呪われた子と、家族に捨てられたけど、実は神様に祝福されてます。

光子

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雨天の山コリカ

宿泊

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  その目に、嘘は感じない。
「……そう。なら、お言葉に甘えようかな」
  その目から視線を逸らし、少し考えた後、クラは了承の返事を返した。

「おい!人間の言う事を真に受けるのかよ!」
  即、反対するジュン。
「仕方無いでしょ。拠点に全部の荷物置いて来ちゃってるんだから。今は山に戻れないし」

  普段はケイ先生直伝の、空間魔法付き鞄の中に、冒険の用意を入れているのだが、今回は拠点場所を決め、そこにテント等を張っていたので、ブランケットや寝袋は勿論、鍋や包丁といった細々とした物まで、置いて来てしまった。
  今の山は、まだいつ土砂崩れが起きるか分からない危険区域だし、土砂が流れて道はボロボロ。拠点どころか、山に1歩踏み入れるだけで危険。

「僕もキリアも疲れてるし、何日山に入れないかも分かんないし……騎士団が僕達と街への間に入ってくれるなら、これ以上の安全は無いでしょ?」
「家に帰ればいーじゃねーか!」
  海辺の街コムタには、紅の森を繋ぐワープゲートがある。
「いざって時は帰るけどーーあまり大きな声で言わないでくれる?ワープゲートの存在、人間に知られたくないんだから」
  クラは小さな声で、ジュンに注意した。

  本格的に仕事をするようになってから、説明を受けたけど、ケイ先生のワープゲートは、礎がある場所にしか飛べない。即ち、礎が無くなれば、その場所のワープゲートは使用出来なくなる。
  ケイ先生の特殊魔法である空間魔法で礎は作られるけど、その礎は、他の魔法でも簡単に破壊出来るらしい。だから、なるべく人間に見付からないように、人目のつかない場所に設置されてる。

  ワープゲートの礎の場所が特定されてしまい、紅の瞳を邪険に思う人間達に破壊されるのは避けたい。ケイ先生が引きこもり、新しい礎が出来ない今は特に!

「っくそっ。分かったよ!」
  今ワープゲートを使うのは、騎士団の目もあるし、中々に厳しい。
  渋々だが、ジュンも了承した。
「……本当に任せていいんだね?」
  クラは最後、カトレアにもう一度確認をした。

  ケイがカトレアを気に入ったのが大きいが、カトレアは唯一、ワープゲートを通った初めての人間。
  カトレアは、紅の魔法使いに大きく関わっている。

「お任せ下さい。初めての街でのお泊まりをご一緒出来て嬉しいです」
  深刻にカトレアに確認を取るクラだが、当のカトレアは、満面の笑みを浮かべ、とても嬉しそうに斜め上の喜びを口にした。

「……嬉しいのか?」
「はい!ラット兄様、ありがとうございます!」
  喜ぶカトレアの顔を無表情で見つめるラット。
  表情に変化は無いが、何となく、キリアは一つだけ読み取れた気がした。

  (カトレアの事、大好きなんだな)

  自分を見る兄さん達の、優しい目に似ている気がした。


  *****

  海辺の街コムタ。夜。

「ーーーまさかーーーあんな騒ぎになるなんてーー」
  豪華絢爛の部屋の中、キリアは何とも言えないような顔で頭を押さえ、側にいるジュン、クラも同様な表情を浮かべていた。

  あれから、騎士団と無事に共に街に着いた私達。
  私達の紅い瞳を見て、怯える人や、罵声を浴びせる人もいたけど、騎士団員の皆さんや、何より、第3王子であるラット王子様が側にいたのが大きく、対した騒ぎは起きなかった。
  この時点ではーーー

  何故か、ラット様がいきなり、街の中心まで来た辺りで、『この者達、紅の魔法使いは、我等騎士団、そして、第3王子である俺の命を救った恩人で有り、雨天の山コリカの魔物討伐を行い、この街をも救った英雄である!』と言い出すまではーーー

  それから一気にざわめきが大きくなって、何故か拍手が上がり、『ありがとうー!』なんて歓声まで聞こえ始めた。

  (いや、差別とかの騒ぎじゃ無かったけど、何これ?!あんなに注目される?!)

  予想だにしなかった展開だし、せめて何かするなら、一声かけて欲しかった!皆に言うよー!とか!前もって言やれてたら止めてたと思うけど!

  戸惑いは兄さん達も同様で、3人全員が、頭を抱えていた。

「皆さん、寛げていますか?」
  そんな3人の元に、ガチャっと扉を開け、入ってくるカトレア。
「カトレア!何あれ?!何なの君のお兄さん!」
「え?何あれ?とは?兄様が何か?」
  中に入るなりクラに詰め寄られ、戸惑うカトレア。

「あの宣言の事に決まってるでしょ?!わざわざ皆の前で堂々と目立つような事言ってーー!」
「わざと目立つ所で言ったんだと思いますよ?皆さんに手を出したら、騎士団、そして、第3王子であるラット兄様が黙っていないと伝える為に」

  ラット王子様は、紅の魔法使いに不埒な扱いをする輩を許さないと言い、それを有言実行したのだろう。
  私達にしては、多少の暴言や、非難の視線、怯えなんて日常茶飯事だけど、ラット様にとっては、そうじゃなかった。

「僕達は、あれくらい言われなれてるからどうでもーー」
  キリア達にとって騒ぎ。とは、紅の瞳に向かって直接喧嘩を売って来たり、物を投げ付けたり、ギルドが出動して来たりーーが騒ぎ。
  別に遠くで暴言を言われたり、陰口を叩かれたり、怯えられたりする分は、全く構わなかった。慣れてる。

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