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決意 1
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幾度も身体を震わせ、全ての熱を少しも逃すことなく翡翠の奥へ放つと、久遠は力の抜けた身体を重く動かし、つながりを解くことのないまま横になった。
しっとり汗ばんだ翡翠の身体を強く抱きしめ、久遠は彼女の甘い香りを胸に深く含む。
まだ息を乱している翡翠の鼓動は、小鳥のように早鐘を打ったままだった。
ぐったりとした充足感と幸福感で満たされながら、久遠は翡翠の髪に口づける。
重なった肌からこのうえない愛おしさが、身体の芯を震わせるほど染み入ってきて、久遠はたまらず翡翠を一層強く腕に抱いた。
「翡翠。」
「うん。」
つぶれてしまうほど強く抱きしめられながら、あえて自分の名を確かめるように呼ぶ久遠の声に、翡翠はついにこの時がきたのだと知った。
「彼呼迷軌に歳を止めてもらおうと思う。・・・私が執護として・・・海神や白妙の友として胸を張れるようになるまで、子のことは待ってくれるか。」
「久遠・・・・・・気づいていなかったの?私もあなたと同じ気持ちだということに・・・。」
くすりと小さな笑いを纏いながら腕の中で紡がれた翡翠の言葉に、久遠は重く息を吐きだした。
「本音を言えば、私は一日も早く、我が子をこの腕に抱きたいと願っている。・・・・・・お前と私の子に会いたくて、仕方がないのだ。」
「・・・・・・言わないで。全部、分かっているの。・・・言ったでしょ。同じ気持ちだって。」
愛する人との子を腕に抱き、慈しみ、共に育て生きていきたい。
その焼けつくような想いは、むしろ翡翠の方が一層強く感じているのかもしれなかった。
胸の内を、赤く熱した鋭い爪でかき乱されるような痛みを覚え、翡翠は違えることのできない決意に、久遠の腕の中ひっそりと涙を流した・・・・・・。
**************************
白妙と海神の元、二人が日々続ける修練は決して甘いものではなかった。
ただの人の身である久遠や翡翠が、妖月である彼らに及ぶほどの力を得ようというのだ。
そもそも人が執護となった前例すらなく、なにもかもが手探りの状態である。
彼らの成長には相当の時と努力、そして痛みを要するであろうことは、元より明らかなことだった。
だが、その苦しみに久遠と翡翠が背を向けることは一度たりとも無かった。
特に久遠の在りようは凄まじく、翡翠の日々の支えと海神の指導をよりどころに、文字通り血を吐く鍛錬を自ら続け、気づけば数百の年月を重ねていた。
ついに歴代最強の執護として、神妖たちの信頼を得た時、ようやく久遠は、翡翠と共に子を育てる決意を固めることができた・・・・・・。
しっとり汗ばんだ翡翠の身体を強く抱きしめ、久遠は彼女の甘い香りを胸に深く含む。
まだ息を乱している翡翠の鼓動は、小鳥のように早鐘を打ったままだった。
ぐったりとした充足感と幸福感で満たされながら、久遠は翡翠の髪に口づける。
重なった肌からこのうえない愛おしさが、身体の芯を震わせるほど染み入ってきて、久遠はたまらず翡翠を一層強く腕に抱いた。
「翡翠。」
「うん。」
つぶれてしまうほど強く抱きしめられながら、あえて自分の名を確かめるように呼ぶ久遠の声に、翡翠はついにこの時がきたのだと知った。
「彼呼迷軌に歳を止めてもらおうと思う。・・・私が執護として・・・海神や白妙の友として胸を張れるようになるまで、子のことは待ってくれるか。」
「久遠・・・・・・気づいていなかったの?私もあなたと同じ気持ちだということに・・・。」
くすりと小さな笑いを纏いながら腕の中で紡がれた翡翠の言葉に、久遠は重く息を吐きだした。
「本音を言えば、私は一日も早く、我が子をこの腕に抱きたいと願っている。・・・・・・お前と私の子に会いたくて、仕方がないのだ。」
「・・・・・・言わないで。全部、分かっているの。・・・言ったでしょ。同じ気持ちだって。」
愛する人との子を腕に抱き、慈しみ、共に育て生きていきたい。
その焼けつくような想いは、むしろ翡翠の方が一層強く感じているのかもしれなかった。
胸の内を、赤く熱した鋭い爪でかき乱されるような痛みを覚え、翡翠は違えることのできない決意に、久遠の腕の中ひっそりと涙を流した・・・・・・。
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白妙と海神の元、二人が日々続ける修練は決して甘いものではなかった。
ただの人の身である久遠や翡翠が、妖月である彼らに及ぶほどの力を得ようというのだ。
そもそも人が執護となった前例すらなく、なにもかもが手探りの状態である。
彼らの成長には相当の時と努力、そして痛みを要するであろうことは、元より明らかなことだった。
だが、その苦しみに久遠と翡翠が背を向けることは一度たりとも無かった。
特に久遠の在りようは凄まじく、翡翠の日々の支えと海神の指導をよりどころに、文字通り血を吐く鍛錬を自ら続け、気づけば数百の年月を重ねていた。
ついに歴代最強の執護として、神妖たちの信頼を得た時、ようやく久遠は、翡翠と共に子を育てる決意を固めることができた・・・・・・。
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