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光弘の支度 6 ※黒のイラストに着色してみました。
しおりを挟む尋常でないほどの強烈なふがいなさに、黒は頭を殴られたような重い衝撃をうけ、ぐらりと眩暈がするほどだった。
「・・・ごめん。」
背の痛みすら心地よく感じるほどの罪悪感を味わいながらその言葉をつぶやいたのは、力なく伏せている黒の身体の方だった。
叶うなら今すぐにでも駆けつけ、光弘の手をとり、自分の行いを一刻も早く包み隠さず全て打ち明けてしまいたい。
楓乃子と自分は同じ者なのだと、常に自分は、あなたの傍らにあるのだと・・・・・・。
そのあまりにも強すぎる後悔は、瞬く間に弾けそうなまでに膨れ上がり、無意識のうちに楓乃子の口元をもかすかに動かしていた。
「姉さん?」
不安げに声を掛けられ我に返った楓乃子は、深く息を吐き呼吸を整えた。
光弘の小さな白い顔に自らの顔を近づけると、彼の頬についていた細い緑色の糸を丁寧に取ってやる。
本心をすっかり綺麗に包み隠し、自然に見えるであろう微笑みをどうにか張り付けた楓乃子は、光弘の着装を丁寧に確認しながら口を開いた。
「そんなに心配ばかりしないで。なんでもないんだ。少し、考えていただけだよ。・・・そうだね。私に準備は必要ない。癒の姿で、君の肩に乗っていたいな。・・・それより、みーくんは本当に大きくなったね。ほら、もう私よりだいぶ、背が高くなってしまった。」
そういって軽く背伸びをし、楓乃子は光弘の頭の上に手を乗せた。
そのほっそりとした白い手首を、光弘はそっと握りしめる。
ふいに触れられ、楓乃子はびくりと身体を震わせた。
心臓がキュッと縮み上がるような動揺を必死で隠しながら、小首をかしげ微笑んで見せる。
「なんだい?」
落ち着いた様子を装って覗き込んだ楓乃子の双眸を捉えたのは、酷く哀し気な色を纏った、光弘の温かい瞳だった。
「姉さんが・・・もし生きていたなら。ようやく、少しは守れるくらい強くなったのに。・・・凄く・・・悔しいよ。」
唐突に紡がれた、光弘の言葉は、あまりにも明け透けすぎた。
楓乃子は声が揺れそうになるのを懸命にこらえながら、やっとのことで口を開く。
「・・・・・・ありがとう。その言葉だけで、十分だ。」
楓乃子は笑顔で答えると、すかさず癒へと姿を変えた。
・・・・・・私はあなたに、狂おしいほど存分に甘やかされ、いつだって守られている。
今も、昔も・・・・・・。
胸の内に大切な想いをひっそりと抱きながら、羽毛がふわりと落ちるような軽やかさで、癒は光弘の肩へと舞い降りた。
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