ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子

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106話 離婚して欲しいんです

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 私はずっと、子供が出来ないハズレ嫁と、罵られてきた。だから、私は、自分が子供が出来ない体なんだと、ずっと思っていた。

「おめでとうございます!ルエル様!」

 妊娠の可能性を伝え、再度、お医者様の診断を受けた私に、ベール様が笑顔で祝福の言葉を伝える。


 お医者様の診察の結果ーーー私は、妊娠していた。
 あれだけ、欲しかった子供が、出来た。のに、戸惑いの気持ちが強く、私は、素直に喜べ無かった。

「メト様もきっとお喜びになりますわ!早くお伝えしなくてはーー」
「!待ーー待って!!」

 私が急に大きな声を出したので、ベール様も、その場にいたお医者様も、驚いた表情を浮かべた。

 だって、メトに伝えられたら、困るの。メトはーーー自分の子供を望んでいないのに!!!

「わーー私が……メトに、自分の口で伝えたいんです。だから、この事は他言無用にして頂けませんか?」

「あ、そうですよね。私ったら、ついはしゃいでしまいましたわ……分かりました、私、この件は誰にもお喋り致しません」

 どうしよう……どうしたら、いいの?私ーーー

 平静を装っていたが、内心は、激しく動揺していた。
 契約結婚の契約書には、ハッキリと、子供を作らないと明記されている。
 それにーーー

 《万が一、子供が出来てしまった場合は、堕胎する》

 堕胎……?堕ろす……の?子供をーー?私と、メトの、子供ーーーをーーー?
 あれだけ待ち望んでいた妊娠なのに、私の目の前は、絶望で真っ暗に染まった。


 体調不良を理由に、ベール様にお帰りになって頂き、部屋で一人になった私は、ベッドに寝転びながら、天井を見つめた。

 ……迂闊だった……自分が、妊娠出来ない体だって、勝手に思い込んでいたんだ……!
 お医者様に直接、不妊だと言われたことは無い!ただ、あの人達がーーーカインやエレノア、元・お義父様やお義母様が、私が原因だと!私の所為で子供が出来ないと責め続けるから、そうだと、思ってしまっていた。

「…私……妊娠、出来たのね……赤ちゃんが……私の所に、来てくれたのね……」

 私の意思は、もう、決まってるーーー。

 私に子供は堕ろせないーーー例え、私が一人で育てることになってもーーー私は、この子を産みたい。


 その結果が、メトと離婚することになってもーーー


 帝国内には、もう、いられない……よね。契約違反があれば、帝国から出て行き、二度と相手に姿を見せないって契約を結んだもの。身重の体で、どうやって外の世界で生活しよう……働き口も、また一から探さないといけないし、お金も置いていかなきゃ……。
 ベール様やフィーリン様にも頼れない。
 全ての財産を慰謝料として渡すなんて契約、しなきゃ良かったーーー!まさか、自分が契約を破るとは想像もしていなかった。
 メトを好きになって、思いが通じ合った後は、もっと、離婚するなんて思わなかった。

 毎日が幸せで、この幸せを、自分から手放すなんて、思ってもみなかったーーー。


 ちゃんと、メトに伝えなきゃ……

 なんだか、凄く気分が悪いし……眠たい……。

 考えることは山ほどあるはずなのに、強烈な睡魔に襲われて、私は涙を流しながら、意識を手放したーー。





 ***


「ーールエル、ルエル」
「……メト?」
「大丈夫?また医者を呼んだと聞いたけど?」

 部屋の窓から外を見れば、もう日が暮れていた。私、あのまま夜まで眠ってしまったのね……。

「大丈夫です。ご心配をおかけしてごめんなさい」

「……君、3日前から殆ど、食事をとっていないけど……食べられそうな物は無いの?何でもいい、すぐに用意させる」

 ……私が、例えばここで、南の国にしか売っていない、とーっても、レアで貴重な果物が食べたい。って言ったら、多少無茶をしてでも、本当に用意しそうで怖い……。

「いえ……今は何も思いつきません」

 食べたらそのまま吐いてしまいそう。

「……そう。明日、帝国で一番の名医を手配する」
「え?」
「今までルエルを診察してきた医師達は、こんなにも君が辛そうなのに何も出来ない無能だったが、次に手配した医者は、皇帝陛下お抱えの医師だ。心配しなくていい。どんな病気でも、ルーフェス公爵家の総力を上げて治療する。治らないはずが無い」

 皇帝陛下お抱えの医師?!流石ルーフェス公爵家!って、違う!そーじゃなくて!

「メト!私なら大丈夫ですから!」
「うるさい。皇帝陛下には既に了承を得ている」
「お断りして下さい!」

 妊娠症状なんです!不治の病とかじゃないんです!このままだと、私、とんでもない病人になってしまうんじゃーー?!

「あの、メト!私……」

 ちゃんと言わなきゃ。子供のこと、そしてーーー

「私と、離婚して欲しいんです」

「……」

 ピリッと、一瞬で空気が張り詰めたのが分かった。

「冗談にしては笑えないね」
「冗談ではありません」

 私だって……貴方と離れるのは、嫌……でもーーー離れるしか無いんだもの。
 貴方は自分の子供を望んでいない。大好きなお兄様の忘れ形見である甥のシャインに爵位を譲るために、跡継ぎ問題を避けるために、子供の出来ない私と結婚した。
 それなのに、私に、子供が出来てしまった。
 私には、貴方と私の、大切な子供を殺すことは出来ないーーーだから、私は、貴方から離れるしか無い。

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