心が読める令嬢は冷酷非道?な公爵様に溺愛されました

光子

文字の大きさ
24 / 30

24話 光の祝祭

 


 *****


 ラドリエル公爵邸ーーーダイニングルームーーー。


「光の祝祭ですか?」
「……ああ」

 昨日まで遠征でラドリエル公爵邸を留守にしていたアレン様は、今日は珍しく遅い出勤で、私はアレン様と久しぶりに、朝食をご一緒した。
 アレン様とこうして顔を合わせるのは久しぶりなので、凄く嬉しい。
 一週間も顔を合せなかったのは、毎日顔を合わせる約束をしてから、初めて。
 出立前、神妙な趣で枕元に立っておられたアレン様に、『…………カリアの顔はもう見れない』と言われた時は何事かと思いましたけど、遠征で一週間、ラドリエル公爵邸を離れるという意味だと知って安心しました。確かに毎日顔を合わせる約束はしましたけど、そこはケースバイケースで大丈夫ですよ。

「私は参加したことはありませんが、とても盛大な行事だと聞いています」

 光の祝祭は、皇室が主催する祝祭の一つで、帝国に仕える騎士を称えるもの。日頃、帝国に仕える騎士達に感謝すると同時に、大きな功績を上げた者に、皇帝陛下から褒美を与える場でもある。
 光の祝祭は騎士を除けば、貴族の爵位を持つ家から出席が可能だが、私はお父様の意向で出席したことが無い。お義姉様は毎年出席されていますが、去年からはトランス伯爵であるユーリ様の婚約者として出席していましたね。

 アレン様は一年前、そこで多大な功績が認められて、皇帝陛下から公爵の地位を授かった。

『魔物の襲撃を偶然察知したアレン様は、手柄を独り占めするためにわざと他の者達に知らせず、単身、魔物退治に向かい、全ての魔物を退けた。
 結果として、アレン様は帝都を救ったが、その身勝手な行動は、一歩間違えれば帝都を危険に晒したとも非難されており、また、一人で多くの魔物を相手にし、その返り血を浴びた姿は、まるで悪魔のように強く、恐ろしいものだったと語り継がれているーーー』

 ……うん、これ、嘘ですよね?アレン様が手柄を欲しがって、一人で魔物退治なんか行きます?大体、一人で魔物退治に向かったのに、なんで返り血を浴びた姿を見た人がいるのよ。

「アレン様は、何故、一人で魔物を食い止めに行ったのですか?」

 単刀直入に聞いてみる。
 心を読んでみてもいいけど、私の力は万能じゃない。手に触れた時点で思ってくれていないと、欲しい情報は読み取れない。

「…………報告はした。誰も信じなかっただけだ」
「……そうですか……」

 アレン様は今や、帝国を守護する騎士の副隊長を任されている立場……仕事関係とかのマニュアルで決められているようなことは、問題無く口に出せるみたいですし、部下達から冷たい鬼上司と勘違いされてはいそうですけど、、口下手だから信じなかったってわけではないと思いますけどーーーまさか、これもユーリ様の仕業ですか?あいつ、遡れば学生時代から、アレン様の悪評を流しているみたいですものね。

 一度、徹底的にユーリ様を調べる必要がありますね。

「その……カリアには……………僕の妻として、一緒に………………参加して欲しい」


 すっごい溜めましたけど、よく素直に言えました!!!

 見て下さい!ビオラやスマルトだけじゃなく、他の使用人達まで、とても温かい目でアレン様を見つめているじゃありませんか!本気で怒ったら怖い方でしょうけど、皆、アレン様が本当はただの口下手で不器用な、根は素直で優しくて可愛い人だって気付き出しているんです!

 素直になって欲しいという私のお願いを聞き入れて下さったアレン様は、まだまだこれからですが、少しずつ、素直な言葉を口に出すようになった。

「勿論です!絶対に行きます」

 私の言葉に、アレン様は少しだけ、ホッとしたような表情を浮かべた。
 最近は少しずつ表情にも出てくるようになりましたし、良い事です。


「……仕事に行ってくる」
「はい、いってらっしゃいませ」

 仕事に向かうアレン様を笑顔でお見送りするが、内心はそれどころでは無かった。

 ーーー参加に同意しましたけど、このままでは、非常にまずいーーー

 一通りマナーやダンスは叩き込まれているし、実戦経験もあるけど、実は私、それ等がとても苦手だったりする。貴族令嬢・夫人としての能力より、勉強とか魔法の方が、得意。だから余計にお義姉様達には、貴族の女として無能扱いされてきたんですよね。
 ラドリエル公爵夫人になったからには、アレン様に恥を欠かせない為にも、苦手なんて言ってられない!当日までに、なんとか形にしなくては!

「ーースマルト」

「はい、奥様。マナー講師とダンス講師は手配しております。本日中にもお越し頂けると思いますよ」

 言う前に手配しているなんて、相変わらずスマルトは優秀ですね。

「奥様ならきっと大丈夫ですよ、私も張り切ってサポートさせて頂きます」
「……ありがとうスマルト」
「いえいえ」

 グレイドル男爵家にいる時は、『何でこんな事しなくちゃいけないの』って反骨精神があったけど、今は、アレン様の為にも頑張ろうと思える。

「奥様、光の祝祭に向けて、ドレスが一段とお似合いになるように、本日より肌や髪のお手入れにも力を入れていきましょう」

 ここぞとばかりに隣にいたビオラも口を挟む。

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします

宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。 しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。 そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。 彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか? 中世ヨーロッパ風のお話です。 HOTにランクインしました。ありがとうございます! ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです! ありがとうございます!

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

妹の方がいいと婚約破棄を受けた私は、辺境伯と婚約しました

天宮有
恋愛
 婚約者レヴォク様に「お前の妹の方がいい」と言われ、伯爵令嬢の私シーラは婚約破棄を受けてしまう。  事態に備えて様々な魔法を覚えていただけなのに、妹ソフィーは私が危険だとレヴォク様に伝えた。  それを理由に婚約破棄したレヴォク様は、ソフィーを新しい婚約者にする。  そして私は、辺境伯のゼロア様と婚約することになっていた。  私は危険で有名な辺境に行くことで――ゼロア様の力になることができていた。

【完結】【番外編追加】お迎えに来てくれた当日にいなくなったお姉様の代わりに嫁ぎます!

まりぃべる
恋愛
私、アリーシャ。 お姉様は、隣国の大国に輿入れ予定でした。 それは、二年前から決まり、準備を着々としてきた。 和平の象徴として、その意味を理解されていたと思っていたのに。 『私、レナードと生活するわ。あとはお願いね!』 そんな置き手紙だけを残して、姉は消えた。 そんな…! ☆★ 書き終わってますので、随時更新していきます。全35話です。 国の名前など、有名な名前(単語)だったと後から気付いたのですが、素敵な響きですのでそのまま使います。現実世界とは全く関係ありません。いつも思いつきで名前を決めてしまいますので…。 読んでいただけたら嬉しいです。

アンジェリーヌは一人じゃない

れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。 メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。 そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。 まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。 実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。 それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。 新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。 アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。 果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。 *タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*) (なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)

私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。 

さら
恋愛
 私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。  そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。  王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。  私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。  ――でも、それは間違いだった。  辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。  やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。  王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。  無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。  裏切りから始まる癒しの恋。  厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?

今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。 しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。 が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。 レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。 レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。 ※3/6~ プチ改稿中