもあり、そこまでくわしくは知らなかったんだろう。別に男性が知らなくてもいいことだし、教えると話の腰を折るので端折ることにする。

「ホワイトリー家の伝手では、いい奉公先が見つけられなかったんですよ。なので、子爵家の遠縁と偽って、領地で一番大店の商家で働かせてもらってました。住み込みではなく通いですけどね。四年ほど勤めたんですが、一度も貴族令嬢だとは気づかれませんでした。きっと今でも私を平民だと思っているでしょうね」

 多分このままの格好で彼らと会っても、コスプレか何かと勘違いされた挙句、似合わないと爆笑されるオチが見える。

 でも、それが不快だとは思わない。ドレスよりエプロン付きワンピースの方が似合うのは事実だし、領主の娘だと分かって距離を置かれるより気楽でいい。
 懐かしい面々を思い出して忍び笑いが漏れると、カーライル様が何故か声のトーンを落として問いかける。

「……なんだか楽しそうだな。領地に想い人がいるのか?」
「いええ、いませんよ? いたらとっくに結婚してます」

 父はあの性格だから、身分差がどうとかうるさくは言わないし、私が「平民と恋人になったから結婚したい」と言っても二つ返事で了承するに違いない。

 相手だってよっぽど相性が悪くない限り、貴族令嬢との結婚を拒んだりはしないはずだ……というのは自意識過剰だろうか。

「それに、私はずっと恋愛どころか縁談すら無縁でした。働くのに精いっぱいでしたし、債務のある家にまともな縁談は来ませんし……だいたい適齢期の若者は出稼ぎに出たっきり帰ってこないの人が多いので、出会いの確率自体が低いんですよ」

 おかげで緩やかではあるが過疎化が進んでいる。ボンクラ父は領民の自由にさせたいからとロクな政策を取らずにいるが、いずれ爵位を継ぐ弟には日本でも実施されている過疎化対策を密かに伝授している。父を反面教師にしているのか弟は幼いながらに実に優秀で、将来有望な領主様である。
 ブラコンというなかれ。

「そうなのか? では、俺はあなたに告白した最初の男ということか?」
「え、ええ……そう、ですね……」

 告白と聞いて不意にお茶会での出来事が脳裏によみがえり、顔が熱くなると同時に苦いものが心に広がってうつむく。
 ――俺が想う人は……プリエラ・ホワイトリー嬢、あなただ。
 ――俺はあの舞踏会の日に、あなたに心を奪われた。

 あの言葉が無自覚チート発動の末の妄言だなんて、どうしてそんな勘違いをしてしまったのか。ザマァばかりに気を取られていろいろなことから目を背け、彼の真摯なまなざしすら疑って……ああ、そうだ! すっかりあの時のことを謝るのを忘れてた!
 急ぎ私はカーライル様に向き直って頭を下げる。

「あの、先日のお茶会では大変失礼しました。勘違いといいますか、思い込みだけでカーライル様のお気持ちを踏みにじるようなことを……」
「あ、いや、頭を上げてくれ、ホワイトリー嬢。あれは俺が煮え切らない態度でいたせいで引き起こされた、いわば自業自得の結果だ。あなたは悪くない。それどころか、マクレイン嬢と決別するきっかけを与えてくれたことを、感謝しているくらいだ」

 オロオロとした口調でそう告げたカーライル様は、私の肩にそっと触れて顔を上げるよう促す。

 体一つ分は開けて座っているので密着しているわけではないが、見上げた時に思ったより近くにカーライル様の顔があってびっくりした。とっさに悲鳴を上げそうになったのを慌てて飲み込み、視線と一緒に話題を逸らした。

「え、えっと、ほ、他にご質問はありますか?」
「そうだな……次の祝日は空いているか? 一緒に出掛けたいんだが」

 それは質問といえば質問だけど、どちらかといえばデートのお誘いじゃないですか、カーライル様? しかも次の祝日はリーゼの祝日――恋人や夫婦のための日だ。

 その日は男女問わず意中の相手に赤い花を贈って告白する、夫婦であれば花を贈り合って愛を確かめ合うという風習がある。

 その日にデートに誘われるということは、恋愛対象として本命ということであり、その誘いを受けるということは、相手の気持ちを受け入れる準備があるという意味に捉えられる。つまり、デートするだけで両想い確定という暗黙のルールだ。

 それなら花は必要ないんじゃないかって話だが……バレンタインチョコを仕掛けたのが某お菓子メーカーだというのと同じく、売り上げアップを狙った花屋の陰謀のようで、思い出作りを兼ねた経済効果だと思ってくれればいい。

 それはともかく、彼の問いに首を縦に振れば自動的に両想いとみなされる。

 どうしよう……できれば自分の気持ちが定まってから、自分の言葉で告白の返事をしたかったけど、このチャンスを逃したら本当にカーライル様を振ってしまうことになりかねない。これ以上逃げるなという神の啓示なのかもしれない。

 それに、嫌う理由は元々ないしザマァ回避という大義名分もなくなったし、少なくとも結婚相手としてはこれ以上ないほどの好条件だし……と、誰に聞かれているわけでもないのに打算混じりの言い訳で照れ隠しをしつつ、小さくうなずいた。

「は、はい……」
「ほ、本当にいいのか? 無理に付き合ってくれなくてもいいんだぞ?」

 私がすげない態度を取りまくったせいで疑心暗鬼に囚われているのか、カーライル様は念を押すように問いかけてくる。本当にすみません、私のせいで。

「無理なんてしてません。その……誘っていただけて、嬉しかったです」

 その謝罪も含め、頑張って本音をひねり出すと、カーライル様はしばし呆けたように私を見つめたのち、薄っすらと破顔した。普段表情のない人がちょっとでも笑うと、とんでもない破壊力である。

 うう、更なるギャップ萌えを追加しようというのかこの人は!
 そう内心激しく突っ込みながらも、表面上は必死に平静を取り繕っていたが、

「……ありがとう。そう言ってもらえて俺も嬉しい。では、その日はあなたの屋敷まで迎えに行くから」

 と言って私の手を取り、その甲に口づけを落とした。
 手袋越しに、しかも唇が触れるか触れないかの軽いものだというのに、喉から飛び出すのではないかと思うくらい心臓がバクバクと暴れ、顔が発熱したように火照る。

 ……手の甲にキスなんて、社交界ではありふれた挨拶だ。欧米人がハグするのと同じくらい気安く初歩的な所作である。エスコートと同じく経験がないわけではないが、何とも思ってない人から受けるものとはまったく違う。

 ベンチに腰かけているから倒れるのは避けられたが、突っ立ったままだったらかなり危なかった。一日に何回も倒れそうになるなんて、健康優良児である私にはあり得ない話だ。恋愛とはこんなに精神にクルものなのか、それとも自分の経験値が低すぎてキャパオーバーしているだけなのか。

 ――こんなポンコツメンタルでデートができるのか、私?
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