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第5話 真夏の試練。意外と気の合うカンナとイケメンたち。
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「俺のせいではないね。じゃあ誰のせいかっていうと、間違いなくデイジーちゃんのせいだよね」
ベッカムくんはそう弁明した。
確かに間違ってはいない。でも、あの予言がなければそうはならなかったんじゃ……と思ってしまう。
出会ったばかりで意気投合。
といってもいいぐらい、あのまま涼しい部屋で何もせず、冴えない会話をしながらダラダラすることを希望していた私たち三人は、なんと帰ってきたデイジーちゃんに追い出されてしまったのだ。
それも、『ほれアンタたち! 若いもんがダラダラしてるんじゃないよ! 足腰が丈夫なうちは外で走り回って元気に楽しく遊んでな!』という、ものすごーく聞き覚えのある内容で。
『あんたたち若いんだから、お外で遊んできなさい』というベッカムくんの予言と、ほとんど一緒なのでは。
蝉のお経と焼け付く太陽に苦しむ私とミィちゃんの恨みが、少しだけ彼に向くのは当然のように思える。
――ちなみに、私たちの百倍くらい元気なデイジーちゃんのTシャツは、彼女の雰囲気にピッタリのひまわり柄だった。
ともかく、このまま鈴木家の前に立っているだけでは、問題は解決しないだろう。
おでこの汗をぬぐいながら、『遊び』の内容について、希望を述べる。
「とにかく、日陰のあるところに行きたいですねぇ……」
「じゃあ……日陰じゃねーけど、ちっせー滝でも見に行く?」
「え、俺いままでそんなとこ誘ってもらったことないんだけど……」
「あ、何かすいません、私の方が優遇されてるみたいで……」
ミィちゃん、田中カンナより俺のほうが大事だよね。
俺お前にその呼び方許した覚えねーけど。
あ、何かすいません、私の方が優遇されてるみたいで……。
そんな風に話しながら、三人でまったり、のろのろと、ほんのちょっと涼しい森の中、マイナスイオンを求めて『ちっせー滝』までの砂利道を進んで行った。
コツ――。
「……あれ?」
「どしたの田中カンナ」
ベッカムくんはそう弁明した。
確かに間違ってはいない。でも、あの予言がなければそうはならなかったんじゃ……と思ってしまう。
出会ったばかりで意気投合。
といってもいいぐらい、あのまま涼しい部屋で何もせず、冴えない会話をしながらダラダラすることを希望していた私たち三人は、なんと帰ってきたデイジーちゃんに追い出されてしまったのだ。
それも、『ほれアンタたち! 若いもんがダラダラしてるんじゃないよ! 足腰が丈夫なうちは外で走り回って元気に楽しく遊んでな!』という、ものすごーく聞き覚えのある内容で。
『あんたたち若いんだから、お外で遊んできなさい』というベッカムくんの予言と、ほとんど一緒なのでは。
蝉のお経と焼け付く太陽に苦しむ私とミィちゃんの恨みが、少しだけ彼に向くのは当然のように思える。
――ちなみに、私たちの百倍くらい元気なデイジーちゃんのTシャツは、彼女の雰囲気にピッタリのひまわり柄だった。
ともかく、このまま鈴木家の前に立っているだけでは、問題は解決しないだろう。
おでこの汗をぬぐいながら、『遊び』の内容について、希望を述べる。
「とにかく、日陰のあるところに行きたいですねぇ……」
「じゃあ……日陰じゃねーけど、ちっせー滝でも見に行く?」
「え、俺いままでそんなとこ誘ってもらったことないんだけど……」
「あ、何かすいません、私の方が優遇されてるみたいで……」
ミィちゃん、田中カンナより俺のほうが大事だよね。
俺お前にその呼び方許した覚えねーけど。
あ、何かすいません、私の方が優遇されてるみたいで……。
そんな風に話しながら、三人でまったり、のろのろと、ほんのちょっと涼しい森の中、マイナスイオンを求めて『ちっせー滝』までの砂利道を進んで行った。
コツ――。
「……あれ?」
「どしたの田中カンナ」
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