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初デートは先行き不安?
初々しい二人
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リーゼの祝日、当日。
身支度を整えた私は、リビングのソファーでぐったりとしていた。
それというのも朝も早くから叩き起こされ、「お嬢様の初デート!」と興奮する侍女たちに全身こねくり回され、支度だけで疲れ切ってしまったせいだ。
カーライル様が迎えに来るまでに、少しでも回復すればいいのだが。
そもそも、デートが決まってからというもの、彼女たちはいつになく私の世話を焼くことに使命感を燃やしていた。特に入浴やマッサージなど体を磨くことに余念がなく、普段から人の世話に慣れていない私には結構堪えるのだが……まあ、これまで男っ気一つなかった私がデートのお誘いを受けたとあれば、こうなるのは仕方がないだろう。
そうやって毎日手入れされるようになった結果、肌や髪の色艶は格段によくなり、ダイエットしたわけでもないのに心なしか痩せた。多分マッサージで全体的にむくみが取れたせいだろう。
おかげで少し前に仕立てたピンクベージュのドレスが緩く感じ、急遽後ろに編み上げリボンをつけてもらって腰回りを調整した。
それならいつも締め上げられるコルセットを緩める方向にしてほしかったが、バストサイズが貧相な私はくびれでメリハリを作らないといけないらしく、いつも通りグエッとなるほど絞められた。
それにしても、待ってる時間とはどうしてこれほどじれったいのだろう。
こういう時父がいると、うるさいながらにも気がまぎれるのだが……一昨日弟が風邪を引いたという知らせを受け、父は薬を片手に血相をかえって領地に戻ってしまった。この世界においてもたかが風邪ではあるが、我が領の医療水準は田舎なだけに結構低い。弟は大事な跡取り息子だし、万が一のことがあっては困る。
私に似て健康優良児だし大丈夫だとは思うけど――と、ぼんやり考えながら天井を見上げていると、ニコニコを通り越してニヤニヤとした笑みを浮かべたメアリーが入ってきた。
「お嬢様、カーライル様がお見えになりましたよぉ。さあさあ、グズグズしないで早くしてくださいねぇ」
そう言いながら私をソファーから立ち上がらせ、裾や後れ毛など乱れがないか素早くチェックして、重い足取りの私の背中を押して歩く。
うう、ついにこの時が来てしまった。
デート未経験者の私はどう振る舞うべきか分からず、セシリア様にこっそり手紙を書いて助言を乞うたのだが、要約すると「殿方のエスコートにお任せしなさい」という素っ気ないお返事をいただいたのみ。
あれこれ細かく指図されるより、何もしなくていいと言われる方が実は困るんだけど、ここは先達の助言に素直に従うべきだろう。
何においても初心者が余計なことをやるのは下策だし、そのせいで嫌われては元も子もない。
そう割り切って今日を迎えたが、やはり不安は不安だ。
「……お嬢様、そのお顔は意中の方とデートに行くご令嬢ではなく、処刑台に上る死刑囚のようですよぉ」
「そ、そんなにひどくないと思うけど……」
「まあ、たとえは大げさですけどぉ、もっとリラックスしてくださいねぇ。お嬢様はいろいろと考えすぎなんですぅ。デートは楽しむものですよぉ」
そんなやり取りをしながらノロノロと廊下を歩いて玄関扉をくぐると、貴族邸宅にしては地味で小さな門扉の前に黒塗りの馬車が停まっており、その車体にもたれかかるようにロングジャケットを着たカーライル様が待っていた。
仮にも王族を外で待たせるのはどうかと思うが、自信をもってお通しできるような屋敷ではないので仕方がないし、これからすぐに出かけるのならわざわざ上がってもらうのも効率が悪い。
……でも、ものすごく目立ってます。
ちょうど我が家の前に別の貴族邸宅があるんだけど、そこの使用人たちが見慣れない高級そうな馬車を目ざとく見つけ、しかもそこに相当なイケメンがいるのを発見したせいか、物見高い連中が塀やら二階やらからこちらを観察している視線がとても痛い。
だが、カーライル様はそれを露ほども感じる様子もなく、ポケットチーフの微妙なずれを直したり髪型をいじったり、私よりよっぽど乙女な様子でソワソワしていた。
どこまでギャップ萌えを狙ってるんだ、この人は!
「……お待たせしました」
「っ、ホワイトリー嬢」
見るからに気もそぞろだったせいか、声をかけてようやくこちらの存在に気づいたカーライル様は、珍しく肩をビクリと震わせて姿勢を正す。
「す、すまない、気づかなくて。あー、その……――こんなことを言うのは失礼かもしれないが、少し見ない間に随分変わっていて驚いた。すごく可愛い」
「か、かわっ……!?」
サラッと出てきた誉め言葉に熱が上がるが、こんな序盤の序盤でぶっ倒れている場合ではない。私らしくない蚊の鳴くような声で「ありがとうございます……」と絞り出すと、後ろに控える侍女たちから生暖かい笑みが漏れた気配がした。
くそ、使用人って堂々とデバガメができていいご身分だな!
まあ私が同じ立場なら、絶対一緒にニヤニヤしてるけどね!
と、ヤケクソ気味に心の中で叫びつつ、カーライル様のエスコートを受けて馬車に乗り込み、向かい合って座る。
いきなり隣じゃなくてホッとした。適切な距離感って大事よね。主に私の心臓にとって。
外装に違わず内装もとっても高級な仕様で、柔らかいクッションと肌触りのいいシートは上質なソファーのようだし、揺れや振動がほとんどなく乗り心地も抜群にいい。貧乏貴族には一生縁のなさそうなハイクオリティな馬車である。
ところで、一体どこへ向かうのだろう?
エスコートにお任せといっても、知らないままホイホイついていくのもどうなのか。カーライル様がおかしなところに連れていくとは思わないけど、一応確認してみるか。
「あの……今日はどちらに?」
「緑地公園だ。ゆっくり庭園や温室を散策するか、サーカスや劇団の演目を観るか……他にもいろいろと施設があるから、ホワイトリー嬢の行きたいところに付き合おう」
緑地公園は貴族街と王都を囲む城壁との間に存在する、国営の屋外レクリエーション施設だ。王宮に仕える庭師が手掛けた立派な庭園を筆頭に、珍しい草花が集められた温室、ボート遊びができる池、軽いスポーツやピクニックが楽しめる芝地、その他遊戯としての狩りもできる雑木林まである。
まあ、国営といってもきっちり入場料は取り、その額は某テーマパークの年間パスがお一人様一日分の料金に相当する。その上施設ごとに別途支払いが生じるのだから、かなりのぼったくり施設である。
とはいえ、人込みを避けてゆっくりできるという利点は大きいし、カーライル様の場合警備として同僚たちがあちこちに配備されているだろうから、落ち着いてデートを楽しむのは難しいに違いない。
しかし、少し困った。全部お任せコースだと思ってたのに選択肢を投げられるとは。
いや、ちゃんと希望を聞いてくれるのは嬉しいんだけど。
「うーん、悩みますね……どういうところかというのは存じてますけど、実際に行ったことがないので。カーライル様は行かれたことがあるんですか?」
「子供の頃には家族で行ったが、もう十五年近く前のことだからな……あの時、フロリアンと雑木林でかくれんぼをしたんだが、日が暮れても見つけられなくて大騒ぎしたな結局あいつは管理小屋に無断侵入してスヤスヤ寝てて……」
「そ、それはまた……」
ご愁傷様です、当時の皆様。
でも、そんな冷や汗モノの思い出を語るカーライル様の口調は優しく、弟に対する愛情が感じられてほっこりする。
……弟といえば、我が弟は大丈夫だろうか。
「どうかしたのか?」
その心配が顔に出ていたのか、カーライル様は気遣うような声をかけてくる。
「ああ、いえ。領地にいる弟が風邪を引いたとの知らせがありまして……多分大したことはないと思うんですけど」
「そうか。それは心配だな。確か土産物店でハーブティーを売っていると聞いたから、買い物ついでに立ち寄るか。頼めば領地まで送ってくれると思う」
「いいんですか? ありがとうございます」
あの子がおとなしくハーブティーを飲むとは思えないけど、何もしないで気を揉むだけより何かしてあげられる方がいいに決まってる。ああでも、ああいうところで売ってるお土産って、私のお小遣いで買えるかな――って、今日はデートだしお財布持ってない!
うーん、いくらデート費用は全額男性持ちが常識とはいえ、そこまで払ってもらうのは気が引けるんだけど……と悩んでいると、馭者がなにやら慌てた声を上げるのと同時に馬車が突然減速する。
身支度を整えた私は、リビングのソファーでぐったりとしていた。
それというのも朝も早くから叩き起こされ、「お嬢様の初デート!」と興奮する侍女たちに全身こねくり回され、支度だけで疲れ切ってしまったせいだ。
カーライル様が迎えに来るまでに、少しでも回復すればいいのだが。
そもそも、デートが決まってからというもの、彼女たちはいつになく私の世話を焼くことに使命感を燃やしていた。特に入浴やマッサージなど体を磨くことに余念がなく、普段から人の世話に慣れていない私には結構堪えるのだが……まあ、これまで男っ気一つなかった私がデートのお誘いを受けたとあれば、こうなるのは仕方がないだろう。
そうやって毎日手入れされるようになった結果、肌や髪の色艶は格段によくなり、ダイエットしたわけでもないのに心なしか痩せた。多分マッサージで全体的にむくみが取れたせいだろう。
おかげで少し前に仕立てたピンクベージュのドレスが緩く感じ、急遽後ろに編み上げリボンをつけてもらって腰回りを調整した。
それならいつも締め上げられるコルセットを緩める方向にしてほしかったが、バストサイズが貧相な私はくびれでメリハリを作らないといけないらしく、いつも通りグエッとなるほど絞められた。
それにしても、待ってる時間とはどうしてこれほどじれったいのだろう。
こういう時父がいると、うるさいながらにも気がまぎれるのだが……一昨日弟が風邪を引いたという知らせを受け、父は薬を片手に血相をかえって領地に戻ってしまった。この世界においてもたかが風邪ではあるが、我が領の医療水準は田舎なだけに結構低い。弟は大事な跡取り息子だし、万が一のことがあっては困る。
私に似て健康優良児だし大丈夫だとは思うけど――と、ぼんやり考えながら天井を見上げていると、ニコニコを通り越してニヤニヤとした笑みを浮かべたメアリーが入ってきた。
「お嬢様、カーライル様がお見えになりましたよぉ。さあさあ、グズグズしないで早くしてくださいねぇ」
そう言いながら私をソファーから立ち上がらせ、裾や後れ毛など乱れがないか素早くチェックして、重い足取りの私の背中を押して歩く。
うう、ついにこの時が来てしまった。
デート未経験者の私はどう振る舞うべきか分からず、セシリア様にこっそり手紙を書いて助言を乞うたのだが、要約すると「殿方のエスコートにお任せしなさい」という素っ気ないお返事をいただいたのみ。
あれこれ細かく指図されるより、何もしなくていいと言われる方が実は困るんだけど、ここは先達の助言に素直に従うべきだろう。
何においても初心者が余計なことをやるのは下策だし、そのせいで嫌われては元も子もない。
そう割り切って今日を迎えたが、やはり不安は不安だ。
「……お嬢様、そのお顔は意中の方とデートに行くご令嬢ではなく、処刑台に上る死刑囚のようですよぉ」
「そ、そんなにひどくないと思うけど……」
「まあ、たとえは大げさですけどぉ、もっとリラックスしてくださいねぇ。お嬢様はいろいろと考えすぎなんですぅ。デートは楽しむものですよぉ」
そんなやり取りをしながらノロノロと廊下を歩いて玄関扉をくぐると、貴族邸宅にしては地味で小さな門扉の前に黒塗りの馬車が停まっており、その車体にもたれかかるようにロングジャケットを着たカーライル様が待っていた。
仮にも王族を外で待たせるのはどうかと思うが、自信をもってお通しできるような屋敷ではないので仕方がないし、これからすぐに出かけるのならわざわざ上がってもらうのも効率が悪い。
……でも、ものすごく目立ってます。
ちょうど我が家の前に別の貴族邸宅があるんだけど、そこの使用人たちが見慣れない高級そうな馬車を目ざとく見つけ、しかもそこに相当なイケメンがいるのを発見したせいか、物見高い連中が塀やら二階やらからこちらを観察している視線がとても痛い。
だが、カーライル様はそれを露ほども感じる様子もなく、ポケットチーフの微妙なずれを直したり髪型をいじったり、私よりよっぽど乙女な様子でソワソワしていた。
どこまでギャップ萌えを狙ってるんだ、この人は!
「……お待たせしました」
「っ、ホワイトリー嬢」
見るからに気もそぞろだったせいか、声をかけてようやくこちらの存在に気づいたカーライル様は、珍しく肩をビクリと震わせて姿勢を正す。
「す、すまない、気づかなくて。あー、その……――こんなことを言うのは失礼かもしれないが、少し見ない間に随分変わっていて驚いた。すごく可愛い」
「か、かわっ……!?」
サラッと出てきた誉め言葉に熱が上がるが、こんな序盤の序盤でぶっ倒れている場合ではない。私らしくない蚊の鳴くような声で「ありがとうございます……」と絞り出すと、後ろに控える侍女たちから生暖かい笑みが漏れた気配がした。
くそ、使用人って堂々とデバガメができていいご身分だな!
まあ私が同じ立場なら、絶対一緒にニヤニヤしてるけどね!
と、ヤケクソ気味に心の中で叫びつつ、カーライル様のエスコートを受けて馬車に乗り込み、向かい合って座る。
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ところで、一体どこへ向かうのだろう?
エスコートにお任せといっても、知らないままホイホイついていくのもどうなのか。カーライル様がおかしなところに連れていくとは思わないけど、一応確認してみるか。
「あの……今日はどちらに?」
「緑地公園だ。ゆっくり庭園や温室を散策するか、サーカスや劇団の演目を観るか……他にもいろいろと施設があるから、ホワイトリー嬢の行きたいところに付き合おう」
緑地公園は貴族街と王都を囲む城壁との間に存在する、国営の屋外レクリエーション施設だ。王宮に仕える庭師が手掛けた立派な庭園を筆頭に、珍しい草花が集められた温室、ボート遊びができる池、軽いスポーツやピクニックが楽しめる芝地、その他遊戯としての狩りもできる雑木林まである。
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「そ、それはまた……」
ご愁傷様です、当時の皆様。
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……弟といえば、我が弟は大丈夫だろうか。
「どうかしたのか?」
その心配が顔に出ていたのか、カーライル様は気遣うような声をかけてくる。
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「そうか。それは心配だな。確か土産物店でハーブティーを売っていると聞いたから、買い物ついでに立ち寄るか。頼めば領地まで送ってくれると思う」
「いいんですか? ありがとうございます」
あの子がおとなしくハーブティーを飲むとは思えないけど、何もしないで気を揉むだけより何かしてあげられる方がいいに決まってる。ああでも、ああいうところで売ってるお土産って、私のお小遣いで買えるかな――って、今日はデートだしお財布持ってない!
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